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俺と彼女の死亡遊戯  作者: 松竹梅
第1章:終わりの始まり
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疑惑の料理センス

「えーーと……。何? この冷蔵庫の中?」


佳世がそう聞いてくるのも当たり前だ。

冷蔵庫の中には調味料と卵以外、全てが近くのスーパーで買って来た惣菜ばかりなのだから。


「たっくん、何時もこんなものばかり食べてるでしょ」

「いや、別にこれで体壊したこと無いし」

「ダメだよ、スーパーの惣菜ばっかじゃ」


そう言われても、料理が出来ないんだから仕方ないだろ。

一応、健康のためにサラダはしっかりと買ってはいるんだけどな……。


「もう! たっくんは座ってて。今あるものだけでなんか作ってみるから!」

「…………」

「何?」

「爆発とかしない?」

「する訳ないでしょ! 人を一体なんだと思ってんの!?」

「なんか呪い殺すスパイスとか入れられそうな気もする」

「失礼だよ! ここは男の子なら素直に受け入れるところじゃ無いの!?」


身内に殺人料理を作るやつがいなけりゃ、俺だってここまで止めはしない。

しかし、これ以上反抗しても、佳世は首を縦には振ってくれそうにもない。


「……分かった。じゃあ、頼むわ」

「うん!」


俺の返事を聞き、早速佳世は準備を始める。


「たっくんは、いいから座ってて」


佳世の後ろをジロジロと覗く俺が鬱陶しいのか、そう言ってくる。


とにかく食材の中に無機物が入ってないと確認が取れた俺は、台所横のリビングの椅子に座り、テレビをつける。


「そういえば、たっくんの家に来るの、久しぶりだよ〜〜。何年ぐらい経ったのかな?」

「あーー、小学生の四年ぐらいだったか。お前が習い事しだした時から、ぱったり来なくなったよな」

「そっか〜。じゃあ、かれこれ六年ぐらい来てないのか。でも、あんまり変わって無いね」

「そりゃ、そうだろ。引っ越ししない限り変わらないだろ。むしろ、俺たちの方が変わったんじゃないか?」


思わず声に出した言葉が空気がしんみりとさせる。


「……そうだよね。あの時は何時も一緒に遊んでたのに、いつの間にか遊ばなくなって……。中学生の頃から、女の子の友達としかできなくなっちゃて、たっくんともお話ししなくなっちゃったよね。なんでだろう?」

「……なんでだろうな」


俺が知りたいぐらいだ。いつも物思いに深ければ、こいつの顔ばかりが頭の中に浮かんでくる。

それだけ大事に思いながらも、何故だか歳を追うごとに離れていくような気がする。

もっと近づきたい、話がしたいと思いながらいざ面と向かえば、言葉に詰まる。

そんな自分に嫌気が差すんだよ。ちくしょうが。


「お待たせ〜。オムライスにしてみました〜」


頭の思考が百八十度反転し、再びの脳内アラームの嵐が俺を現実に連れ戻す。

嘘だろ。調理し始めてまだ十五分たってないぞ……。


運ばれてきたオムライスは見た目は例のようにオムライスだ。

チキンライスを包んだ卵には亀裂は一切入ってなく、ケッチャプで可愛らしい猫が描かれ、白い湯気は出来立てだと証明している。


しかし、見た目など二の次。

問題は味だ。

こういうのは一時間ぐらいかかるもんじゃないのか? それが何故にこんな早くにできるんだ?


「ささ、どうぞ」

「…………」


目をキラキラさせながら、そう促してくる佳世の重圧に耐えられずに、ついに俺は一口を体内への侵入を許す。


パクリッ


…………………。


「……美味い」

「でしょ〜〜!」


意外や意外。スーパーなんかで売られている既製品の何倍も美味い。


「もう、美味しく無いとでも思ってたんでしょ」

「うん」

「ひどっ!」


いや、どう考えたってこれはそういうフリだったろ、これ。これで俺が無理して美味しいって言うところだろ。


「これはこれで罰ゲームだ……」

「そして、理不尽!」


そうは思っても美味いものは美味い。スプーンが無心で口にオムライスをかき込む。


「そんなに急いで食べると胃に悪いよ」

「大丈夫だよ。若いから」


かなりのボリュームがあったが、ものの二十分で食べ終わってしまう。


「ん……ごっそさん」

「お粗末様でした」


久しぶりに人間らしい食事をしたような気がする。

料理なんぞしなくても買ってくれば良いと思っていたが、考えを改める必要があるかもしれない。


「それにしてもお前が料理できたんだな」

「まあ……うん。人並みにはね」


歯切れの悪い回答が返ってくる。まあ、どうでも良い事か。

さあて、せっかくかったるい授業が休みになったんだ。これからどうしようか。


とにかく……ゲームだろ。


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