まもりたかったこぎつね
かぞくはずっとむかしにしんでしまって
こぎつねはひとりぼっち
ふゆのひ ねぐらにかえっても
からだをよせてあたためあえるなかまはいない
あるなつのあついひ
くるひもくるひもあめがふった
かわはにごり はたけはあれ
それでもふりつづくあめ
このままではみんなしんでしまう
あめのかみさまをおこらせてしまったからだ
くにのだれかがいう
そうだかみさまにおくりものをしよう
なにがいいかみんなでいっぱいかんがえた
だれかをかみさまのもとにおくればきっとゆるしてくれる
いいかんがえだ
だけどみんなはてをあげない
だってたいせつなひととあえなくなってしまうから
こぎつねはてをあげた
わたしがかみさまのところにいっておねがいしてきます
みんながくるしいかおをしているのはもういやなの
かわのそこにたつこぎつね
ふえていくみずかさ
まだこどもだったけどこぎつねはしっていた
かみさまのもとにおくられるということのいみを
だいすきなみんなをまもるためなら
このいのちでまもることができるのなら
あめはやみ みんなよろこんだ
みんなうれしくてこぎつねのことはわすれてしまった
かわのそこにひとり
しずかにしずかにしずむこぎつね
かわいそうにおもったかみさまはちょっとだけきまぐれをした
にんげんになれるおまじない
にんげんたちとあそぶことができて
にんげんとおなじだけのじゅみょうをあたえる
はじめてにんげんになったこぎつねがみたのは
とてもすてきなにじだった
まっさおなそらにうかぶきれいなきれいなにじだった