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3話 勇者

 少し時は遡る。


 ハイゼンとカズヤは、エキドナという魔物を討伐しに行く。その目的はそいつの下半身のウロコを手に入れるために、その魔物が住んでいるという洞穴に到着する。


 「カズヤよ、無理だと思ったら私が代わりにやろう」


 「ハイゼン様、大丈夫です。そのまま楽になさってください」


 カズヤは次々と襲い掛かる魔物を刀で次々と切り刻んでいく。その刀の刃渡りがカズヤの背丈と同じぐらいの長さをしており、彼は軽々と扱っている。


 「すごく美しい。切れ味もお前の技も、そして、持っている武器<物干し竿>も」


 「お褒めに預かり光栄でございます」


 2人はついに奥深くに住み着いているエキドナと出会う。その魔物は上半身が女性で、下半身が蛇の魔物である。


 「何しに来た人間」


 「あなたのウロコを取りに」


 カズヤが丁寧に答える。エキドナはそれが気に食わなかったのか2人まとめて尻尾の薙ぎ払いで攻撃する。


 「何っ」


 エキドナの尻尾はいつの間にか切られていた。それもとんでもない速さの抜刀術により、斬撃が飛び壁に大きな跡が出来る。


 「これはこれは、カズヤだけで十分なようだな。十分すぎるほど」


 「たかが人間、思い上がるなよ」


 手に持っているナイフでカズヤに襲い掛かるもののエキドナの攻撃はすべて弾き返される。一方的に攻撃するも彼は一歩も動いていなかった。


 「そろそろ終わらせよう」


 カズヤは剣を鞘に戻して居合の構えをする。すると辺りの空気が時が止まったような静かになった。


 「これで終わってたまるか」


 エキドナの上半身がいつの間にか切断され、本人が死んだことに気付かないまま死んでしまう。


 「ウロコを集めて砦に戻るぞ」


 「ハイゼン様、取り込まなくて大丈夫ですか?」


 「こいつの強さなんて元々興味ない。素材が取れたらそれでいい」


 2人はウロコを取り終えた後洞穴から出るとそこには、4人の女性グループとばったり出会う。


 「あのーすいません。ここにエキドナっていう旅人を喰らう危険な魔物はいました?」


 聖職者の格好をした小柄な少女に話しかけられる。


 「それならこの私が倒しましたよ」


 カズヤは優しく答えるが、ハイゼンは一人の女性を凝視しながら笑っている。同じく向こうの彼女も彼を凝視して笑う。


 「英雄の集いのリーダーであり、勇者のヴァルキリーではないか」


 「お初にお目にかかります。私の事を知ってるとは嬉しいぞ」


 「ッフ、知らない方がおかしかろう」


 ハイゼンと勇者ヴァルキリーはゆっくりとお互いに距離を縮める。


 「ちょっと、何してんのよヴァルキリー」


 「(こうなり始めたらハイゼン様を止めるのは難しいぞ)」


 それぞれの仲間が困惑している中、リーダーの2人はお構いなしに戦う気のよう。ついに、ヴァルキリーは剣で斬りかかり、ハイゼンは赤黒い炎を出し剣に具現化をして防ぐ。


 「この一太刀で分かったぞ勇者よ。美しい、美しいぞ。その強さは努力の賜物か、それとも天賦の才か?」


 「何を言ってる。両方だ」


 「通りで」


 ハイゼンはバックステップで後ろに移動した後、地面に手を置き赤黒い炎が広がる。そこから勇者に向かって棘が下から素早く勇者に向かうも、次々と彼女は避ける。


 「面白い、その炎の魔術見たことないぞ」


 「名前は知らん。俺は勝手に【混沌の炎】と呼んでいる」


 ハイゼンと勇者の戦い近づけば巻き込まれて死ぬかもしれない程には更に激しさを増す。


 「やった、やったぞ。化け物の成り損ないを倒したぞ」


 そこには剣が胸に刺さって倒れているハイゼンがいた。


 「な、何しているんですか勇者様。これは人殺しですよ」


 「こいつは化け物だ。いつか倒しておかないとこの世界が危なくなる」


 「どうかな、お主にやられるほどハイゼン様は死なないさ」


 彼女は仲間の元へ戻るがカズヤの一言で振り向くと、胸に刺されたはずなのに平気に立っているハイゼンの姿があった。


 「心臓に刺したはずなのにな」


 「楽しかった。思う存分楽しかった」


 「じゃあ、もう一戦たたかえるな」


 再びヴァルキリーは剣を構え、ハイゼンは【混沌の炎】をオーラのように出現させる。


 「「ここまでです。ハイゼン様(勇者様)」」


 カズヤと一人の女剣士によって二人の戦いは止められる。


 「目的を忘れないでください」


 「そうだな、帰るとしよう」


 「勇者様も、エキドナはどうやらあのお二方によって倒されたようなので。帰りますよ」


 「ああ、分かったよ。貴様ハイゼンと言ったな。次会ったときは確実に殺す」


 「楽しみにしておく、我が愛しき好敵手(ライバル)よ」


 2つのグループはそれぞれの帰路につく。ヴァルキリーとハイゼンは戦いの余韻がまだ抜けておらず、未だに楽しそうな顔をしていた。


 「久々に見た。ハイゼン様(勇者様)の本気で楽しそうな顔」

ハイゼン「いやー勇者強かったなあ。俺本気出してないけど」


カズヤ「なろう系の主人公みたいなこと言わないでください」


ハイゼン「え、俺なろうの主人公ですよ。何言ってんの~」


カズヤ「忘れてた」


~勇者side~


ヴァルキリー「うわ~ん(泣)、怖かったよおおおお」


仲間1・3「あー、よしよし。怖かったね怖かったね」


ヴァルキリー「しかも、去り際にあんなこと言ったから相手やる気マンマンだよ」


仲間2「勇者様なら大丈夫です。あんな化け物じみた奴なんてちょちょいのちょいですよ」


ヴァルキリー「もう、スライムになって自由気ままに生きてみたい。なんで私が勇者なのよ。グスン」


仲間1「ここはそっとしときましょうか」


仲間2・3「「ですね」」


※注意 本編と後書きのキャラの性格は違います。ご了承ください。

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