プロローグ
壊れた世界
プローログ
夜中の1時。
この時代の人で普通の人であればみんなもう眠っている時間。
だけど悠由は普通じゃない。
普通じゃないから今ここで仕事をしているんだけどね。
悠由は夜の闇に消えた。
未来の世界
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2603年。
僕たちは支配され、自由な生活を送れていなかった。
そう…差別が生まれて、医学が進み、役にたたない人間は捨てられ、その人間達は人間とみなされないで人体実験をさせられていた。
もともとは人間達が未来の人間達を苦しめたんだ。
人体実験で最強の体を作った人達は不可能な事を可能にしてきた。
魔法や不可能な程の速い体術。
人間達はその技を可能にしたくて医学をもっと進め、ワクチンとして人間達に打つ。
これからは金がなくても魔法があるから楽ができるね、小説の世界へタイムトリップしたみたいだね〜。なんていうのは、長くは続かない。
この力を悪用する奴はどこにも、どの世界にもいる。
そいつらは集団を作り、医学を進めてきていた人々は悪用する側について行ってしまったのだ。そっち側の人達の事を魔族という。
幸いワクチンは遺伝子にも残るらしく、魔法や速い体術は子孫に残されていった。
ただ、その効果は薄れていき、僕達は魔法・速い体術を使えてはいなかった。
どうしようもない不安を抱え、僕は家に出た。
外出時間は2時間以内にしないと殺されるからだ。
それほどまでに大切な物を買うのではなくて、ただの散歩だ。
まるでユダヤ人差別だなぁ……、と僕は思う。
それ程までに生活は支配され、一日に何百人もの人が死んでいる。
街でとっても不思議で、変わった女性を見た。僕と同じくらいの
年齢で端正な顔立ちだった。思わず見とれてしまう。
この世界では不思議な格好をしている。
彼女はきょろきょろと辺りを見回し、歩いていった。
僕は彼女についていった。
彼女は特に行くあてもないようだった。もう30分はこうして歩いている。
そろそろヤバイかな……。
僕がそう思って腕時計を見たら不快な音がした。
車が人を撥ねてた。
彼女が轢かれていた。
美しい身体は宙に舞い、1回転。そして彼女は何事もなかったかのように着地。
車の運転手は轢き逃げらしくいない。
彼女は僕をチラリと見て行ってしまった。