Start Your NewLife
がち、久しぶりの投稿です。温かく見守ってください
「ハーイ、みなさん!こんにちはーー!」
今現在俺は真っ白い空間にいる。いや、俺というのは間違っているのかも知れない。ここで訂正するというならば、『俺たち(・・)』だろう。
俺はいたって普通の学生だった(・・・)。だったというのは、恐らく普通にはもう戻れないと思ったからだ。
「皆さんにはこれから、異世界へ行ってもらいます!ん~っと、WWOって知ってるのかな?あの世界に似た世界なんだけど…知らないか」
WWOとは、確か〔Weapon World Online〕の略称だったはずだ。世界トップシェアを誇っているWorld Emblem社が発売したフルダイブ型のゲームだ。世界各国で発売され、βテストは2,500人に対して約82,000,000人の応募があった。志望倍率は34,000倍を叩き出したほどに人気なのだ。
第一陣プレイヤー用には世界各国で7,000パックが用意された。ホームページで発表されてからわずか10分で予約が終了したほどだ。…まあ、俺も予約できた。ちなみに本アカ用の1つと、サブアカ用の2つもだ。
こんなにも有名なゲームを、俺以外は知らないようだった。
「えっと、最初に説明しますね。皆さんは、全員が同じ世界の住人ではありません。並行世界という言葉を知っていますか?例えば、魔法がある世界とそうでない世界。例えば、空想の生物がいる世界と居ない世界。つまり、みなさんは同じようで同じではないのデスよ!ところで…ここで言っておかなければならないことが一つあるのデスよ。皆さんには、これから異世界に行って貰うのデスが、もう二度と元の世界には戻れません。新しい生を、楽しんでいただきたいと思ってますよ。」
彼女…で、あっているのだろうか?まあ、ここは彼女と仮定しておこう。彼女が「それでは!」と言って消えた瞬間に、今まで黙っていたであろう周りから怒号が沸き立った。曰く、「ふざけるな!」や「なんで俺なんだよ!」という輩や、「やった!異世界だ!」と喜んでいる者もいれば、「お父さん…お母さん…!」と泣いている者もいる。うむ、やかましい!
「確か、WWOと同じなんだよな…。なら、【Open:System Window】」
出てきたのは、透明なスクリーンのようなもの。もちろん、周りに見えるものではない。彼女はWWOに似た世界と確かに言った。つまりは、WWOで使われていたworld edit accelerator personal only number【通称:w.e.a.p.o.n】があるということだ。これを直訳するのなら、【個人の数だけ世界の編集は加速する】といったところか。
まあ、weaponはゲーム中でも戦争のための道具として使われている。そして、戦争が終わるとその地域は復興をしない限り、現実と同じ速度で修復されていく。つまりは、現実の戦争と同じわけだ。都市もそうだ。戦争で受けた傷跡は戻るどころか、修復しない限り酷くなっていく。風化し、森に飲み込まれていくのだ。
数百年前に原子力発電というもので、電力を生み出していた時期があった。だが、ある時に暴走し、その地域一帯が高濃度の有害物質で汚染された。生き物が住めず、封鎖されたエリアは、今もなお汚染されている。しかし、生き物が住めなくなった代わりに自然は回復していった。ゲームでは状況が違えどこんな場所が多く存在している。
失った命が戻らないように、Player以外のNPCと呼ばれる人たちは戻らない。
昨日までいたNPCが、『戦争に巻き込まれて死んでしまった』ということはザラにあった。Playerの中には、「高々NPCだろう」というやつもいたが、そんな問題ではないのだ。捨てられた子供がいれば、物乞いをする大人もいた。
Playerの中には、そんな人たちを見下している奴らもいたが、そんな奴らがNPCとのミッション中にNPCに(・)背中から撃たれて撃墜されるというのを何度も見てきた。その際、NPCから個人回線で通信が入ってくる。「今から、○○を撃墜する。邪魔をするな」と。
ワケを聞けるが、大抵は「私の戦友が、あの機体に乗っている輩に銃殺された」だとか、「町の住民から頼まれた。この町から弱者を遊び半分で殺すものを排除してくれと」と返ってくる。これは、【NPCからNPCに対する依頼】、もしくは、【NPCによる戦友の復讐】になる。
つまりは、【Playerの行動】が【Player自身を殺す】ことになる。この依頼・復讐で撃墜した場合は、修理費が通常の100倍という額になる。ただでさえ、軽い損傷でも修理費が70,000,000セルもかかるのだ。
無論、Playerの整備士に頼むこともできるが、この時だけは、整備士のPlayerにもペナルティが発生する。
必要な資材が、そのPlayerに対してのみ8倍の値段で売られ、整備成功率も通常の四分の一も半減する。つまり、整備成功率100%のPlayerでも整備成功率は25%に激減するということだ。
経験値も旨味がなく、資材と資金が悉く減る。このせいで、Player整備士が依頼を受けることはまず無い。NPC整備士が依頼を受けてくれることもある。が、その場合大抵が、犯罪に手を染めていたり、違法改造を施す爪弾き者のNPCだったりする。
違法改造を施されたweaponは正常に機能せず、空中分解なんてよくある。
さて、ゲーム時代のWWOのことを長く語りすぎたか。どうやらここは、個人の意思で動くことができるようだ。取り敢えず、どんな奴らが呼ばれているのか見て回るか…
―――結果、一人の少女に懐かれた
…はい?
ちょっと回想しようか…
・どんな奴がいるのか見て回ろう!
・うん、性別とかはスッゴイばらつきがあるね!
・あれ、泣いている子がいるね?
・あやして、落ち着かせてみた!
・どうやらこの子の兄に似ているらしい
・懐かれた!←今ここ
…うん、わけわからん!
「お前、名前は?」
「…火野坂 夜久。お兄ちゃんは?」
「白鷺蒼葉だ」
「じゃあ、アオ義兄さんって呼んでもいい?」
「好きに呼べ。でだ、お前、ここに友達とか来てるのか?」
「うん、1人だけいたよ。えっと、どこかに行ったきり帰ってこないけど…」
「あれじゃないのか」
遠くから、ブンブンという擬音が聞こえてくるほどに手を振っているのが近づいてくる。「夜久~!」との声も聞こえてくる。
「夜久!大丈夫だった?なにもされてない?お前か~!」
「うるさい」
「へぶっ!」
うるさかったから、頭にチョップを入れておいた。女子ががしてはいけないような声だったが。
「痛いな、もう!」
「うるさくするお前が悪い」
「…夜久!何か言ってやってよ!」
「え~っと、瑠璃ちゃん。さすがに瑠璃ちゃんが悪いかな?」
「ガーン!夜久~」
「ところで、お前らは【WWO】を知っているか?」
「私たちは知らないかな?瑠璃ちゃんが、知っていそうな人に聞きに行ったんだけど…」
「どうだったの?」と夜久が聞くが、答え辛そうに瑠璃が口を開く。
「誰も知らないってさ。ゲームが好きそうな人に聞いて回ったけど、誰も知らないってさ」
「ふ~ん、やっぱ知ってるのって俺だけか…」
「「えっ?」」
「んじゃあ、チュートリアルから始めますか」