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噛みたいαと大きい背中20

 照は顔をこわばらせたまま、怯えたようにアルファの腕の中で縮こまっていた。後ろから抱えられ、両腕を拘束されている。学の姿を見ると、さっと顔が青ざめ、何か言いたそうに口が開いた。


「照っ!」


 学はアルファたちに取り押さえられながらも照の名前を呼んだ。


「僕が来たから大丈夫だ。──僕が代わりになるから」


 その言葉を聞いて、照が眉を顰めた。


 それから、学の様子がおかしいことに気がついたようだった。ふらついた足取り、真っ赤になった顔、アルファに拘束されていること──そして、学の言葉の意味が分かったのか、照は勢いよく飛び出そうとした。しかし、照はアルファの拘束を解けない。照がその場にいる人間の顔を交互に見た。その場に味方がいないとわかり、愕然とした表情で学を見る。いやいやと首を横に振る。


「照を離せ」


 照を見ながら学が言った。オメガである学を数人で囲い込むのも卑劣だが、もっとか弱い、抵抗できない照を集団で捕まえるなんて卑怯千万としか言いようがない。


 照もアルファども囲まれて怖かっただろう。普段の自信があって、堂々とした表情からは考えられない怯えた顔をしている照をみて、学は泣きたくもなった。状況的にはまだ、何もされていないようだ。学は照がどこか安全なところに行けるように、アルファたちに交渉し始めた。とにかく、この場から照を遠くに逃がしたい。


「僕がお前らの相手をしたらいいんだろ」


 学は交換条件を出した。口から内臓が出そうなおぞましい条件だが、照がこのアルファたちに危害を加えられるよりもマシだ。


 照が青ざめたままぶんぶん首を横に振る。涙目になって、照を拘束しているアルファの服を引っ張るが無視される。何か言おうとして口を開くが、言葉が出ない。反抗して学のところまで再び来ようとするが、アルファに身体を押さえつけられ、あう、とうめき声を出した。


 その様子に学は身を乗り出した。照の口から出てくるのが呻き声だなんてそんなところは見たくはない。自分の身体が嬲り者にされて屈辱を受けるのは絶対嫌だが、照に危害を加えられるのはもっと嫌だった。


「照を放せ。放したら僕が何回でもやってやる」


 学は啖呵をきった。状況は最悪、学の未来も最悪。だが、照が助かるなら、自分の身体はどうなってもいい。


 ……そんな身体になったら、もう照とはあえないと思うけど。


 学の言葉を聞いて、身体を掴んでいるアルファたちの手に力が籠った。アルファたちの息が上がり、はあはあと呼吸が荒くなっている。学の身体を引き寄せその身体をまさぐり始める奴もいる。微弱な学のヒートにあてられている。しかも、今日の学は普段よりも強い発情期がきているのだからなおさらだ。


 抑制剤のおかげでオメガが発情期を押さえられるようになった結果、アルファも同様に強いヒートにあてられる機会が少なくなっているのである。身体の自由がきかないのは、学もアルファたちも同じようだった。


「もちろん水野には相手してもらうよ。でもお姫様はここにいてもらう。見ててもらうからな」


 ──なんだって?


 照の顔がざーっと青ざめた。学もぞくりと血の気が引くのを感じる。怒りで支配されていた感覚が一気に恐怖に変わり、寒気で身体全体が強張り、震えに襲われる。


 照に見られる?


 アルファに犯される姿を?


 オメガの器官に陰茎を宛がわれて、身体が壊れるまで嬲り者にされる姿を?


 ──絶対嫌だ。


「やめ──」


 抵抗の言葉を口にするよりも先に、学は机の上に押し倒されていた。アルファたちの手が学の手足を押さえつけ、一斉に学の服をまさぐる。シャツを破られて、ボタンがぶつぶつと飛ぶ。服がはぎとられた。上半身に付いているものは服の袖くらいしかない。


 アルファたちの力は強いが、学がじたばたと抵抗しているため、服を脱がすのは苦労しているようだった。恐怖で竦みそうだが、このまま何もしないでいると犯されるのだ。学も足をばたつかせてアルファの顔を蹴る。アルファに頬を張られる。抵抗むなしく上半身はほとんどシャツを脱がされた。誰かの手がズボンを脱がそうと裾の周りを引っ張った。


「くっそ」


 抵抗しなければ犯される。学の身体は、怒りと恐怖と発情で熱くなっていた。どれが主なのかわからないが、とにかく、血が身体を駆け巡る。


 学の興奮にあてられたのはアルファも同じだった。獣じみてくるアルファの手が学の身体を強く掴んで怒号をあげる。。


「押さえつけとけ」

「男の服めんどくせー。ベルト切れる?」


 ガチャガチャとベルトを外そうとするアルファだが興奮で上手くいかないらしい。ズボンは最後の砦だ。学も激しく抵抗する。


「ほら、学君が処女開通するからねー。おとなしくしろや」


 複数人に襲い掛かられ、学の体力は限界だった。本当に犯される……と、頭をよぎる。絶望感。いやだ。挿入されたくない。照の前で無様な姿を見られたくない。恥ずかしい。生きていられない。


「水野が終わったら、お姫様も一緒にやっちゃわない?」


 抵抗する力が奪われつつある学の耳に信じられない言葉が飛び込んできた。


 いいな、一緒にやっちゃうの、と別の誰かが漏らす。


「あー、俺もご令嬢とやってみたいかも。絶対処女だし。膣狭そうだし」


 アルファたちの猥雑な言葉を聞き、学に再び怒りが沸き起こった。


 照を侮辱するな。


「てめえら、いい加減に──」


 最後のあがきがクリーンヒットした。学が大きく振り上げた蹴りが、偶然誰かの顔に当たった。そのまま、一人のアルファが後ろに吹っ飛ばされる。机が音を立てて倒れ、硬いもの同士がぶつかって転がるような大きな音が出た。


 ぶつっ。


 大きな音が鳴ったのは別のところでもだった。今度は重たいものが何かにぶつかるような鈍い音が響いた。


 場をひっくり返す大きな衝撃音は、その場にいた全員の動きを止めた。何が起こったのかとアルファが辺りを見回し、学をまさぐる手も止まる。


 一つの音は学がアルファを蹴り飛ばした音だ。では、もう一つの音は何か? 


 音がした方──照が拘束されていた場所には、照が仁王立ちになって立っていた。拘束していたアルファは横に突き飛ばされてひっくり返っている。机に身体をぶつけたようで、脇腹を押さえながら低く呻いて、動けないようだった。その光景をその場にいるすべての人間が唖然として見ていた。

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