表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第一話「素晴らしき魔法少女」

この物語はフィクションです。実際の市とは関係ありません。

『三ツ橋市倉川町でドール出現。手の空いている魔法少女は直ぐに現場へ。ドールの数が断定できないため、不必要な戦闘はせずに住民の避難を優先しろ』

 耳元の通信機から司令官の声が聞こえる。三ツ橋市……ここから五分くらい。飛ばせば三分も経たずに着く。よし、行こう!

「ナンバー01、向かいまーす!」

 そう言った時にはもう、足が動いていた。


 上空から三ツ橋市を見下ろす。ドールの数は……二百はゆうに超えているだろう。先に避難を開始している魔法少女が五人ほどいるのが見えた。

 五人もいるなら十分だろうし……避難はまあ、大丈夫でしょ! ドールを片付けたほうが良いよね! うん、そうに決まってる!

「ちょっ、先輩?!」

 下から可愛い後輩の声が聞こえてくる。あたしに向けられたその声を魔法に変換して、ドールに銃口を向ける。魔法タンクは満タン! これなら一気に蹴散らせる!

「ばいばーい、次は人間として会おうね!」

 直後、ドオンと爆音が響く。その音をまた魔法に変換して、もう一発放つ。ドールが次々に吹き飛ばされていく。それがなんだか面白くて、笑顔で銃を構える。

 ああ、魔法少女になって良かった!


「何回言ったら規律が守れるようになるんだ? 何年魔法少女をやってる?」

 いつも怖い顔の司令が、さらにこわーい顔をしている。大したことやってないんだけどなぁ。この後反省室行きかな? あそこ暗くて嫌なんだよねぇ。

「……規律ガイドブックの第五条を読んでみろ」

 そう言って、可愛さの欠片もない規律ガイドブックを差し出してきた。ご丁寧に第五条のページが開かれてある。

「えーっと、どれどれ? コホン。あー、『第五条、ドールの数が断定できない場合の対応について……断定できないとき、不測の事態に備え、魔法力の消耗を抑えることが最優先。よって、不必要な戦闘は避けること』……ですか?」

 他にも細かいことが書かれていたが、まあ特に重要そうでもないから良いか。

「……続けて、第二条のところを読んでみろ」

 まるで三分クッキングのように、どこからかページが開かれてある規律ガイドブックを一冊取り出してきた。

「えー、『第二条、ドール出現地が住宅地だった場合の対応について……魔法少女は住民の避難を最優先とし、戦闘よりも避難を先に行うこと』」

 そこまで読むと、あからさまに司令の機嫌が悪くなった。

「なぜ、これらが守れない?」

 バンと机を叩いて、泣く子も黙る眼光で睨んでくる。

 お説教嫌だなぁ。司令の話、いっつも長いんだもん。この間は三時間も説教されたし。聞く気になんてとてもじゃないけどなれないよ。

 お気に入りの魔法銃をいじっていると、司令が大きなため息をついた。

「はぁ……原稿用紙五枚に反省文を書いて提出しろ」

「はぁーい」

 もらった原稿用紙を雑にまとめて抱える。両手が塞がっているので、足でドアを蹴って開ける。もちろん閉めない。後からまたため息が聞こえた気がするけど、まあ空耳だろう。


 気分転換に外に出ると、倉川町の人々が押し寄せてきた。

「ありがとうございます!」

「あなたは命の恩人だ!」

「助かった!」

 口々に感謝を述べる人々を見て、曇っていた表情がぱっと明るくなる。ついでに原稿用紙を破り、ファンサと称して紙をばらまく。アイドルよろしく必死に紙を拾おうとする人々を見て、さらに笑顔になる。

「本当に?あたしすごい?」

「もちろんです!」

 即答されて、嬉しさが限界を迎える。これ以上ないくらいの満面の笑みを浮かべる。

「あなた様は素晴らしき魔法少女です!」

 周囲の人々もそれに賛同し、何故か胴上げが始まった。きゃははと子供のような笑い声をあげる魔法少女と、その声にあわせさらに高くあげる人々。


「あたしは、素晴らしき魔法少女なんだ!」


           ――ナンバー01 魔法少女アリア

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ