早すぎた埋葬〜超短編集〜
『早すぎた埋葬』
彼は、棺の中でよみがえることを極度に恐れていた。
もし生き返ったら、どうすればよいのか。
暇があれば、その対策を考え続けた。
酸素ボンベ。
潜水で使うようなエアボンベではない。
少しでも長時間生き延び、救いを待つためである。
携帯電話。
絶対放電してしまわない特注品の電池入りだ。
地上にまで伸びるアンテナも用意した。
水と食料はたっぷりと。
パニックに陥らないよう安定剤も忘れない。
とうとう、その日がやって来た。
あえぎながら彼は、処置に間違いないよう周りの者に念を押した。
そして、彼は逝った。
遺言どおり、腐臭が漂い始めるまで彼の遺体は、この世に留め置かれた。
医学的に考えて、もう絶対に蘇生の可能性はない。
何年も前から用意された彼のひつぎは静々と墓穴に下ろされた。
土がかけられた。
墓石が乗った。
携帯のアンテナは確実に、棺とつながっていることが確かめられた。
会葬者は墓地を後にした。
と、とつぜん男の長男の携帯が鳴った。
「何だって! 埋葬が早過ぎたって?」
その言葉に周りの者は絶句した。
「ええっ! まさか、そ、そんなことが……」
長男「棺に遺体をまだ入れてなかったんだって」
次男「かついでくるのが、早過ぎたなあ」
末っ子「なんだ、またやり直しかよォ」
『ガラスのくつ』
シンデレラ「あー、カイカイカイ。くそーっ、だれか水虫のやつがいやがったナ」
使いの人「たくさんの女の人の足に合わせましたからねえ」
『動物のケータイ屋さん』
店員「超ロング携帯が入荷しました」
店長「よかった、馬さんが待ってたんだ」
『動物のパンツ屋さん2』
店員「ゾウさんのパンツが品切れです」
店長「カバさん用のではダメかい?」
店員「少し小さくて、入らないそうです」
店長「そうだ! おーい」
店長の妻「はーい、何か用?」
店長「おまえ、一度このパンツをはいてやってくれ」
店員「ピッタリになったと、試着室のゾウさんが喜んでますョ」
『透明人間のパンツ屋さん』
店長「奥さま、シースルーのパンツが入りました」
奥さま「いやーん、恥ずかしい!」
店員「女心ねェ」
(おしまい)
〔これらの物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係ありません〕
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超短編集『美しい水車小屋の娘』『虹色のくも』『はだかの王さま』『森の熊さん』『うさぎとかめ』『アラジンと魔法のパンツ』もよろしく。
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