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体脂肪計 - 連載かシリーズかで悩む

 短編と連載の投稿は出来るようになった泰香だったが、今度はシリーズをどう使うかで悩み始めた。ここにはたくさんの投稿作品がある。先ずは連載物とシリーズ物を片っ端から読んでみよう。


 泰香は持続力に欠けるところがあった。何かを始めるとすぐに眠くなって寝てしまうのだ。投稿作品を読み始めた泰香はまたしても眠りに落ち、夢の世界に溺れていった。


 ——


 泰香は水の中を泳いでいた。ふと上を見上げると一面に氷が張っていて、水面に出ることができない。泰香はうろたえた。このままでは息ができなくなってしまう。懸命に氷の隙間を探した。


 あった! 緑色に輝く氷の下の水の世界の中に、白い光の溢れる場所が。泰香はその場所に向かって懸命に泳いだ。そして氷の割れ目の白い光の差し込む場所から水面に顔を出した。


 卑猥な笑みを浮かべた顔の男が氷の割れ目から何かが現れるの待っていた。男は何時間もその場所で待っていた。もう一週間以上ご無沙汰だった。黒い影が氷の割れ目の下に映った。次の瞬間、若い女の顔が水中から現れた。男はこんにちはといただきますを同時に言って、女に襲い掛かろうとした。女はごきげんようさようならと言って、すぐ水中に潜った。女の方が敏捷かった。男は女の残像を追ったが、すぐに見失った。そして残念そうに肩を竦めて、その場に寝転がった。また何時間でも氷の割れ目を監視して待つことにした。


 ——


 泰香は家の中にいた。風呂から出たばかりだった。目の前に、卑猥な笑みを浮かべた顔の男よりも嫌なものがあった。怖いもの見たさで、恐る恐るそれに乗った。


 それは体脂肪計だった。液晶画面に表示された数字を見て泰香は叫んだ。嘘でしょ! 体脂肪率五十八パーセント。身体の半分以上が脂肪だなんてあり得ない。あまりの衝撃に目が覚めた。


 ——


 泰香は目が覚めた。机の上に、泰香の枕になっていた雑誌が開かれたまま置かれていた。その見開きにはあざらしの特集記事が載っていた。



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