第三章 ライバル
一颯が風が強く吹いて居て、冷たい手を口から出る暖かい息で両手を擦り合わせて居た。一颯が「まだ少し寒いな。でも、春のように昼間は暖かくなる」と言って、木を見るともう緑が出て来て生い茂っていた。
一颯が「春の息吹きが終わると何故か寂しいのは何でだろう?」と心の中で思っていた。
悠人が「おはよう。今日学校休みだろう?それなのに学校の前で木を見てどうした?」と話し掛けた。
悠人が一颯の背後にいたので、後ろを振り向いた。
その横では、夕日が朝になるのを知らせるように朝日になって段々と登って行った。
その後ろには、雪乃の声が聞こえて振り向くと、そこには男子生徒の戸田 蒼太の姿があって二人とも親密そうに話をしていた。
一颯は「俺と言う者が居ながら、また何で蒼太なんだよ。」とショックを通り越してヤキモチを妬いていた。
雪乃が一颯の視線に気づき、その場から立ち去った。
雪乃を追いかけて行こうとしたら、その姿がなく見えなくなって行った。
一颯が「俺はアイツと話をつけて来る」と言って、なぜか怒ってムキになっていた。
悠人が「アイツが一度、こうと分かったらこうと曲げないから何を言っても止められないんだよな」と心の中で思っていた。
そこで、蒼太に電話を掛けて「もしもし、あなた誰ですか?」と声を掛けて来たので、一颯が「俺は、金山一颯だよ。俺の知らないところで雪乃に声を掛けていたよな?俺は雪乃とどう言う関係か聞いているんだよ」と少し圧を掛けて話をした。
蒼太が「何だ、お前。僕はあの雪乃さんの事を好きだったのに、彼氏が居たのかよ」と言う話で電話は切られて居た。
一颯が「よっしゃー、これで雪乃と付き合えるぞ」と思っていると、急に携帯の電話が鳴り携帯を見ると雪乃だった。
電話に出ると、雪乃が「バカ、何で私と蒼太の事で口出しするのよ。私は一颯の事を友達として想っているから余計な事をしないで」と怒って電話を切った。
一颯が「雪乃、俺はお前が好きだったのに」とショックが大きすぎてもはや、言葉にならなかった。
悠人が一颯の家に来て、一颯が「縁側で話そう」と誘った。
悠人が「どうした?元気ないぞ」と心配で一颯の顔を覗き込んでいた。
一颯が「どうもこうも、俺は雪乃が好きで仕方ないのに、雪乃から「一颯は、友達として想っているから余計なことをしないで」って怒られてさ」と泣いて居た。
悠人が「しょうがないさ。世の中そううまく行く事はないんだ。また、その内良いことがあるから、元気出せよ」と慰めていた。
一颯が「そうだよな。俺の話を最後まで聞いてくれてありがとう」とお礼を言って、悠人は家に帰って行った。
悠人を一颯は心配してくれた事を嬉しく思い、見送っていた。