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止まない雨なんてない

 

 二人三脚が終わり残す競技は大縄跳び、障害物&借り物競争混合レース、騎馬戦、対抗リレー 綱引き――か。


 一応プログラム表を取り出し確認してみるも、まだ一つの競技が終わったばかりで先はまばまだ長い。長いと言っても当たり前に全部の競技に出場する訳ではなくその色々ある競技で俺が出る種目は主に三つだ。

先ほど終わった二人三脚および、大縄跳び、障害物借り物混合レース。多いか少ないかで言えば出番は少ない方だろう、俺は三つの競技にしか選ばれてないけど運動部や運動が得意な人はもっと出番が増えるだろうから大変極まりない。こういう時に運動が得意じゃなくて良かったと心底思う。

騎馬戦は男子限定で綱引きなどの競技は男女共に全員が出ることになってるいるのは仕方がない。


***


 

「いけーっ!」

「うっち―、諦めるなぁー」

「イケるイケるっ」

「ギア上げてけぇー」

  

 それぞれのブロックからは声援が飛び交い見ているこっちが元気づけられるほどに大いに盛り上がりを見せているようだ。もう次の競技が始まっており俺はその声援が送られている場所を眺める。


 勢い良くスタートダッシュを切ったおかげか前に出た生徒、しかし残念ながらその生徒はゴール目前で失速し最後という最後で抜かれてしまった。早々と一着のゴールテープは切られたが後に続いてる走者もそれに続いてゴールした。次いで苦しい顔をしながらも三番手を死守しようとする生徒だったが途中で無理だと諦めたのか途端走りを緩めた、直後に四番手の走者に目前で抜かれかけるが四着は嫌なのだろう、必死に食らいつくように激しく腕を振る。そして場を盛り上げようと競技参加者に向け元気で活気に溢れてる声が飛ぶ、その声援虚しくも結局抜くことは出来ず彼は四着でテープを切った。声援は次の走者になっても鳴りやまない。


俺はその場の雰囲気に、止まない雨なんてない。という言葉を思い浮かべでしまう。言葉というのは不思議なもので同じ言葉でも捉え方次第で意味合いが変わってくる。

雨はいずれ止むのか、雨は止まずに降り続けるのか、どちらにせよ悪い意味で捉えれば止まない雨なんてないと言えば俺達のブロックだ。


やっぱりこうなるか......


二人三脚の時は自分が競技に参加していてテント中の様子は分からないでいたけど、こうして応援席に座っていると実感する。そういえば俺のクラスは喧嘩の真っ最中だったんだと。 

会話してる人や声を出していない人は少なからずいるものの、他のクラスや生徒達と比べると表情が固く見える。普段このクラスは明るいだけに何だかな。

一年生の応援席は一番前になっていて、後ろに二、三年と座る、蒼組並び他の組も横並びに同じ。

だから他のブロックからしてみれば紅組、特に俺達一組のクラスの声援が少ないことはモロバレになる。もうなってるのかもしれないけど。

保護者席は決められてはいるけど生徒の邪魔をしなければどこにいても自由だ。一見見渡してみたけど保護者の数は少ないのは高校生だからで納得できる――そう思想していた所で俺の近くに座っていた生徒の誰かが声を掛けられた、何だか気になりそっちに目を向ける。


「どうしたんだ一年、もっと声出せよっ。全然盛り上がんねぇだろ、ほらもっと熱くなれよ! そんなんじゃあグラウンドの冷気を吹き飛ばせないだろ、お前らまだ若いんだからもっと声張れるだろっ!」


「勝三、アンタ熱すぎ。うざい一人熱気纏って欧米にでも飛んでろ。えっともしかして楽しくない?」


「さっきから思ってたんだけどよ、お前ら声小さくね、クラス仲でも悪いのか」


 一年が声を上げていないことに気づいたのか、三年とおぼしき数人の男女が問いかけに来てくれたようだ。基本、俺達の学校では学年が判別出来るように制服の胸ポケットの下にプレートが取り付けてある。一年なら赤色、二年なら黄色、三年生は青、といった具合に。今は全員体操着姿なので風格や顔付きでしか判断がつかない。わざわざ注意、というか心配しに声を掛けに来てくれるなんて優しい先輩もいたもんだ。


「いえいえ、そんな。あぁ...... 俺達のクラスは大人しい奴らが多いんで声を飛ばしたり、そういうの苦手なんですよ。わざわざすみません」


「大丈夫ですよ。実はさっきまで身体が冷えていたんですが、何だか身体が熱くなってるんですよ。たぎってる証拠ですよね」


 先輩に気を使わせてしまったせいなのか、もしくは仲が悪いことを隠し通そうとしているのか、席から立ち上がり返事を返す俺のクラスの生徒もとい浜慈達。まぁこんだけ声が飛んでこないんだ隠し通せるはずないと思うけど、だからわざわざ今ここにいるんだし、それに先輩達だって伊達に一年早く生まれてる訳じゃないんだし大方察してると思う。

しかし心なしか何だか俺も少し体温が上がったような......若干暑苦しい先輩が一人いるからか。


「まぁそうか、それならいいけどよ。前に座ってるお前らが声出さないと届かないんだからさ、ちったぁ声張ってくれよ。後ろより飛ぶんだしよ」


「何か困ったことや相談があれば言ってね、これでも先輩なんだからっ」


「はい」


「人の性格はそれぞれ違うことは分かる、分かるけどもだ。暗いなりにテンション上げていこうぜっ、ほら出してみろよ、もっとこいよ、声の弾丸受け止めてやるよ――ぐふっ!」


「うるさいのよ、あんたはっ」


「い、いいパンチだ」 


 俺は心の中で、皆は二人の先輩の掛け合いにあはは、っと乾いた笑みしか返せない。皆が心配ないと口口にし、話すことがなくなったのか一言告げ先輩達は自分の席に戻っていった。

暑苦しい先輩のおかげか身体が熱、くない。さっきまで身体がたぎっていたと思っていたのは気のせいだったのか、それに何だかあの先輩が去ったあとまた冷えてきたような感じもする。ひょっとしてあの先輩が国外に行けば地球の温暖化を防げるかもしれない、というより温暖化どころか寒冷化になってしまう。なんてバカらしい愚想だ、忘れよう――今の競技が終わると次は大縄跳びだ、そして俺の番でもある。


競技を一つ、二つ終える度に熱がこもる中、先輩達の気配りが頭に残っていたのか一組の面々も徐々に声を上げ始める。他のブロックには声量で負けるけどそれでもさっきよりも格段と良くなったような感じがあるように思えた――――



何だかんだでこういう時に、主人公の出る種目しか描けないことが嫌になります...... 描写、文章不足でこんな低俗なパロでしか書けない自分が情けなくもあり、楽しくもあるという。この矛盾した気持ちって......

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