「咲くも無心 散るも無心 花は嘆かず 今を生きる」
スイングを振る。
そして一呼吸。
イメージする。
まるで自分が打席に立っている姿を。
「よーし、ご飯だぞ」
お父さんが呼んでいる。
「わかった今行く」
家の中に入った。
そして、今日も天気予報と、医者としてカルテを見ている。
「先、食べとくね」
「ああ、いいよ」
二人して会話をしたのだった。
「ああそういえば佑次」
お父さんはこちらのほうを向いた。
ちょうどふすまが分かれている。
こんな感じの日常だ。
「なんだい父さん」
生姜焼きを食べていた。
「食べたら医療大学のことも考えておいてくれ」
一ページめくり。
「実は結婚も考えているんだ俺」
箸が落ちた;。;
うれしかった。
「お父さんおめでとう」
「45だけどまあ大丈夫だって」
泣いていた。
僕も泣いてしまった。
うれし泣きだった。
もちろん……
「無理やり結婚されそうだ」
ぐちゃぐちゃになった。
ふおあん。
「寝ようか、でもきっとお父さんなら大丈夫だよ」
「ああありがとう」
「まあね歳もあるしね」
「咲くも無心 散るも無心 花は嘆かず 今を生きるそんな言葉がある」
お父さんは煙の出ないたばこを吸っている。
「名誉ある医者になるからな」
その立ち振る舞いに俺は鳥肌が立つほど、奮い立った。