モチベーションを高める秘訣
文章を水増してしまったせいかサブタイと合わない展開回しになってしまった感じがする.....
かくして――――言われるがままに屋上へと足を進ませ往こうとする、と。
幾ばかしか逸る気持ちが先走りそうになるやもその前にだ。
テストだとて授業の一環に変わりはなく。
ホームルームになるまでの間、10分程は掃除の時間が設けられる事になっている。皆が共有して使う学び舎は自分達で綺麗にするのも学生なるものの務めであるとして。
一応俺は委員会の役割として美化委員に任命されているが特段指示を出したりすることはしない。男女別のペアとして選定されているもう一人の女子も同じように。
掃除の段取りにしてもルーレット式に丸く図表が描かれた紙に載っており、トイレ掃除など誰もが率先してやりたくないであろう場所があるという事でも回りめく公平になるように週変わりで場所を変えるとのルールが用意られている。これは小学、中学でも大体は同じ仕組みな気がする。幼稚園でも一緒か。
但し、役割は涙同様に飾りではなく。
掃除とは別でゴミの分別や掃除用具の点検、更に月に一度清掃活動がある、これらは美化委員の務めであり比較的楽な係でもそれに見合った仕事をしなければならないのは至って当然。
俺が必要以上にほうきを掃いてしまうのはその美化委員としての責務もあるのかも、まぁそこは関係ないんだろうな......
***
ともやかくにも、放課後。
芽森さん達の動向を伺いながらも何をするでもなし、俺はひっそりと教室を出た。
普段は部活にいくなりクラス連中の背中を見届けた後に席を立つようにしているが、事情が事情ならば出る脚が早くなるというもの。
そういう事で、俺にしては早いめに出たつもりでいたのだけれども――――思いのほか屋上へと続く階段には人数があった。その様はさながら人気チェーン店並みの行列であろう、がしかし。
立ち並んでいる中にスカートを履いた女性徒の姿は見当たらず、見受けられるのは薄手のカッターシャツに長ズボンを着している男子生徒ばかりだ。七月に入った直後来るテスト期間、ここ何日かでもうほとんどの生徒は衣替えを済ましているも様子。
であるならば思い当たる目的は一つ。
彼らを掻き立てるのは男故の”何食わぬ期待”があるのかも知れないが...... この学校でそれはない。なくはないとも言い切れないけれども絶対にないと言い切りたいし言い張りたい。だけどこちらとて男だ、本能や理性に働きかけるのは決して馬鹿馬鹿しいとは思わない......
それに欲望から成る期待は他所に大体の見当は付いてはいるっていうのか......
「あ、あのー......」
クラスにも馴染めないばかりかは。
上級生に話しかけることさえも憚れる、大の苦手意識はあるものの話しかけて見ない事には確かめようがない。ここは諦めて帰るのが一番なんだろうけどせっかく手招いてもらったんだし多少なりとも顔ぐらいは出しておきたいなと、喉を鳴らす。
高まるは稀有な緊張感......
先輩と後輩の関係はもとより立場上、自分よりも目上の人間は上からではなく下から物を申すのが世の常識。あの人気アイドルグループのジョニーズだって最近は年齢関係なく君付けで呼ぶしきたりが崩れていってる訳で年齢基準としての上下感は頭にいれておかなければいけないものだ。
基本的に目上の人間には敬意を払うものとするのが日本人。
ましてや初対面で膝をも折らず王族に向かってタメ口を聞くなんて所業は断じてあり得ない。普通ならその場で即座に首切りものだろう。
なんていう意識から自信なさげに手前にいた人に話しかけたも「あー?」と威圧的な声が返ってきたことで身体が強張る。
これだから、嫌なんだ...... 芽森さんの事で一度眼付けられた紺野先輩みたく。
やっぱり先輩という人種は怖いと...... して。
「そのバッジの色からして、一年か?」
眉を潜めての訝しい表情でありながらも俺に気づいてか。
先輩は質問に応じようと問いただしてきた。
俺はとっさに「あ、はいっ」と畏まった声を上げる。
いきなり横から話しかけたのこっち側も悪いのか。
「あの、ですね先輩、それで一つ聞きたいのですが...... どうして階段付近にこんなに人が集まっているんですか」
「なんだぁ? 知らないのか。それは勿体ないな。だったら後輩に免じて教えてやるよ。ざっと見て分かるように並んでる連中の中に女子はいないだろ?」
「ですね」
「何故だと思う?」
「なぜって、えっ、えーっと、ここでクイズ形式ですか......」
「まぁそう言うなよ、こう見ての通り順番待ちは長い。渋滞で列を成してるテーマパークだろうと俺はスマホ類のアプリは弄らないんだ、ってなもんでさ。少し時間潰しに付き合ってくれよ。教える対価としてそれぐらいはいいだろ後輩君」
...... 今日日スマホを見たり触ったりしていない人がいるのも珍しい。
......って思うも俺だってそうだよ。
自分の順番が回って来るまで場を繋ぐか凌ぐか。
ほい◯んたやなしに、大抵の人間はさ◯まばりにべしゃりくらり延々と話し続けられる訳じゃないから、何か変わりとなる本や暇を潰せそうな物を用意しとかないと大変そうだ。というか事実大変だ。
用途を考えると困るな...... 設定が狭まってきて遂には検索機能自体使えなくなってきてる今。
そろそろ古人種から新人類へと適応しなければならない、分りやすく機種を変更しないといけない時期なのであろうか。
「そういうことでしたら、じゃあ。はい」
どうせ暇な身であって目的が同じなら断わる理由もない。
話相手としてならばと、大人しく頷いたもすぐに「よし決まりだな、ほら俺の後ろに並べよ」と先輩は進めてくるが、そこは首を縦に振れない。
「え、でも順番が......」
「大丈夫、こっそりと入ればバレないって。じゃなくてもたまにいるだろ、1人が順番待ちしていると間に友達が割り込んでくる時が。あれは殺意が湧いて来なくもないけど足崩れ等の事情があればって思えばな」
「別、だと......」
***
「あー、ごめんごめん、もしかしなくても皆さんお待ちになっていたりする?」
「いやっ待つも何もないっていうか、ほんとにもうちょっと勘弁してくださいよー。なんでそんな、え? 遅れるにしても何かしらの理由がないとおかしいって」
「それが聞いてください、僕にも責任があるとはいえ北条さんがここへ来る途中に色々やらかしてしまって、あの。これ何時もの事で済まされないですよね」
「いやいや、コイツですよ。コイツが悪いんですって。僕はほんとうに一切悪くないんですからね。見てやって下さいよ僕の汚れなき目を、そこら辺の子供よりかは純粋な輝きを放ってるでしょ?」
「こらこら、責任の擦り付けすなや。まぁ、そんならしょうがないわな」
「ああそやな、うん、確かにそれはしょうがないね。がっははは」
「なははって、笑いで誤魔化そうとするなや。一遍しばいたろうか!」
――――真に浅ましいながら、かのような会話劇を想像してしまったが。
並みうる権力を持つ方々がまかり通っても一般的にこれは許されはしないであろう、と思うも。そこの所はルールとしてどうなるんだろ。
さも最初から並んでいたかのような振る舞いを見せるというのか。
「ごめん待った?」
「もう遅いよ、何してたの」
会話を混じ合わせながら平然と列へと紛れこむという荒業。凄いかどうかはさておき周りの事を顧みない人や否応なく向けられる視線を気にしない者が用意れる高等テクニックだろうかな。
その時の気分次第で変わってくるものだろうけど。
俺の場合、割って入られるとなると普通に殺意が湧いてくるよりかは関心の方が先に出て来る気がする――等々、下らない事を考えてる間にも空間を確保してくれたみたいで。
先輩が言うのだから割り込んでいいのだろうかとの考えは一旦止めだ。
身体が小さい事も幸いしてか、そこに足を滑らせれば何ともまぁ、ススーっと...... 入り込めた。と、すれば「な? 気づかれない」小声を発すると共に罰を破ったかのような顔を向けて来る。
そこはかとなく思うのは、この先輩は並み居る異性にモテそうだなって......
「さぁて先輩と後輩のお戯れの時間だ、といっても簡単な選択をしてもらうだけなんだけどな」
後ろに並べいけどもさっそく問答を投げ入れられた。
「一つ、アイドル様様気になるあの子に大告白。二つ、秘密裏に行われている売春行為。三つ、俺たち男子高校生の主張」
『さぁこの中の三つの内どーれだ』
なぁんて、言われましても...... 即刻答えたら面白くはないだろうし。
選択を問われるからには箱の中身を言い当てろゲームのような感覚でいようか。
暇潰しって事でもここはちょっと考えてみるとするかな。
(1)俺の中で該当するのは学園屈指の人気を誇る芽森さんだけど、彼女は教室を出るまでは残っていた。ギュウギュウ詰めの中で先回りすることも出来ないだろうし。別件でサイン会を開くにしてもこの学校でアイドル活動をしている女子はいない、かどうかは分からないな。取りあえず告白はないと。
(2)こんな大所帯で目立った行動を取れば怪しまれる、なんと言ってもこの人数だ。屋上へ行こうと男子がこぞって屯している時点で異様な光景だろう。それにもし淫行なパーティが行われるなら昼間ではなく日が静まりきった夜間になるのか...... どちらにしても売春は否定したいな。
(3)なぜわざわざ皆で屋上へ行くのかというと、一人一人が校庭に向かって自らの意思を主張する為。部の伝統で目標を掲げるならともかく、普通に考えて棒アイドルを呼んでもいないのに上から叫ぶ意味はあるのか、少なくても俺は見いだせないからこれもない...... そもそも一つだけ変則的なような......
「先輩の前だからって遠慮しなくていいんだからな? 自分の心に正直であれだ」
数分程度の思考では足しにはならないとしても時間潰しも兼ねて考えていた最中、先輩からの横入り、何となくは「ああ......」と察知した。
これ三択問題というか実質は1択なのかも、もしくは2って言わせたいとみた。
物の言い方からして後輩の顔が真っ赤になっているのをいいことに「まったくもう◯◯君ってば、おませさんなんだから......」ネタでいびようっていう風な。想像している絵面とはベクトルが違う気がするけど。
仮に、そうあくまでも仮にだけれども...... 男の逆らえもしも出来ない純悪な理性、あるいは欲望から2であって欲しいと考え模していようとだ。どちらにしても良く知りもしない先輩の前で性癖を打ち明けようという度胸の強さは持ち合わせていない。実体験でなればこそ、思春期学生にありがちな過ち。子と親の因果関係だからなり得る言いようのない疾しい気持ちになることを思えば幾分マシではあるが。
と、色々考え捻りつつ。
「そうですね、あ。じゃあ3......」
答えようとしたであろうもの。
「つうか君、彼女がいたことがない口でしょ?」
直球に告げてきた。
寸分たがわずなその成りのまんま。
答えるにしてもおどおどしく返答していたせいだろう、俺は「え?」とらしさ全開の声を漏らす。
「見るからに童...... いや、なよっちいっつうかな、モテたいならもう少し堂々としてろよ。まっ、そういう俺も彼女はいてないんだけど。なんて言っても――」
「何時もイイ人扱いで終わっちまうんだよなぁ? ”おい”」
先輩から僅かばかりの耳に痛いアドバイスを貰っていた所で、後ろから声が聞こえてきた。
なぁにバレちゃいないから平気でさぁ、という訳でもなく......
並び順としては俺の真後ろに位置する人物、もう一人の先輩にガッツリと横入りを見られていた模様。
俺はてっきりそこを付いてくると思い謝罪の声を上げる準備をしようしかけたが、順番飛ばしに付いては流してくれるようだ。年齢差から来る上の立場という意識があり、そのお手本にならねばと下の者に対しては厳しく接しようとする傍ら、年下に甘くあるのも上級生、なのだろうか......
「順番を抜かされた事には目を瞑っていたんだがな、後輩の前だからっていい格好がましく気取ってんなよ童貞野郎が」
「う、うっせーなぁ! 諸保志そういうお前だって未だに似たようなもんだろうが」
そう思いきや――お仲間同士に有りがちなただのいがみ合いでしたとさ。
「あー? 誰が一緒だと...... ? やい斜下っ! この際はっきり言っておくがな、俺様は従順に尽くすばかりの軟弱野郎共と違って猪突猛進タイプなのよ...... 当たるも八卦当たらぬも八卦と、街中や校内にかわい子ちゃんがいたら声を掛けるのが男としての礼儀で流儀ってなもんでしょうが。それに可能性からいってそっちのが近いわけっ。まっ貴様には分からんと思うがな」
「尽くす事のなにが悪いんだよ? 俺はそんなのが礼儀なら知りたいとは思わないね、ってか...... お前はもっと羅伊夢さんを大事にしてあげろよ」
「らいむ? バカ言え、勝手に付き纏われていい迷惑してんだこっちは。お陰さまでは手あたり次第声を掛けようとも誰もかしこも寄り付いてくんねぇわ。あいつがいない隙を狙うにも来るとこ来るとこ付いてきやがって...... 心身共々まいっちまってるんじゃ!」
「ほんと良いご身分だな、性格面からいって愛想尽かされないのが不思議でならねぇよ。というか彼女いるのにナンパをするかとかどういう神経してんだ? しかもそれで成功した恋の数が幾つあるって話だよ」
「はん、そっちこそ、純平くん良い人なんだけど...... ごめんね、って毎回のように振られてる癖してよ! いやー断られ方としては普通にダッサいねぇ。結局は場数が物を言うんだってな」
ぐ、ぬぬ......と。
挑発に次ぐ挑発。
どちら共に引かぬ姿勢であらせられる。
出合い頭に一触即発するぐらいだ、それは犬猿の仲であったり生涯のライバル的な関係、ともすれば友達というのか...... 後輩を挟んだ上で喧嘩しないで頂きたいんですけども......
しかしながら双方の先輩達の対立を見ているとこう頭によぎるものがある。
音を奏でながらどこからともなく飛んできては『浮気は許さないっ◯ゃよ......』法律上の結婚制度を破ろうものなら、その制裁として電撃を浴びせられたり。
あーあ、また新手の恋敵が出てきちゃった『◯◯君のバカ......』好いてくれる子がいる事にも気づかず遠慮が遠慮を呼んだりして。
...... 所詮イメージから来る人物像でしかないんだけど。
そうこうと思考を別の所に寄せていれば、一旦喧嘩は収まったようで。
最初に俺が話しかけた斜下なる先輩からの耳打ちを受けた後「そこで聞いていたなら分かると思うけど 同じ男でもああいうのを参考にしちゃダメだからな」一つの助言を授かった
参考も何も理想とは全然違ってるんだけど、先輩からの入れ知恵という事で頭の隅の方に入れておこう。といった所で、
「あ。そうだ、三つの選択を出していたんだっけ?」先ほどの質問に対する答え合わせ。
途中邪魔が入ったとはいえ自身でも忘れるほどだ、あれはほんとうに時間を潰すだけが目的だったらしく。
「正解はな...... どれも外れだ」
当たらずといえども遠からず。
テストへの意欲を高めんとするが為。
もしくは浜慈君や俺同様、それ目的で学校に足を運び往かんとする楽しみがありもうするが故。
とどのつまり先輩達のお目当ては学校に在籍している女子生徒達の【生写真】だった。
......今回ばかりは少しばかり言い訳という名の経緯を言わせて頂きたい。。。
次なるエピソードの間を埋める為に登場して頂いた偉大なる先輩方に関して。(あくまでも似た風な人物)
口調一つとってもキャラ被りは何だか微妙な、として
失礼ながらにちょっとしたクロスオーバーとして出させて頂いています...... この場面で浮かんできてしまったので。さらにはおこがましくいとは思いつつ、もう一方々も少しばかりの描写を......
もうね... 何時も以上にパロにパロってはいますけれども。
図式上は『ラブコメ風』という事でもありますから、なるべく治安を悪くしたくはないんですよね。
だけど......