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男と女ではなく、大人の教師としての在り方(2)

 


 先生からしてみれば本題はそっちの話にあったご様子。



「そこの所はどう思ってるんだ、ん」



 腕っぷしのことや色恋沙汰いろこいざたのことといい、どんどん向こうのペースに追いやられていってる感がするのは気のせいでも何でもない。

 こっちの事情を把握した上で喋り掛けてくれているってことは...... 当然クラスでの立ち位置や交友関係の狭さなんかも織り込み済みなんだろう。やけに物腰が柔らかいことからもそれは感じ取れたりする。

 


「え、あー、あれはー...... どちらかといえば話しかけられたっていう形だと思うんですけど」


 カッコ悪いものと知りながらも目上や同い年の上下関係なく一息ほどの溜めを入れてから声を出すのはもう完全に型についてしまっている。

 答え辛い質問をされた訳じゃないけれども俺は遠慮がちに言ってのけた。


 こちらから話しかけたのではなく浜慈君からなのは事実、大体俺の方から誰かに話しかける事自体あまりないんだけど...... 

 なしか少なからずは“友”と見なしてる愛美だって基本的には向こうからアクションを仕掛けて来てくれるのを待っている事の方が多い訳だし。ほんと時々会話ベタが嫌になってくる。


そうした自信のなさが表れた俺の返事とは逆に先生は溜も作らず自然に「そうか?」至ってラフな返しをなされる。なので疑問視する返答に俺は瞬間的に「そうです」と返した。考えながら話すのが難しいってだけでコミュ症であろうとオウム返しで言葉を投げ返すのは簡単だ。まして話し相手が先生とくれば下は抜きにして

...... その肩書だけで身体が固くなってしまう。

 今更ながらに思うけど一端の生徒を前に緊張をしないというのはベテランの風格を感じるよってか、どの先生でもそれは同じで。単に俺が特殊なだけか。



 と、全く持って自然体な栄田先生は少しだけ細めた眉で続きを促してきた。


「まっ、あいつ(浜慈)は見たまま裏表を感じなさそうな奴ではあるが、しかしあの性格だと浮かない顔をしてる奴にまでちょっかいを掛けに行くなんてことは容易に想像出来そうだな」


「あ。です、ね。それは僕もそう思います...... 事実ここにいるのが浮かない顔の奴第一号なんだけど......」


 そりゃあ、まぁ俺も初めはうるさい奴もいるもんだと思ったものだが今では印象が違って見えてる。

 

 お節介焼きも言い換えてみれば元気のお裾分すそわけとなるのか、気分が優れない時や落ち込んでる場合にはその人の見えないエナジー源となり得る可能性は無きにしも非ずだ。もちろん励ましてくれるにあたってある程度の空気は読んで欲しいところではある。でなければウザったらしいと思われるだけだろうから。

 彼とは接してるというほど接してはいないんだけど、一組の面々にとっても俺にしてみても僅かばかり鬱陶しいぐらいの人がいてる方がちょうど良いのかもしれないな。でも、そっか。


 栄田先生も同じように思って......

 そうなるとなんだろう、こう自分のことのように嬉しいような。




「――いずれにせよ話しかけてくれる相手がいるのは大きいものだ。例え何時に無く、偶然に話しかけられただけであったとしてもこれを機に徐々に親交を重ねていけばいいさ。単なる独自での判断に過ぎないが相性的に見てのチョイスは悪くないと思うぞ」


 などという風にも考えていれば先生の心温まる台詞が。



 というよりはいっそう深々と何言わぬ感情を持って告げられてきた。

諭した物言いは変わらないものの、その表情はどこか柔らげでこれこそが“先生”の成せる言語の力なのだと言わんばかりに言葉の一つ一つが胸に染み込んでくるよう。それとは関係なしに重い荷物を運びながら同じような表情俺は出来そうにはない。

 

「黒沼、お前にも色々と思うことがあるだろうが相手の厚意を投げ打ってまでそっぽを向き続けるのは心が痛むだろう。今まさにこうして、しかと目を合わせて私の言葉に耳を貸してくれているようにな」



「あ、あのー......」


 恐らく今先生は非常に大切な事を述べられている、いや確実に大切なことだ。

 親身にこっちの身を案じてくれているのだから。


だが、だがしかしだっ......



「それ、浜慈君に言ってあげたらきっと喜ぶと思いますよ」



 俺は先生の暖か味を帯びた言葉を聞きつつも――彼の名が出たことでここぞとばかりに話を折りにいく!

俺なんかの為を思ってわざわざ言い付けてくれていることだろうに、失礼千万だと思うほんとうに。

だけど大変失礼にあたると分かった上で物を申し立てたんだ。

 


「浜慈君って見た通り感情豊かなようですし、いつも逃げているばかりじゃなくほんの少しだけでも、僕としては。さ、栄田先生の方から褒められたりして上げたりするのも悪くないんじゃないかなって思いますけどね」


 ――言いながらもチラチラと先生の顔色を伺おうものなら――

 俺に向けてくれていた優しい笑みはため息を付くと共に苛立ちの表情へと移り変わっていく。そして同時にピタリと両足を止められた。



「話を割って何を言うかと思えばだ...... その様子だと私の話を聞いてはいなかったな」


 話の流れを無理やり変えるなんて俺としては珍しいことだろう...... と自分で思ったが別にそうでもないのか。気まずい時は割かし話の転換を図ってるものな。

 けれども今回は浜慈君に関しての事だからいつも以上に特例だ。

 果たしてこれで良かったのかどうか。



「あ、あー、えと、ちゃんと聞いていましたよ。しかとこの耳で。で、ですけどそういった柔らいだ物の言い方はもっと別の方にしてあげればとも思いまして」


「...... で、こういう話に持っていこうとしてるのか」



 話の主旨が逸れに逸れてる無理やりな話題転換。

 俺はまずったかと目を泳がせる。

 やはりと言うべきか、先生はいぶし気に渋ってみせた。が以外にも答えてくれる気はあるようで「まぁ、横流しでも聞いていたなら良しとするか」と歩みを再開させては眉間に寄せていたしわを引っ込めてくれた。



「...... その事に関してはどう答えようものか迷うが、ただそうだな、私個人の感覚としては出来るだけ優しい姿勢で振る舞ってはいるよ。全体的に目を掛けてはいるつもりだ。ところがだ。その優しさ部分が足りてない、浜慈(......)に対してもっと良く接しろと、そう言いたいわけだ?」


「へ? ああ、まぁそういう、ことになっちゃいますね...... 仰る通りで」



  ...... つい先ほど、先生からのお呼び立てがあった教室でのこと。

荷の運びの手伝いをする、という口実で彼は話しかけられる機会を得られた訳だが俺の断りが入ったせいでなくなってしまった。目的として考えた場合先生にとってはそれが狙い目だったんだろうけれども。

 たかだが一回の空振り、されどその一回はとてつもなく大きいものなんだ。


『機会なんて早々に巡ってくるもんでもないんだぜ』


 とは浜慈君の名言であり俺は勝手にそう思うことにしてる。

特に指図されたりはしてないんだけど、ただ浜慈君は沼像、つまり《俺の恋を後押ししてやるよ》と言ってくれた。どう受け取るかは別として。

こっちも同じように応援してやりたいなと思うのが人情ってものだろう。

 


 だからこれはその貴重な機会をなくしてしまったせめてものお詫びのようなものだ。

 熱烈なアプローチも躱されてしまうばかりだとやり場もなくなる。それじゃ余りにも救えないじゃないか。しかしこれ幸いな事に今日のことで栄田先生自身も浜慈君を毛嫌いしていないということが分かった。

 喋る都度好感度が増していく、なんて都合のいい話はゲームの中だけだ。とはいえ。


 一説には単純接触効果(ザイアンスの法則)というものがあって、CМでも人でも物でも対象例は何でもいい、初めは嫌悪感を示していたが何度も同じものを見るたびに警戒心が薄れていってやがては慣れ親しむことにより好感色が増すという実証例も存在してるというのだから決してバカに出来たことじゃない。と、かのような雑学も時たま話の中で出て来る事もあるからゲームはおろか漫画で得た知識は意外と使えたりする。勿論全てが使えるものだとは限らないけど。

 何より可能性という意味では触れ合う回数は一回でも多い方がいいに決まってる。



「せ、先生だって思うことがあるんじゃないですか、俺的に見ても浜慈君は良い奴なんだと思います。だ、だからですね、態度で示さなくても彼をもう少し男としてっ」


 見てやって欲しい。


 俺はそう思ってビームを。あ、いや話の方向を急激に曲げようとした、が......



「おっと、これ以上の誘導尋問ゆうどうじんもんには乗らんぞ。そこまであいつの肩を持つことは悪いものではないがな、全く油断も隙もないとはこのことだ。けどまぁ、その分だと大丈夫そうで安心したよ」




 幾度か目にしていた光景。

 浜慈君同様、見事に躱されてしまった。


 やれやれと、この手の話題に関しては聞く耳を持たないと言った様である。

 俺の方こそ先生の問に選びすぐりしてるから何も言えないんだけど、逆に余計な事をしたのかも知れない...... ちょっとでも善意を持って行動するとこれだから。力及ばずにごめん浜慈君、俺程度のあってないような会話能力では無理があったみたいだ。





 それはまぁそうとして――――


 普通ならもうそろそろ(......)職員室に付いてるであろうもの。

 この一直線に続いている褐色の廊下、白い〇魔と銘打ちたい所だが残念ながら色が違う、三〇星は無理があるからここは俺が好きなガ〇ダムと洒落込もう。仮に黒くある廊下ブ〇ッツコリドールは長いと言っても過言じゃない、しかしそうだとしても喋りながら歩いていれば目的地までの距離は短くなり、どころか1組の教室を出てから程なくして見えてくる一つ目の階段を使えば職員室までは最短ルートで行ける仕組みとなってはいる。


 栄田先生はあくまでも話合うことが目的なのだろう、どうやらこのまま真っすぐ迂回しえつつ奥側へと続いてる二つ目の階段を使うようだ。歩くペースがゆっくり気味なのもそれに合わせてのことだろうか。

むざむざ遠回りすると分かっていれば無謀にも持ちます、なんて言ってなかった筈だよ俺は。まぁ知ってても言ってたろうけど......


 ただなぁ、こうして長い目でみたら会話がないと精神的に辛くはなってくる。

 いっそのことまたこちらから話掛けるか? けど話の種を探さないと、たね、タネ SEED(シード)? ...... ダメだ。ガ〇ダムばかりかどうしても二次元的な発想ばかりが頭に浮かんでくる。つぐつぐ成長しないな俺も。








「...... 何年か前にな、黒沼と同じように心底腐り果て――感情が希薄、心ここに非ずといった感じに冷めてた奴がいたんだがな。環境こそ違ってはいるがお前はそいつに良く似てるよ」




 ――色々無駄な思考ばかりしていても大した意味はなく、結局は言う間でもなく先生のお力添えを頂く形となった。毎度の事ながら情けないかな、会話が出てこないのであればどうしても受け手に転じざるを得ないんだ。


 して、その内容に限って言えば栄田先生にしてはどこか寂し気な声色と浮かない顔でいられるようだった。前を見据えながらに昔の事を思い出してるのだろう、遠慮が見られない物言いから親しい関係だったことが読み取れる。


 どんな奴かは想像だに出来ないが。

 俺はその人と似ている、か。

 


「それ、で...... わざわざ声を掛けてくれたんですか」


 例え教師でも人であるなら個人的な主観が入るのは当然。

 よくありがちなのが、「実をいうと君は昔飼っていた犬の太郎に似ていたから」みたいな、何となしに好意的に見てくれる理由を聞いてみたものの相手方の返答に対してそこはとなくじわるガッカリ感というのか。決して犬っころに嫉妬しているわけじゃないけど。

 そこはちょっと二番善事だということで残念に思ったりして...... 



「そうだな。確かにそいつに似ているという事も理由の一つとしてあるが、実の所は機会を伺ってはいたんだよ。どう話しかけようかってな。頑なに心を閉ざした状態では耳を傾けてくれそうにはなかっただろうしな」


「ギクリっ......」


「ふっ、なぁに。“ほんの昔の話”だ。そう思い詰めることでもないだろ」


「う、そういう訳には、いかないですよ」



 ...... 弱ったな。


 そんな風に言われたら、こっちとしては形無しである。

 確かに最初は先生や浜慈君のことを冷めた目で見ていた、実際他人だったこともあってかこの先関わることもないだろうと接触を避けていた記憶はある。あの頃は、まだ三か月ほど前は親は当然、芽森さん以外にはあまり心を開いてはいなかったように思う。知らないだけだったともいえるけど......



「そういう意味でも浜慈には感謝しないとだな」

「それっ、本人に言ってあげても?!」


 いくら押されっぱなしであっても再び先生の口から彼の名前が飛び出てしまえば俺は超速加速で反応する。

自負ではあるが反応だけでいえば俺はバー〇トリンカーになれる素質はあると思ってる。レアなアバターは引き当てられそうにないけど、そもそもが技術の有無やらでそこに至るまでの条件が揃わないか。せいぜい神〇のインパレンスかな、って身体能力を催すからそっちの方が無理があるだろ。


 ともすれば話を戻して、これじゃあさっきの二の舞でまたあしらわれて終わりだろうと思ったが...... しかし。どういうことだろう、同じような言葉を返したのにさっきと違う変化が。


 迷惑そうでいながらも、頼り気のある教師としての顔がそこにはあった。



「全く持ってくどいな...... いや極力は控えてくれると助かる、だが勘違いしてくれるな、何も嫌っているからという訳じゃないぞ。浜慈の事は勿論好きだとも。それと同じぐらいに黒沼、お前の事もな」


 プ、プシュー...... 


 思考回路がショートしかけているロボットのように頭部から湯気は吹きださないが感覚はそれに近いものがある。流し目で、それも目の前で大人の女性にこんなド直球に告白された、いや実際は生徒を思いやっているという意味でなんだろうけど言葉の力は凄いもので知ってはいても顔に熱が込み上がる。


「づ、ぁ......ぁぁ」


 母親のそれとは違う。

 クラッ、っときたぞクラッと、だとしたらこれが俗にいう大人の魅力と言う奴なのか......

しかしながら俺はそこまで栄田先生にお熱じゃない、芽森さんという心に決めた本命の相手がいる。そうであるなら早々にこの情調を解き放とう。




 と、独りでにそんな葛藤を抱いていた最中――

 

「ありたいていに言えばなるべく優劣はつけたくないんだ」


 例の件で俺を納得させようとするが為にか、先生は自身の本音を漏らすかのように悠悠と呟いてみせた。



「生徒が好意を持ってくれるのは女としてこの上なく光栄なことだが、教師である身では男女の仲にはなれないよ...... 性別に違いはあれ一生徒と一教師でしかない、教師になった以上は大人としての規律は守る、学び舎である者が道を逸れたりするのは恥ずかしいからな。お手本とならなければこの職についた意味もないし両親にだって面目が立たない、浜慈には悪いがそれが世の中のルールというものだ」



 ...... カッコよく言えば聖職者、子を導く担い手。

 

 先生と生徒による恋路はその手のドラマでは定番となっているけど実際はどうなんだろう。

 歳が離れているだけじゃない、役職が教師というのであればそういう壁が生じて来る。ただ学校に赴任している限りは先生と交流する機会は何度かあって、当たって砕けろの精神で本気度を見せつけたら奇跡的に先生との恋を実らせたという実例はないこともないけど。

 栄田先生は教師である事に誇りを持っているんだ、だから学生でいる間は浜慈君にとっては苦い経験を呑むことになるかも知れない。ならせめてこれだけは伝えておかないと。

  


「立場的な制約、罪悪感があるならそれを、本人の前で直接言ってあげればいいじゃないですか...... そ、それに、俺がいうのもなんですけど彼は本気ですよ」


「ああ見れば分かる。俄然分かってはいるが好意をへし折る、言葉に出すのは簡単だが実際はどうだろうな......」 


 先生は俺なんかよりもずっと大人で自身の立場を弁えている。

人生経験が浅く何もかもが薄っぺらな奴に言われる筋合いはないだろうけど俺は生意気にも口出しをした、けどもそれは要らぬお節介だというもの。


 誰に言われるまでもなく分かっているのだと床に目を伏せて言う。



「正直な所、先生はな。仕事を生き甲斐としていることもあってか培ってきた恋愛経験は少ない方だ、数回あるかないか。ましてやあれほど熱心に好いてくれる男は未だかつていなかったよ。黒沼...... お前がそうであるように浜慈にとっても同じだ。自分でいうのはちょいとばかり気が引けるがあいつにとって学校に来る楽しみの一つが私という存在であるなら、そしてこの際ハッキリと断わろうものなら顔を合わせる度に暗い顔をさせてしまうことになるやも知れない。もちろんそんなヤワな奴だとも思ってはいない。が、それを考えた時どういった対処法を取ればいいか分からず臆してしまうんだ」



 それは、普段目にすることはない内に秘めたる素面。

 いつもは胸を張りつつ頼もしくも自信ありげな言動をなされている先生が生徒の前では表立って出すことはないであろう感情。

その生徒にしても俺は例外なのか、またまた口が堅いと思って告げてくれているのか。それかこういう事はやっぱり話せる相手がいない《ぼっちの特権》みたいなものなんだろうか。

 何にせよ先生が俺に正直な気持ちを吐き出してくれたことには変わらないわけで......



 きっと浜慈君はこういう所に惹かれているんだろうなと。


「度々男子共に告白されては断りを入れている芽森や他の女性徒を見習いたい所ではあるがな、私には難しい問題となっているよ――とまぁ、そういうことでこの話は終わりだ。どうだ、納得してはもらえただろうか?」


 

 俺から見ても素敵な大人の女性だと思う。

 例え先生と言う肩書があっても同じ人間だ、学び者である学生と何ら変わらない悩み多き女の人だ。


 OLさんみたくスーツが似合う程にスタイリッシュな体系。

 女性としては身長が高いが故、男が好むような魅力には欠けるのかも知れない。

けれど大人としての考えや信念を持っていて生徒を想い合う慈悲深き心が何よりも強くある。

だからこそ相手を傷つけまいとする『逃げ』という選択を取ってるんだ。

それは決して褒められたものじゃないけど相手を思いやっての行動だと知れば、俺からは何も言えない。


 後はもう浜慈君の幸運を祈りつつも成幸に任せるだけだ。




「はい...... 大いに納得しました」





 ***



「失礼します」



 職員室の中へと足を踏み入れれば、こざっぱりとした栄田先生の机に荷を置いて手伝いは終了だ。


 皆お待ちかね嬉し恥ずかしい授業参観、三者面談等はまだ先に控えているのだけれども。

 担任の先生との少し早まった面談もようやく終わりを迎えた。面談というよりかは個人的な相談でそれも途中から先生による人生観の話に成り代わってしまってたけど、学園生活の中でだといつも以上に長らく話していたような気がする。いや普通に長かったな......




「よいしょっと...... これで、全部運び終わりました」


 取りあえず何に使うか分からない大量の教材を机に並び置いた俺は「ではこれにて失礼させてもらいます」先生に報告する。そしてそのまま教室へと戻り行こうとした所で――



「なにを終わった気でいるんだ? まだ、ご苦労さんと一声を掛けた覚えはないぞ」


「...... え」


「実はなもう一つ頼まれて欲しいのだが」



 何故だかまたしても呼び止められてしまった。


何か違和感を感じて調べて見たら、高校の教師って大学を出ての23歳が最小年齢なんですね

今更ながら知るという無知ぶり...... 通りで美人でもアラフォー設定の教師という設定付けが多いわけだ。

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