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その動機、嫉妬の嵐を断絶


 予め連絡していたものならようやくのご到着。



 眩いフラッシュが焚かれる中、見立てたポーズでなく本物のカメラを手に表れたのは信也君だ。珍しくトレードマークのゴーグルを掛けていたりして普段とは違う雰囲気を纏わしてる。まさに待ち人来たりと。

 遅れてやってくることを体現させる様、足止めにもなれないやつが一人……

 

 バレバレな行動といい立花さんにもカッコ悪い姿を晒しただけ。最初から何もせずに大人しく待っていた方が良かったかも知れない。慣れないことはするもんじゃないなと。




「あっはは…… ちょっと腰が引けたや」



 俺は有り様を悟られないよう笑い上戸、少しばかり見栄を張ってみせるも地面に尻を置いたこの状態なら言い訳も苦しいばかり。情けないったら……



 すると彼はこっちに歩み寄り「よっ……!」そのまま力強く手を掴まれて引っ張り起こされた。



「ーー良いところを取って悪いが選手交代だ」



 そして、肩をポンと叩かれたのち。



「しかと"見せてもらったよ。黒やんの勇姿ゆうし





 

 何も言わず真っ直ぐに告げてきたなら。


 恥ずかしいやら、照れ臭いやら…… 胸の奥に込み上げてくるモノを感じさせられるがそれよりは。ポソっと耳内で呟けば隣を確認。




「ふぅ、ギリっギリどうにか間に合ったな」


 

 彼はニヒルに、まるで人が変わったように立花さんに話かけにいく。それもおちょくりか挑発しながら。



「のぉ立花さん……自身で追い掛けられる立場にもなれば待ち伏せ(パパラッチ)される側の気持ちがよーく分かったろ」


「それはどういう意味かなぁ、塚っちさんや……」


「こうなることを見越した上で忠告しといたんだが」


「べー、塚っちじゃなくても黒真っちが居てくれてたし」


「確かにそれは言えてっけどな」





 端から見れば何だか喧嘩に近いような掛け合いをみせる二人だが。そこは置かれてる状況的にも素直になるしかないようだ。



「でもまぁ、人がせっかく駆けつけて来たんなら他に言うことはあるんじゃねぇか」


「…… ああ、えっと、まぁ、うん。形的に悔しいけどね、来てくれて助かるよ。塚っち」



 腑に落ちない様子ではありつつ。

 立花さんにお礼の一言を告げられるが否や。

彼は俺と同じように一歩前に出る、むしろ焦りもしなければ余裕すら感じる。それに付けても"仲睦まじい"やり取りの後だけに信也君の方が乙女ヒロインを守る戦士パラディンのように頼もしいやと……



「恨みを貰おうがむざむざ、こっちから喧嘩を買って出る必要はねぇよ。正しいと思える行動をしたんなら尚更にな」




 信也君はここで初めて目線を前に向けいる。


 察すれば○○先輩や八神さん達も同様。

 先ほどのシャッター音。写真を取られたことで言葉を失ったのか、呆気に取られてか、二人のやり取りを黙って見ている様子ではあったが。声を投げ掛けられ睨み付けられたものなら、ビクっと我に帰ったようで、ようやく動きを見せ始めた。




「それで、あたしらを脅したつもりなら飛んだ笑い草だね」



 一人一人がたじろいでる中。リーダー各の女子が食って掛かる。一致団結でいても周りを引っ張ってるのはその人。動じることもなく、証拠を捕まれたなら握り潰すのみだと。顔にそんな気迫を滲ませながらジリジリと距離を詰めてきて……




「あたしはこう見えて少し腕には自身あるんだよ、ね!」



 勢い良く突っかかりにいくがしかし、その人の身体はスカッと、空を切った。




「おっと……」



 信也君はヒョイっと身を反らして躱す。

 その人は勢い余って倒れ込んでしまうが彼は構わず同じような口振りで言葉を返し往いた。


「腕力はからっきしだが、少しばかり逃げ足には自身あんだよ。残念だったな」


「くっ……」

 

「ああ、それと今撮ったものなんだがーー」




 次いで信也君はたじろいでる前の5人、地面に腰付けた女子1人、交互に目を向けて事を促し始めたわけでも。俺には少し難しい言葉の羅列による捲し立てだけに理解が追いつきやしない……





 画像インポート、lmage lmport 。


 撮影したデータ(RAW、JPEG)をファイルとしてパソコンのHDDなSSDに転送、保存。


 自動取り込み、Auto lmport


 USBケーブルでカメラを接続した際に自動的に写真管理ソフト(Lightroom)等が起動、写真を自動で転送などなど。

 





 …… 要するに撮影した写真は即座にパソコンへ転送出来るという仕組みを取ってあるとのこと。

 ただし、信也君はそれを行使しようとはしていないようで。




「ま、取り敢えずは話し合おうや。場合によっちゃあアレだけど、何も脅そうってわけじゃないんだーー」

 






 * * *


 こちらの不甲斐なさはともかく。

 山に因めば鬱蒼とした雰囲気の中、信也君のおかげで場を納めることに成功したものの。しこりは消えてはくれない。


 それでも波風立てずに話合おうとする姿勢は彼だからこそ出来ること。

 


 


「なるほど…… こうなってる経緯やそっちの事情は分かった」



 非は一旦置きに面々に話を聞き出しいく。

 お縄に頂戴、縄に括り付けられてるわけじゃないにせよ撮られた写真が後ろ立てとなっている状況だけに彼女達も渋々それに応じて、というよりは食い下がれない様子。




「で、理由を言ったけど写真返してくれるん……?」


「どうせうちらの気持ちなんか分かりっこないんだ」


「ちょーっと…… やり過ぎたとは思うけど」


「こんなまどろっこしい真似しないで、さっさとチクりゃあいいだろ、チクりゃあよっ」




 憎悪、嫉妬、失念、願望、羨望等々。

 執拗に芽森さんや立花さんを狙った訳。

 投げやりな態度から【海音君】が誰かのものになって欲しくないという理屈や魂胆を各々で反論するがーーそれらの事情は意を唱えず呑み込む。


 図らずしも信也君は"似たような"言葉を突き付けた。




「それじゃあ聞くがよ。あんたらは0から1になる努力をしたのかよ」




 静やかに口を開き言い放ったのは、立花さんによる独自論じゃなし。似て非なる信也君ならではの見解論だ。


 1から100に近づけるには骨が折れるーー

 0から100に近づけるのは相当難しいーー


 そんな好意的に見てもらうという努力以前に彼女達が云う親衛隊やファンとは何なのかの問い。想い人に対する距離感の有無を伝えようとしてからに。


 

「聞いた限り○○ちゃん先輩は近付こうとはしてたみたいだが……」




 ○○ちゃん先輩とは内の1人。


 後輩の男子に片思いしていた傍ら。

 立花さんは、逆効果とバッサリ切り捨てたけど自分から積極的にアピールしていたなら、決して無駄な行いとも言えない。


 信也君はそれを例に出すと、女性達の中から「侵害、しんがーい」と意を唱え出した。即ち努力してますよという合図。



「うちは結構声は掛けているんですけどぉ」



 それは親衛隊としての掛け声とはまた別。

 個人的に海音君に直接届くように声掛けしてるというもので、彼女の努力を示すようなら信也君は此度女子達の内1人の名前を挙げいた。



「あー、あんた。○○子先輩だっけ」



「おいそれと海音きゅんには近付けないけど、毎朝、声を掛けるようにはしてんだよね」


「そういや、最近○○子先輩に挨拶されるんだ、みたいなこと言ってたっけなぁ」


「うっそ、まっじーぃ!」


「もも子、あんたっ……」




 と、歓喜の叫びで喜びを見せる一方、リーダー各その人は今初めて知ったような表情で驚きの声を挙げた。それはあらかじめ告げていた、眺め崇める<もっとー>から掛け離れてる親衛隊(ファン)にあるまじきルール違反。信也君は見逃さずにそこに漬け込む。




「あーらら、さっそく裏切り……が現れちゃったわけだけど…… 仲間内からも標的、粛清していくつもりですかい」



独り占めされないようネットなどを使った虐め行為を繰り広げてきた中で裏切りものがいたこと。仲間を出し抜いていたというショックなのか「バレちゃった……」みたいな顔で苦笑みからバツが悪いように舌を出すもも子先輩に、その人は言葉を失ってしまった様子。だが、信也君は言葉を緩ませない。




「アイドルだろうが何だろうが人間そんなもんだろ」

 

「つ……」 


「結局のとこ、浮かばれようが浮かばれないかは結果次第だが。恐えながらでも踏み込んで行ける勇気を持てるかどうか。そこに限るんじゃねぇのかよ」

 


 そうして……反論の余地がなくなれば畳み掛けにいく。

 


「少なくてもこんなことをしてあいつに喜ばれると思うか? コソコソ裏で人を陥れるような真似をしてる異性をあいつが、真っ当な海音かいとがそういう女に好感抱くわきゃねぇだろ……」





「まぁ、もし、仮に、間違いか、偶然にも、ひょんなことから【海音】があんた達みたいな輩に惚れようってもんなら…… 思いっきし。ブンなぐってでも目覚まさせてやっけどな!!」




 見解論からーー徐々にたぎっていく思いの吐露とろ



 楓さんのお眼鏡に叶ってる海音君を慕うんだから彼の度量が知れるってもの。その逆もまた然りだ。しかしながら海音君に向けた信也君の熱のこもった感情は端からみれば恋人以上に距離が近いように見えなくもない。と……





「あんたさ、一体海音君のなんなの」


「それにさっきから海音海音って○モ野郎かよ」


「ってかさ、いつもベッタリ一緒にいるけど何、海音きゅんが好きなの?」




 であるなら論点が刷り変わったかのように押し黙っていたもも子先輩達はこぞって、信也君を罵倒しゆく。一方でその事に対する彼の返答。返事次第で誤解を招くものだと知ってのことか。

 




「ああ、好きだぜ」



 何の迷いもなく言い切って見せた。

少女漫画風味足るや、拭いきれないが演劇感。

何か、親衛隊というよりレディースっぽいんよな…… 

実際問題アイドルの恋愛事情は許されざるものだと……



次話

【クサい程に熱い男の友情にて】




ようやっとこさ章の終わりが見えてきた、、、

どうにか書き切りたい意欲、一応のサブタイトルだけ、並べてみたり……



ゴシップネタの上書き】


ヒロイン(選ばれない側)なればこその苦悩】


【理解しかねるハッピーエンド(尊重)の形】


【沈黙する教室……       】


【3章エピローグ】


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