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貴方が気づかせた恋が〜①小鞠side

「ただいま〜」

家に帰ると真っ先に飛び出してきたのは、

「ただいま〜カプチーノ〜」

トトトトトと猛ダッシュで飛び込んできたのはうちのいもうとのカプチーノ。わふわふと全身で擦り寄ってきてちょっと暑苦しい。

「んもう、重いよ〜降りて」

遊んで遊んでとしっぽふりふりするカプチーノを、また後でねとだっこして床に下ろすと、部屋に着替えを取りに行く。

「ただいま、お姉」

「うわぁっ!? あ〜びっくりした〜マリか〜」

慌てて仰け反る鞠絵姉。片方の手で何か隠したのは、

「お姉、また新しいの買ってきたの??」

「あはは……ナイショにしといてよー?」

「それはいいけど…………お姉、受験勉強は?」

「大丈夫、うちは出来る子だから」

キリッとした顔でサムズアップするお姉。その自信は一体どこから…………

「あっそうだマリ、こないだ貸したやつの続きあるけどどうする?」

「あぁ……あれ……うぅん、いい……」

思い出して顔を背ける。…………お、お姉、なんであんなモノ持ってるの…………///

「そっかぁ、まだマリには早かったかぁあの束縛系ドロドロ」

「あぅ……」

昨日の夜中に読んだマンガを思い出して頬が熱くなる。……か、片想いを拗らせて相手をストーカーして……えっちなこと仕掛けるなんて……

「マリはお子ちゃまだなぁ」

「うっさいなぁ!! てかなんでお姉こんなもの持ってるのさ??」

「ツテだよツテ。それにエロじゃないもん」

「…………へんたい」

鞠絵姉からマンガ借りるのやめよっかな……うちまでヘンになっちゃいそう。

「小鞠ー、早くお風呂入っちゃいなさい」

「うんー、分かった」

着替え一式を抱えて下に降りると、待ち構えてたカプチーノの遊んで攻撃をなでなでして交わして、台所にある夕食の残りの唐揚げを何個かつまみ食い。それからお風呂に向かうと、

「もー、カプチーノのえっち」

またカプチーノを抱えて追い出すと、ジャージを脱いで洗濯カゴに投げ込む。

(……そういえば和知先輩の、凄かったな)

洗濯が終わって乾燥機へと移すのをうちも手伝ったけど、とにかく凄かった。ヒモだったり……レースだったり……透けてたり……え、えっちなのばっかり……

(小鞠は、こういうの、無いの?)

きょとんと小首を傾げた和知先輩に、うちは答えられなかった。

(…………じ、上級生はあんなの持ってるのが普通なの???)

目線を落として自分の地味ーなグレーの上下とさっきの記憶を見比べる。…………お姉も、そういうの持ってるのかな…………ちょっとだけ借りてみようかな???


身体を洗って湯船に身を沈めると、今日のことをしみじみと思い出す。お姉のマンガのせいで寝れなくなってごろごろしてたら寝坊して、ご飯も食べずに制服だけ引っ掛けて二アマートに駆け込んだら和知先輩とぶつかって、謝ろうと思ったら…………す、スカートめくられて、顔覗き込まれて……あぅぅ……

その時のことを思い出しちゃって、湯船に顔を沈めてぶくぶくする。真正面からのぞき込まれた時の先輩の顔は、うちと違って真っ白で、吸い込まれそうな眼差しで、一目でうちのことを虜にして。顔に添えられた指の感触も次第に思い出してきて…………あぅ……更に深く沈む……ぶくぶく……


その後、「いつまで入ってるの」とお母さんに怒られてとぼとぼとお風呂を出て、お姉との部屋に戻って自分のベッドにぽふっと転がる。

…………和知先輩も今頃お風呂かなぁ。いやでも着替えてたし、この後どこか行くのかな?

「マリー、今度は後輩ものだけど見るよね?」

「い、いい……」

先輩と後輩モノは、今のうちにはシゲキが強すぎるもん…………

切れかけた蛍光灯のちかちかの下で、くるくる回る洗濯物をぼーっと眺める先輩の横顔が不意に頭に浮かんで、枕に顔を埋めて足をじたばたする。

「どうしたマリ」

「な、なんでもないよ」

「ふぅん? 」

顔を上げると、何かを思いついたようなお姉の顔。あ、これは何か企んでる時の……

「遂にマリにも春が来たか??」

「違うって、先輩とはそんなんじゃなくて」

あっ……

「そうかマリの相手は先輩か!!」

キラキラした眼差しになるお姉。こうなったらもう止めようが無い。

「よーし、早速ツテ頼って聞いてみっか!!」

「お姉やめて!!」

地元故にお姉の知り合いは星花にも結構いるから、うちと和知先輩の話が知れるまでにそう時間はかかんないだろう。

……あぅぅ、どうしよう……

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