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恋愛が与えうる最大の幸福は、愛する人の手をはじめて握ることである
初めてつかんだ手は本当の母親の手だったと思う。
今は遠くにいる。
だがしかし、夢で見ることもある。
たとえこの先会ったとしても。
朝起きた。
そして、赤ちゃんの頃を思い出す。
確かお父さんが僕を拾ってくれていたはずだ。
そうだ俺は天涯孤独だ。
でもお父さんもそうである。
そういう意味では似たもの同士だなと最近になってわかった。
起床した後、顔を洗う。
そして歯磨きをしてお父さんが話しかけてきた。
「どうだ、ここの島についてでも」
「そうだね聞いてみたい」
二人は歩き出した。
あの夢は忘れたけれど、俺はお母さんを知っている。