表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/33

第12話 新たな分裂

 シズオカ416。それがこの町の名前、というか地点。壁に囲まれた、今までの町より敷地が広大で、トーキョーよりもちゃんと機能しているかもしれない。

 ゲートをくぐってすぐ右折、曲がれば紺色の四角い建物が見えた。SとCの大きな看板が入り口の上に取り付けられている。

 バイクを駐車スペースに寄せて、電源を切ってから降りた。ハンドルブレースに取り付けたホルダーに固定していた中古スマホをポケットへ。ジェットヘルメットはハンドルにかけ、グローブはリュックに入れる。

『大きなサービスセンターですね』

「ほんと、無駄にデカい」

 出入り口に近づけば自動ドアがスライド。マットを踏んで進めばまた自動ドアをくぐる。

「いらっしゃいませ。真守様ですね」

 丁重に頭を下げるスーツを着た男が現れ、今までにない扱いに緊張してしまう。

「ど、ども」

 受付カウンターには店員が複数横に並んで座っている。カウンターを挟んで向かい合うように座っているのは、この町の住民だろう。

 他のサービスセンターとは違うのは、デスクトップパソコンのスペースが全て個室だということ。あれだ、ネットカフェみたいな感じ、併用しているのか?

 個室から一人、作業着の男が出てきた。金に染めた短髪で、細身の体格。どこか物憂げな表情のままリュックを肩に提げて足早に外へ。

「ドクターFはお元気ですか? なかなかにお忙しい身でしょう?」

「そう、みたいです。今はラボにいて元気そうでしたよ」

 正直ドクターFのことはよく分かってない。なんか変な人だなってことぐらいか。

「それはそれは。真守様、本日はどういったサービスをご利用でしょうか?」

「あぁ、ちょっとパソコンを借りてもいいですか? 探し物をしているんです」

「是非是非お使いください」

 なんかやりづらい。さっさと行ってほしいもんだ。

 早速俺は受付なんてすっ飛ばして、先程空いた個室に入ると、

『なにか、忘れ物ですか?』

 聞き慣れた女性の声が。

 俺は思わずポケットを叩いた。

『私じゃありませんよ』

 少し不満そうに返ってくる。じゃあ誰の声だ? デスクトップパソコンに顔を向けた。

「何か言った?」

 そう声をかけてみるが、パソコンから何も返ってこない。

「やっぱりお前だろ」

 ポケットからスマホを取り、軽く睨んだ。

『ちゃんと黙ってましたよ』

「ウソつくなよ」

『疑うなんて酷いです! あと、お前じゃありません。ちゃんと名前で呼んでください!』

「はぁ、それ今関係ないって」

『関係大ありです!』

「……善処するって言っただろ。で、さっきの声は」

『あっ、話を逸らさないでください!』

 

『あの! こんなところで痴話げんかはやめてください。SCのブラックリストに入れますよ』


 俺達は思わず黙った。スマホじゃない、パソコンから確かに声が聞こえた。人のように流暢に喋っている……――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ