冤罪による断罪? 婦女子の女王への道
ザマあに挑戦してみました。楽しんでいただけたら幸いです。
ボニーの愛称で呼ばれるボナンザ・エリザベス・パーカーはいつものように友人達と愛読書を持ち寄りお茶会を開いていた。
そこに乱入して来たのは婚約者であるカイン王子と侍従に内定しているアベルである。
何かを片手に、顔は怒りで紅潮していた。
「ボニー!! これは貴様の仕業か!!!」
テーブルに叩きつけられたのは一冊の薄い本である。
「拝見しても?
……
こ、これは! 謎の覆面作家、ウーシー・ロカーラ先生の最新作ではありませんか!?」
叩きつけられた本は、王子が地位を盾にして侍従に××を強要するBL本であった。
「なんだ、これは!! どう見ても私とアベルではないか!! どう言うつもりだ!!」
「おっしゃる意味がわかりませんわ?」
「これを書いたのは貴様だろうが!」
「存じませんわ。何を根拠にその様な事を?」
「しらばっくれるな! 内容を読めば、王宮の一部の者しか知らない事が書かれているではないか!」
「ウーシー先生は王宮に出入りできる方なのでしょうね。ですが私ではございませんわよ」
「まだそのような事を…」
「それに」
「それに?」
「ウーシー先生の作品は受けと攻めの役割が私の萌えと逆ですもの。私の推しはこちらですわ」
そう言ってボニーは先程まで読んでいた本を渡した。
そこには侍従が王子を××しているシーンが描かれていた。
「私、地位と私生活が逆転しているギャップ萌えが趣味ですもの♡」
「そうですわよ、カイン様。ボニー様のお茶会はギャップ萌え推し派の集まりですの」
「「「ね〜♡」」」
「ね〜♡ じゃあ無い!
じゃあ何か、他にも派閥がありこの本はその派閥の物だと言うのか?」
「そうですわよ?」
「ふざけるな!! こんな物を広められてたまるか!!
おまえ達の物もだ!!」
「カイン様……お手元の本をよくお確かめください。何が書いてあります?」
「ん……数字か。なんだ、この26というのは……」
「通算26巻という事ですわ。ちなみに、私達が読んでいたのは第二期の14巻ですわ」
「な……」
「いまさら、ですわ」
「なぜこのような物がそんなに出回るのだ……母上に知られたりしたら……」
「王妃様もこちらの派閥ですわよ? 時々会合に参加されますわ」
「え…」
「それに、このような本が出回る理由は単純ですわ」
「なぜなのだ…教えてもらえないか?」
「殿方が女性を誘えないヘタレと、釣った魚には餌を与えないで構わないと思っているアホタレばかりだからですわ。
男性ばかりでつるんでおられて女性を蔑ろになさるからですわ」
ボニーのなじる様な目を見て、カインは一言も言い返せないでいた。婚約者でありながら、この二年ほどボニーとデート一つしていないのに気がついたからだ。
「ボニー、君の言う通りかもしれない。
こんな噂を打ち消すには、私は何をすれば良いと思う?」
「女性と付き合い、趣向は女性の方が好きだとアピールするしかないのでは? もちろんお相手は私でしょうね?」
少し頬を染めながらイタズラっぽく微笑むボニーを見てカインは心から反省した。
「ボニー……すまなかった。
お詫びに何かできる事はないか?」
「じゃあ、一つお願いがありますの」
「なんだい?」
「私、王妃様に女王様教育を受けているんですけど練習のお相手がいなくって。
こんな事を誰にでもお願いする訳にはいきませんし。
カイン様。将来に備えてお願いできません?」
「ああ、そんな事か。構わないよ」
将来に備えて?
何かを期待してしまう。
「じゃあアベル。今日はカイン様を帰しませんので、王宮にはそのように連絡をお願いね。
カイン様。まいりましょう?」
今日は帰さない?
期待にカインの胸と股間は膨らむ。
カインはボニーの女王様教育の練習台となるべく、愛の鞭と蝋燭の待つ部屋へと向かったのだった。
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冤罪による断罪? 腐女子の女王様への道(完)
冤罪による断罪劇を3つ用意します。緩い物から少しづつ厳しい物へ。どれか一つでもお気に召したら幸いです。