「漫画のようにはならない」
「漫画のようにはならない」
今日は学校の日だ。
ゆっくりと身体をあげた。
調子はバッチリ。
なんとか秋の大会までに七人集めなければならない。
なんとかして集めよう。
秋の風が靡く。
飄々としている人間たちが学校の門を歩いていく。 そして、一人のおお男と出会った。
「なんでやんすかねえ」
「おい」
まるで怒号のように聞こえる。
これは一体なんなのだ。
二人が会話をしていた。
「あぶない」
「おっとっとっとすまないでやんす」
山田ではないか。
俺はゆっくりと近づいていった。
「よう」
声をかける。
「だれだてめえは」
「成染でやんすよ、昨日入ってきた」
いかにもヤンキーそうな男であった。
大きな体格ながら、顔は優男。
そして、言い方が変だがヤンキーぽかった。
「言ったでヤンスが」
「わかったこの通り」
頭を下げた。
「親友の緒方さんでやんすよ」
「緒方?」
かっこいい名前だなあ。
「緒方とは俺のこと、俺のことと言ったら緒方」
へえ、外野手とかピッチャーとかキャッチャーとかやれそうだな。
そうだ。
「なかなかやれそうだな」
「そうだよ、俺を褒めろ。野球始めるとか聞いたが、ファーストとかできるか」
「いやな思い出しかない」
「じゃあお前はピッチャーできるのか」
「ああ」
「何キロ」
「ざっと百五十五キロ」
肩を触られた。
「やれるなあ」
にこにことしていた。
まるで宝石を見ているようだった。
「緒方は野球をやらないのか?」
「俺、まあ、親の仕事があるんだよ」
そうして前を歩いていく。
「緒方君、今日のマギノビどうするでヤンスか?」
「やめとく」
「今度は絶対でヤンスよ」
そういって、三人は違うクラスに行く。
教室に入った。
そうして、一望する。
ああ、田舎だなあ。
でもかわいい子がたくさんだ。
ヤマトより、良い子がわんさかいるぞ。
「あのお、今日が初めてなんですか?」
「一体何のことか、まああ、一応」
「それならお話に乗りますよ」
眼鏡をかけた女性であった。
牛乳瓶の蓋を思い出したらわかるだろう。
目ははっきりとしていた。
外見も内身な感じ。
制服姿が似合うと言ったらわかるだろう。
「よろしくね」
「ああ、成染って言うんだ」
「私は、湯浅二海」
そうして分かれて椅子に座るつもりだった。
しかし。
「となりじゃん」
「ああ、まじかよ」
周りからいきなりできているぞと言われた。
やれやれこれからどうすればいいか。