お前を産んだせいでお母さまが死んだのよ!と姉に責められ続けた妹が、姉に強制され特別な魔法の紡ぎ糸を作り続けた。その手柄を姉は己のものにして王太子と婚約してしまい…いじめられ続けた妹が幸せになるまで
お前のせいでお母さまが死んだのよ!
お前を産んだからお母さまが死んだのよ!
あんたなんて生まれなければよかったのよ!
私は幼いころから姉に呪縛のようにこう言われ続けてきました。母は私を産んだ後、体を悪くして死にました。
父も私をみてため息をつきます。母が死んだのはお前のせいだと姉と一緒に責めるのです。
そうして10歳で「紬ぎ糸」を作るスキルがあるとわかると…。
姉の代わりにこの魔法が宿った糸を作らさせ続けてきたのです。
このスキルは非常に珍しいものでした。
だから誰にも知られず…姉は魔力がこもった糸で織ったドレス等を用意し、それを売ることができたのです。高い魔法防御、魔法付与も可能という万能な服はよく売れました。
姉のスキルは「織姫」でしたから…。
糸を綺麗に織り上げ布にして、ドレスや魔法耐性の高い服を作る。
織姫のスキルは珍しいものではありませんでしたが、魔力のこもった布を織りあげることができる人は今までいませんでした…。
紡ぎ糸は今まで誰も持っていなかったスキルで…。
父がスキル判定をして驚いていました。
姉はスキル判定師である父に私のスキルを隠蔽させ…自分の手柄にしてきたのです。
幼いころに母を亡くしたかわいそうな娘たちというのなら私はかわいそうじゃないのかな。
今日も紡ぎ糸を作りつつそう思います。
「殿下が早く魔法の礼服を作れっているのよ、すぐ紡いで!」
今日も姉に命令をされます。
もう手が痛くて冷たくて…でも姉は容赦しません。カラカラと紡ぎ糸を紡ぎ続ける私。
姉が殿下と婚約してからもっと紡げと言われるようになりました。
「婚約者の殿下が私に期待してくださってるの早くしなさい!」
あんたのせいでお母さまが死んだのよ! と姉は言いました。
15歳になるまでの15年間地獄でした。
姉が特別なスキルで王太子の婚約者に選ばれて喜びましたが、運命は変わりません、紡ぎ糸は死ぬまで紡がされ続けるでしょう。
「……疲れた」
魔力がもう枯渇しているのがわかります。
紡ぐのもさえペースが遅くなっている。姉はそれも気が付きません。
「…どこか遠くへ行きたいな」
窓の外には白い鳥が飛んでいて、鳥になりたいなと思います。
それはできません。私は糸を紡ぎました。でももう魔力が込められない。寒くて死にそうもう1週間もろくに寝ていない。婚約式に間に合わせろと蹴り飛ばされ怪我もじくじく傷みました。
ああ下手をしたらあの姉に殺されるという恐怖が私を襲いました。
私は…殺される前に…抵抗してやろうと思い、すべてを暴露にすることにしたのです。
「…隣国の王太子の婚約者が処刑されたそうだね」
「みたいですね」
私は馬車にごとごと揺られながら、隣に座った見も知らぬおばさんと話をしています。
私はカバンを手におばさんに貰ったクッキーをお礼を言って食べました。
「どこに行くんだい?」
「アステル国に親戚がいるので…」
「そうかい」
隣国の王太子の婚約者はスキル隠蔽というもっとも重い罪を犯したそうです。
私はサクサクのクッキーを食べながらそうですかあと笑いました。
スキル隠蔽、スキルを偽ることは我が国で一番重い罪。
「それはそれは…」
私はただ…織姫のスキルしか姉は持っていないと、密告の手紙をスキル判定をする協会にだしただけですわ。
スキル判定師であった父に遠慮していた私がばかでした。
父もスキル隠蔽により処罰されて牢屋に入っています。
私は彼らとともに連座されることを想定して、隣国アステルに逃げ出しました。
婚約破棄され処刑されたお姉さま、私の魔力が枯渇したことがわかったらあなたは私を多分殺したでしょう。
でも私はもう自由。
紡ぎ糸のスキルはまだ使えます。
この能力を使って、生きていきましょう。
魔力がなくても品質の良い糸ですから。
私はにっこりと笑い、窓の外を飛ぶ白い鳥を見たのでした紡ぎ糸のように美しい鳥を。
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