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エターナルデッドゲーム  作者: 村人(モブ)
1/1

永遠なる死のゲーム

目が覚めると、そこは地獄だった。


自分がどうしてこんな状況になっているのかわからない。冬貴も状況を整理しようとしているようだ。でも状況も何もないと思う。なぜって?それは少し前にさかのぼる・・








12月21日


ピピピピ、ピピピピ・・、耳障りな音が鳴り響く。


「あ~、うるせー・・うわ、眩し!」


タイマーを止め毛布から顔を出すと目がつぶれそうなほど明るい光が差し込む。


徹夜明けの睡眠を無理やり起こされるのはかなり辛い・・、いつもならサボってしまうのだが…今日だけは学校に行かなければならない。


「冬貴ー起きろー」


「あー・・・・」


隣で寝ているこいつは黄泉野冬貴よみのふゆき、俺の双子の兄、高校三年の18歳成績優秀で学年トップ、本やゲームが好きで、攻略ゲームでは負けたことがない。


そして俺が黄泉野裕貴よみのゆうき、祐貴の双子の弟、高校三年の18歳空手が得意、ゲーム大好きで、やり始めたら止まらない、戦闘系のゲームならだ誰にも負けない自身があるぜ。


俺達は生まれてすぐに親を亡くし、施設に預けられた。高校生になった俺たちはすぐにバイトを始め施設から出た。


そして今、俺達は二人でマンションの一室で暮らしている。


「あぁー、影山が『明日は1時間だからちゃんと来いよ、終業式。留年させんぞー。』って言うから・・休んでるぶん課題やってんじゃんか!!権力振りかざしやっがって」


「本当にな、まぁすぐに終わるんだから」


ちぇー、とそんな小言を言いつつ支度をした、俺たちはかなり学校を休んでいて教師達に怒られている。あ、でもちゃんと理由があるんだが・・・


そしてここ最近も二週間ほど休み、昨日、影山かげやま先生から電話で明日の終業式には来るようにと言われた。


「帰ってきたら新作のゲームやろうぜ、今日発売のゲーム!!」


あぁ、また何も変わらないくだらない日常がやってくる、いつもと同じ時間に家を出て、同じ道を通り、学校に行き、帰ってくる、同じ時間の繰り返し、そう俺たちは思っていた。



プルルルルルル、プルルルルルル・・



「うわー最悪のタイミング・・ったく、今から部屋でるとこだったのに」


「いいよ、僕が出る」


履いていた靴を脱いで冬貴が電話に駆け寄った。


「もしもし・・・・はい、先生?今から行こうと、え?わかりました。はい、はい・・・」


ガチャ、ツーツー・・


「どうした?」


「学校でトラブルがおきたらしい、だから家で待機するようにだそうだ」


ここまで支度をして玄関にいるというのに、このタイミングで待機とは、まったく最悪だ。まあ、外にでてからだったらもっとめんどうだっただろう。そこはラッキーだったかもしれないが・・。


何があったのだろう、冬貴によると先生はかなり焦った状態でクラスメイトに電話をしているらしくあまり要点を得ない内容だったようだ。


この時間ではすでに学校にいる生徒もいるだろう、まあ、俺たちには関係のないことだ。


「裕貴、僕はもう一度寝るよ、まだ眠い」


「え、制服のままで寝んのかよ」


「学校は《待機》って言ってただろ、てことは無しになったわけじゃない、また着替えるのは面倒だ」


「そっか、じゃあ俺も寝るー」


起きて何かをする気にもなれなかったし、俺と冬貴はまた布団にはいった、数分もしないうちに眠気が襲う、俺達は深い眠りについた、覚めることのない深い眠りに・・。




遠くで女の悲鳴と子供の泣き声が聞こえたような気がした。




日常なんてクソゲーだ、攻略法もないゲームなんてクソゲーでしかない。そんなことずっと前から知っていたのに。


パチ・・・目を開けると暗い闇の中にいた、そこは何もなくただ広いだけ、何の意味もない場所に一人ぽつんと立っていた。おい冬貴?どこだ・・?



??・・あ・・れ・・、冬貴って・・・



誰だっけ・・・・?




ガバッ!!


夢を見た気がした。

今何時・・だ・・・?目を開けて見た景色は明らかにベットの上ではなかった。


真っ赤なカーペットの上に寝ている冬貴と俺、大きな建物の中、そして目の前には大きな椅子があった、まるでゲームに出てくる裁判所のようだ。


「冬貴!おい、冬貴!!」


「ん・・・何・・時間?」


お寝ぼけ最中のようだがそれどころではない。だが、こんなところに移動させられているのに俺も冬貴も気がつかなかった。そんなことあるか?


「・・・な、ここは・・・どこだ?」


「わかんね、けど、俺達の部屋じゃねーのは確かだ」


「そんなの見ればわかるよ・・・、とりあえず人を探そう」


お前っていっつも一言多いよな!!まぁ、口にはしませんけどネ。


ああ、と返事を返そうとしたとき。


『そのひつようはないぞ☆』


え?子供のような甲高い声が響き渡った。


『ようこそ☆地獄と天国の間、閻魔の裁判所へ☆』


は・・・・?


「は?」


2人で間抜けな声を出してしまった、いやそれどころではなかったのだ。

俺たちは自分達がどんな状況に置かれているのかわかっていなかった。



『人は死んだらおしまいだ。それ以上でもそれ以下でもない。死んでしまった相手に泣こうが祈ろうが何も変わりはしないのだ。死んだ人間は決して生き返りはしない。いくら祈ってもいくら願っても、愛しい人を残していても決して目覚めはしないのだ。

だから死後の世界などあるわけがない、地獄や天国なんて存在しない。それは恨みや憎しみ、愛や思いから生まれたものだ、死後ではどうか幸せにという思い、死後で苦しめという思いそれらが生み出したただの妄想。』



そう思っていたのに・・・。




そう、これが俺たちの長い長い死後の物語の始まり。










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