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あと何日かで死のうと思う
赤い舌先が出され、つづいて白い前歯が覗く。「えへへ」照れ笑うその姿に、可愛いと素直に思った。
ランチタイムか。店員が慌ただしい。食事は平らげ、俺はグラスの底で水と合わさり薄くなったコーヒーをストローですする、ズズッと下品な音がした。
「澪出よう」「うん」
店から出ると、熱気の壁に当たる。39.2℃。暑い熱い。右手でパタパタ、
「澪はいいよね。汗かかなくて」
「うーん、『いいよね』って、あなたの比較でそう思うのでしょ。私には元がないからね」俺の真似をして、右手をぱたつかせた。そして、肩をすくめクスっと笑った。
俺らは手を取り歩き出した。冷んやりとしたその手、『人造人間ラヴァーシリーズ』。その特性がウケてなのか?売れ行き好調との事だ。
「どうしたの?」俺を見上げる。
「何でもないよ」目を合わせ微笑見合う。ごっこだけれど、充実がある。
しばらく、あてなく歩き。寝ぐらに帰った。
今日の出費は750円
あと、3日は生きてみよう。財布の中にある小銭を数え、床に就く。