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大慈大悲の輪舞――因縁果

作者: イプシロン

あなたがいて

わたしがいて

言の葉の風が吹く


言の葉の風は

(えにし)となり

慈悲が輪舞し

あなたとわたし

親しくなった


偽りの暗雲から

鋼鉄の雨が降る

自由を奪う豪雨に

仏陀は濡れて

金の口を開く


「因の輪

 縁の輪

 果の輪が

 繋がることは

 不自由だ


 時間は存在しない

 今という刹那に

 どの輪も同時にある


 因と縁と果が踊り

 輪舞は光を放ち

 刹那に永遠を映す

 因縁果を超越し

 忽然と今、光は舞い踊る

 これは永遠の真理である」


だがいつの時代も

高徳と呼ばれる

弟子らによって

真理は捻じ曲げられる


人は(ほしい)ままに

過去から今へ

今から未来へ

流れる時ありと

信じて思い込み

因縁果を繋げる


足に鎖と鉄球を

求めて作り出し

みずから自由を

退けるのか


名のある高僧らは言う


「ならば縁を変えればよい

 善果に到れる真言(マントラ)

 力の限り唱えんか

 それ、縁となり善果を生まん」


仏陀は涙は零さぬが

天から光が射してきて

曼陀羅華(まんだらけ)の花が舞う

摩訶曼陀羅華(まかまんだらけ)の花が踊る


眉間に白光(きら)めいて


「それで結果が変わろうと

 因縁果の輪は断ち切れない

 鋼の鉄鎖は断ち切れない


 あなたがいて

 わたしがいて

 言の葉の風が吹く


 因と縁と果が踊り

 輪舞は光を放ち

 刹那に永遠を映す

 因縁果を超越し

 忽然と今、光は舞い踊る


 因と縁と果とに

 差別も優劣もない

 はじめから自由だった

 鋼鉄の雨を運ぶ暗雲も

 雨滴と雨滴の繋がりもない

 いつも青空がある

 真言などいらない

 これは永遠の真理である」


仏陀は静かに合掌する

問う声止めてふたたび問う


「右掌が左掌に触れるとは?

 触れるという幻想か?

 触れぬという確信か?

 右掌が因で、左掌が果で

 両掌を合わすが縁なのか?

 触れるも触れぬも空である

 われらが世界の天空は

 青空であり(くう)である

 これは永遠の真理である」


天は慈悲と歓喜の雨降らす

曼陀羅華(まんだらけ)が舞い

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)が踊る

生と死の光彩と

摩訶曼陀羅華(まかまんだらけ)が舞い

摩訶曼珠沙華(まかまんじゅしゃげ)が踊る

悟りと迷いの光彩と

大慈大悲の虹が輪舞する


あなたがいて

わたしがいて

言の葉の風が吹く

大慈大悲が輪舞する

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