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3/11

昼休みのマナミ。







「ったく、もう! 翔のくせにむかつく! 誰に向かって口きいてるのよ。次に会ったら、ただじゃ置かないんだから……!!」


 ――昼休み。

 マナミは翔のいる教室へと向かうため、廊下を歩いていた。

 いつもならスマホで呼び出すのだが、今朝の一件もあってか応答はない。そのため仕方なし、彼女は数メートル離れた目的地へ向かっていた。

 心中で、何度も翔のことを足蹴にしながら。


「あぁ、良いところにいたな。斎藤、少し時間良いか?」

「え? ――あ、武藤先生」


 だが、その道中でマナミに声をかける人物があった。

 その男性の名は武藤――マナミの所属する女子テニス部の顧問。経験者ではなく、あくまで顧問教員であるためか、ひょろっとした見た目をしていた。

 そんな彼は眼鏡をくいっと上げながら、マナミを手招きする。


「なんですか? こんなところで……」


 それに従ってやってきたのは、体育館倉庫の裏。

 人気のない、日差しの差し込まないそこは、空気が湿って淀んでいた。


「お前、駒田と別れたんだってな?」


 そこに到着すると、武藤はふいにそう口にした。

 そして、


「え、なんですか? 別にまだ別れたってわけじゃ――」

「それなら、俺と付き合え。斎藤」

「――え……?」


 否定しようとしたマナミの言葉を遮り、そう告げる。

 髪を弄って暇つぶししていた彼女は唖然として、武藤を見た。するとそこに浮かんでいたのは、なんとも嫌らしい笑みだ。


「あの、先生? なんの冗談――」

「キャプテンになりたいんだろう? 推薦が欲しい、とも言っていたな」


 彼は舐め回すように少女を見て、鼻息荒く続ける。


「それは、そうですけど……」

「なら俺と付き合え。そうすれば全部、手に入るぞ?」


 ――ジリ、ジリと。

 マナミへの距離を詰める武藤。


「冗談でしょう? 先生、結婚してるしお子さんも……!」

「ははは、何を言うんだ。こうなったのは、お前がいやらしい身体つきをしているから、だろう? 毎日、俺に色目を使っていたじゃないか」

「ひっ……!?」


 そこに至って、マナミは全身に鳥肌が立つのを感じた。

 この教員の視線は、本気だ、と。


「い、嫌です! それにアタシ、まだ翔と別れたわけじゃ――」


 少しずつ詰められる距離。

 逃げ道を探しながら、マナミはこう叫んだ。




「助けて、助けなさいよ翔……!」――と。




 同時に、武藤を突き飛ばす。

 男性といえど痩身の彼は、いとも容易くその場に倒れた。


「く、まて……!」

「助けて、助けて翔!!」



 追いすがる武藤に、逃げるマナミ。

 昼休みの体育館倉庫の裏には、気色の悪い男が残されていた。



「許さない、許さないぞ……!」



 そして、その男は呟く。

 目を見開いて、マナミの駆けて行った方を睨むのだった。



 


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「完全趣味作のヒューマンドラマ」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[一言] マナミはまあどうなってもいいとしてもよぉ…… 武藤先生さぁ、妻子持ちっつーのに何のマネなんだテメェ?
[一言] マナミに非があるとはいえ、クズ教師の手にかかるのは、暴力ヒロインとはいえ、ちょっと可哀想かなと。助けてやりましょう。ラブコメ指数もマイナスからプラスになるかもしれないですし。あくまで希望です…
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