授業開始10分前
「おはよー!ゆたー!」
授業開始10分前に登校してきた正宗。
元気な声がクラス中に響く。
だけど誰も見向きもしない。
呼ばれた本人以外は。
「おはよー!正宗っ!」
自分は正宗のところに飛び出した。
いつもと変わらない匂い、暖かさ。
朝から抱きついた。
「ゆた、朝から…… 自重しよっか?笑」
そんなものできるかって話。
どうせ誰も気にしないんだから、自分が正宗を抱くんだよ。それと、一番大切だから。
「無理ですっ!」
もっと強く抱きついた。
さっきより何倍も強く、優しく。
「はぁ…… はいはい、」
正宗は自分を優しく包んでくれた。
教室の窓側の席で、朝から。
「ほら、もう時間だよ?一時間目は理科室!早くしないと怒られるよ?」
「誰のせいですか?笑毎日毎日ギリギリにくるのは……大体、家遠いのはわかってるけどもう少し早くならないの?!……(ry」
正宗は満面の笑みを浮かべて無言を貫いてきた。
「はぁぁ……全く……」
「ゆたはね、俺のものだから、誰にも渡さない、あげない、ね?」
俺は正宗には弱い。
それを知ってる正宗はすぐに甘える。
可愛くて仕方が無いので許してしまう自分をもっと鍛えなければ……