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ギャルとアンバランスなオモチャ(3)


 クラスで目立ち得るは芽森さん達とは正反対であるかのような三人の女子及び。雰囲気的にも陰の者とは色んな意味で相容れそうもない目眩しいギャルズって感じのグループ。



 それぞれ特徴から言って。


 『宮村さん』は無造作に伸ばした燃え広がるようなたてがみ、ツインテールが合いそうな毛量多めな髪型。


 『リッツさん』は片方の髪を耳に掛けたショートミディアム。中性的なボーイッシュ風な髪型。


 『サヤさん』は毛先をワンカールさせた内巻き。自由に大人っぽいアレンジも効かせられるような長めな髪型。


 

 あくまで自分の中での印象に過ぎないが。


 3人とも似たような雰囲気に見えるも綾辻、サヤさんだけは他の二人と違う空気感を放ってるように感じるのは気のせいでも何でもない。イメージ的にリツさんは気立てがよく中立的な人で、直に話した宮村さんは喧嘩越しでありながら可愛い一面が有り…… そしてこの人からは漂う色気に加えて、ただならぬくせ者感と。



 ーーそんな彼女は微小を浮かべたがのち。

 いったい教室中でナニを済まそうというのか。



 気付けば焦りと汗は別の意味合いへと変わっていて。ドクンドクンと心臓が急激に高鳴り出せば。静まり帰った放課後の教室、その場の雰囲気からもソッチ方向に考えてしまうのは悲しき男の獣だろう。


 得てしての期待か未知なることへの恐怖か。


 果たしてよこしまな感情が渦巻いていく中。サヤさんが今一度発した言葉はーー




「ちゃちゃっとメンテナンスしてあげなきゃね」




 (それはナン(……)のメンテナンスなのか)


 ピス、この期に及んで独り善がりの妄想欲と戦っていれば。実際の程なんということもない。




 正面で足を組まれたなら<絶対領域(ぜったいりょういき)>とも呼ばれる箇所に目が行ってしまいがちなのもこれまた男の性であって。抗えない部分でもあるからして…… して……


 ただ見えるか見えないか、挑発的にか刺激的にか、魅惑的な姿勢で話しかけられたわけだが、しかしそれは単なるポーズを見せ付けるようにからかわれただけーー


 その証拠にサヤさんは足組みを解いては机から降りる。そのまま言うがままに後ろ方へ半歩ほど歩けばガチャッと。



 掃除用具(ロッカー)の扉を開いた。





「あー、やっぱり"まってる"じゃん。見てよこのほこり、隅々まで絡み付いちゃってる」


「あ…… それは、誰も取らないから、というよりは取りたがらない……」


「それは言えてるかもねー、実をいうと今日居残ってるのも半分その為だもん」


「あ、そういう理由が」


「ってかこれも美化委員の仕事の内だし」


「美化、委員…… うっ」



 よく考えれば掃除用具の点検やらも自発的じゃなくて数ヶ月置きに美化委員が点検することになっているんだっけ。実に耳に痛い言葉であろうぞよ。


 そうしてサヤさんとは委員会繋がりということもあり…… 関連付いた会話の流れから俺はつい気が緩んでしまい本音が漏れ出てしまう。



「あー、でも掃除の点検なら無駄に身構える必要もなかったのか」


 と、先ほどまでの警戒心は余所行き状態。

 

 だからか。



「別に…… ちゃっても訳ないんだけど」



 サヤさんは何か小言を発したが聞こえやしなかったーーーー

 




 それよりも読んで字の如く、口を動かす前に手を動かせと。役目とあらば、そこは俺も同様に手伝うことにした。早速ホウキを手に持つとポケットティッシュを1枚取り出す、しかし単に埃を取ればいいというわけじゃなく。


 大雑把な俺と違ってサヤさんはバッグからビニール手袋を取り出した。



「さすがにこれだけ埃や髪が付着してたら素手で触るのは若干抵抗あるからね」


 そう言った側にもせっせとゴミ箱を準備。

 ビニール手袋をはめた手でホウキに指を通せばゴッソリとゴミが取れていく。それを何回か繰り返す。俺もそれに習いティッシュでゴミを丸め取る。もしくは引っ掻いて落とす。


 男だけに掃除なんてこんなもんと思うのが一般的な考え方だろうがサヤさんは違った。


 メンテとは溜まったゴミを取ることだけに注釈するんじゃなし、埃や汚れを取りきった上で丁寧に磨いて問題なく使える状態であるかを確認するという意味なんだ…… 意外と家庭的な部分がおありなんだなと


 その他の用具もバッグから次々と出てくる多様な道具を駆使しながら似た要領で点検、メンテナンスしていく。

 下手したらメイク道具より掃除道具の方が多いんじゃないかと思えるくらいのびっくり箱、いや、まるで四○元ポケットや……




 そんなこんなんで、二人並んでの点検作業。

 もうあと少しで終えようかとした時。



「ーーちょいと質問いいかな」



 手を止めたなら再び質問される。

 またもや変に緊張が走るやも、今の話の流れからして身構える必要はなさそうだ。



「黒沼って物を長く使ってあげる派、使ってあげない派?」


「え? 何の話」


「分かりやすく言えば、昔の使ってあげてた玩具おもちゃとかどうしてる?」


「オモチャ? って、トイ?」


「ザ○スって、はは。この返しはつまんないね」



 イヤに何だかこっちがスベらした感じになってるけど。質問内容が質問内容なだけに驚いてしまったや。



 まさか、ちゃちゃちゃの・オ・モ・チ・ャ・! 




「おもちゃ、オモチャね……」


「まっ、さすがに捨てちゃってるよねー」


「いやどうだろう、家中探せばそりゃあ何個かあるとは思うけど。でも確かに捨てた物もあるかも知れない。そんなこと、考えたこともなかったから記憶が……」



 そうだ、言われなきゃそんな風に考えることもなかった。子供の頃に遊んでた玩具がんぐの数々。いつの間にか手放してしまったことさえ忘れてる…… そして何時からだろう、おもちゃ屋に足を運ぶことをしなくなったのは…… 何時いつ頃だろう、玩具を見て目を輝かさなくなったのは…… 


 そんな昔懐かしい日々。

 


 ラムネの風味を感じるような記憶を辿っている内にも、会話は続いてるわけであるからして。一旦上向き思想を止めてサヤさんに目を合わせた。




「…… じゃあそれに繋げて、cartoonカートゥーン storysストーリーズっていう映画は観たことある?」


「え、ああ…… うん。むしろ知らない人はいないんじゃないかってくらい有名な作品だと思うけど」

 

「確かに、年毎にしつこいくらい放送されてるもんね。それじゃ印象に残ってる場面とことかある?」



 と、問われれば何度も目にしてる映画の1つだ。おぼろげな玩具の記憶と違ってワンシーンがポツポツと思い浮かんでくる。




「精巧に作られていてもそこは子供用のおもちゃ人形らしく飛べなかったりする所とか」


「うん、分かるなぁ」


「車から落ちそうになってぶら下がってしまうハラハラ感やヒヤヒヤさせられるとか」


「うん、うん、それも分かるよぉ」


「何を言ってもブッティを始め色んな種類のおもちゃ達による面白可笑しく、時には感動させられる冒険譚アドベンチャーが……」


「うん、うん、うん」


 ーー


 ーーーー


 ーーーーーー



 そうして、俺は知らず知らず。


 漂う"色気"に"くせ者"と評したサヤさんの前でありながらも、得意なジャンルの話題アニメということも相まって饒舌になっていたことに気付いちゃいなかった。



 * * *

云うにた○ごっちはゲームか否か。


玩具おもちゃだけに、ちゃちゃっと…… まぁ

掃除と結び付くかは微妙なところなんだろうかな……

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