1時間目終了後
まさかの正宗が風邪を急にひきだした。
38.6℃の高熱が出て、今は保健室で寝ている。
まだ学校に来て少ししかたってないのに。
俺はいてもたってもいられず保健室に飛び込んだ。
保健室には保健担当の平井が正宗の隣で心配そうに見ていた。
「正宗っっっっ!」
「ゆた……… 早く、戻らないと……」
「戻らないよ?隣にいる。」
「だ………め………移っちゃうよ…」
「正宗に移されるならいいよ!それに、寂しいから………」
俺は正宗の手をそっと握った。
「ほら、君、移ってしまうから、早く戻りなさい。先生が見てるから大丈夫だから。」
「嫌です。絶対に離れません。」
「ダメです。君に移るといけませんから。」
「僕は移ってもいいです、正宗に移されるなら。」
俺は必死に正宗の隣にいたいと訴えた。
しかし頑固な平井はなかなか認めてくれなかった。
「お願いします、正宗の看病させてください。正宗の隣で看病させてください。」
「ゆた……… 先生も………だ、、め、、、、、って言って、、、、、る、、から、」
「正宗、無理して喋らなくていいから」
先生は困り果ててた。
授業も遅れるし、何より移るといけないから先生も悩んでるんだろう。
しかし、俺らは誰にも相手にされなかったんだ。教師にも。
今更そんなこと言ったって大切なのは正宗だから。意地でもそばにいる。
「分かりました、何かあったら先生に言うように。」
「先生……… ありがとうございます!」
俺は正宗の手をぎゅっと握った。
「ゆた……… あったかい。好き……」
「正宗っ…… 無理しなくていいから、今はゆっくり休んで。俺は正宗の隣にずっといるよ。どこにも行かない。」
「ゆた……… 」
正宗はゆっくりと眠った。
熱が高く苦しそう。
出来ることなら変わってあげたい。
正宗の苦しそうな息遣いは見てられなかった。
けど、それでも正宗は頑張ってる。
俺はそんな姿を泣きそうになりながらひたすら頑張れ、頑張れと応援しながら看病し続けた。
「正宗っ…… 好きだよ。」
俺は頬に軽くキスをした。