ゼノンのパラドックスの一つ、アキレスと亀についての考察
・パラドックスの概要
俊足のアキレスと、鈍足の亀が徒競走する事になり、亀は足おっそww可哀相wwという話になり、温情を貰う。
スタート時にいい感じに(距離はご自由に)ハンデをつけるらしい(100万㎞でも結構)。
いざスタートしてみると、アキレスが亀のスタートした所まで行く時には亀は既にそこよりも少し前に行っている。これを繰り返していくと亀にアキレスは永遠に追いつけない。亀凄い!っていう話。
・アキレスが亀に追いつけない理由
アキレスが走って亀が元々いた場所に着くころには亀はそこより少し先に進んでいる。それを繰り返していくと永遠にアキレスは亀には追いつけないということになる。
・矛盾を考える時に意識したいポイント
1,アキレスは「亀より」速い←明確な値は分からない
2,時間的な物差しが存在していない←無限大に続く事になる
3,1mを無限大の数の点の集まりとして考えている←2と同じく、無限大に続ける事が出来る事になる
・矛盾の証明について
最初に、このパラドックスの世界に1本の紐(別にメジャーでも良いし、なんならHDMI端子ケーブルでも良い)を導入する。この紐はアキレスのスタート地点と亀のスタート地点の間に引く(ハンデが100万㎞なら紐も100万㎞の長さ)。
この紐を1つの単位とする。この1単位距離をアキレスが走る時間を1単位時間と定義すると、アキレスの速度は常に定義上、1単位速度で一定となる。これにより、アキレス以外のパラドックスの世界に存在するものの速さは相対的に決める事が出来るようになる。
この世界に単位、指標が生まれた事によって「アキレスは亀より速い」という条件について言及できるようになる。さて、「アキレスは亀より速い」のだから、亀の走る速さは1単位速度未満となる。正直1単位速度未満ならこの証明の結果は変わらないので値は何でも良いが、仮に亀の走る速さを1/4単位速度とする。仮に亀が真の力を開放して1/2単位速度や9/10単位速度に加速したとしても結果は変わらない。亀がアキレスに勝つには、1単位速度以上で走らなければいけないが、亀が1単位速度以上を出す事は「アキレスは亀より速い」という条件によって禁止されているからだ。
前置きはここまでにして、走り始めてみよう。
アキレスは1単位速度で亀のスタート地点までの1単位距離を1単位時間かけて走った。その時亀は1/4速度で1単位時間かけて1/4単位距離進む。これにて第一フェーズが終了する。次のターン、アキレスは1単位時間で1単位距離進む。これでアキレスはスタート地点から2単位距離進んだことになる。一方亀は、1単位時間に1/4単位距離進むので、ハンデの分と合わせて6/4単位距離(1.5単位距離)進んだ事になる。2フェーズ目にしてアキレスが亀よりも0.5単位距離先に進んでいるではないか。アキレスはスタート時に亀よりも後ろにいたのに2フェーズ目には亀よりも前にいる。これはつまり1~2の間にアキレスが亀を追い越したということに他ならないのではないだろうか。
しかし、亀が2フェーズ目に真の力を開放して卍解しちゃって加速していた場合はどうだろうか。亀が2フェーズ目に9/10単位速度で走ったとしよう。すると、亀はハンデも含めて43/20単位距離(2.15単位距離)進んだ事になる。なんとまだ亀は追い抜かれていない!しかし同様に3フェーズ目、4フェーズ目…と繰り返していくと、最終的にアキレスは亀を追い抜いている。例として10フェーズ進んだとすると、その時アキレスは10単位距離進んでいるが、亀は187/20単位距離(9.35単位距離)しか進んでおらず、アキレスに抜かれてしまっている。よってゼノンがなんと喚こうとも亀はアキレスに抜かれる運命なのである。
以上によってこの「アキレスと亀」のパラドックスの証明は完了となる。