プロローグ
別サイトで投稿していたものを少し編集して投稿したものです。
よろしくお願いします!!
ガラクタばかり、金属板や骨董品のような家電が山なりになった町で、少年は充電を待つ。
『充電コーナー』と、液晶モニターが表示するスペース。太いコードを辿れば一台のオートバイがあった。
真っ黒な塗装が施されたクラシカルなクルーザーバイク。
「……今度は船だってさ」
バイクに凭れる少年は手に持つスマホに独り言。
通りがかった子供は、手を繋ぐ母親に、
「あのおにいちゃんだれとしゃべってるの?」
訊ねる。母親は何も言わず手を引いて早足になった。
少年は口に軽く手を添えて、スマホをハンドルに取り付けたホルダーに接続させる。
『充電が完了しました』
充電コーナーの端末から発せられたアナウンスに、コードを引き抜いた。
充電用コードを巻いてリュックに戻す。
シールドがついたジェットヘルメットを被り、顎のベルトを締めた。革製のグローブとブーツの締まりを確認した後、跨る。
始動スイッチを親指で押せば、静かな電子音だけが聴こえた。
「よし行くか……あ」
スマホに喋りかけた後、少年は気まずそうに周囲を確認してから右ハンドルを捻る。
静かに動き出し、電子音を響かせて町を出た。
「お前のせいだ……こんな癖になったの」
荒廃した景色、ひび割れたアスファルトの道路しかない風景ばかりが続くなか、少年は呟いた……――。