遺跡へ
遅くなって申し訳ありません。なんとか体調戻しました。今回も短いですが読んでいただければ幸いです。
その日の話し合いが終わり、日が暮れていたので就寝と成った。
具体的な話し合いにはならなかったが、ともかく瓦礫の撤去くらいであれば役に立てるであろう。
此方でもグランとシュラ、輝夜を当てようと思っている。
残りの面子で、翡翠から報告のあった遺跡風の場所を調べてみるつもりだ。
人選の理由は、翡翠は案内、ノワールは知識を期待して、琥珀は古代の魔道人形であるからして、エリスは目を離すと心配なので。と言う具合だ。輝夜には悪い事をした。埋め合わせをせねば。
ニズヘグ氏に調査に出ることを伝える。戦力・復興支援として人も残すし、帰ってくることを確約し町を出た。
居残りに成るグランやシュラ、そして輝夜には頼み込んでおいた。この三人に限ってはそこまで執着されずに納得してもらえた。
グランやシュラは忠誠心から、俺の命令は可能な限り聞こうとする。輝夜は自分の序列が寵姫の中では一番下で、俺を殺しかけた事に負い目を感じている、らしい。
まあ今は好都合、いずれ問題になるようなら対処が必要かね。
リザードマンの塒へはニズヘグ氏が馬車を貸してくれ、それを翡翠が引くことで中々の速度で到着することが出来た。
相変わらずすごい造詣をした地形である。翡翠の話では、あの岩山の断崖に下へ降りる道があるそうだ。
翡翠の案内でその下に降りる道、と言うよりは下に下った洞窟を下りていく。網は広げているがリザードマンの生き残りなどはいないようだ。
しばらく下ると開けた場所に出る。どうやらリザードマンが塒にしていた場所のようで、途中途中に松明がさしてあった。リザードマンどもの明かりだろう。これ幸いと利用させてもらっている。
「どうかね? 琥珀?」
琥珀は古代の魔道人形だ、もしここが遺跡なら判るだろうか?
「この時点ではただの洞窟。でもカモフラージュの可能性もある」
「まあ確かに君がいた所も、文字が読めなければ入れもしないところだったね。じゃあまあ、手分けして何か痕跡を探そうか。さらに下に下りる階段でもいいし、隠し扉でもいい」
翡翠の言うとおり、この空間には魔力が多く満ちており、ただの洞窟では無い様に感じる。魔術的な防御、とやらは未だ不明だがこの満ちた魔力はその為のものかもしれない。
正直、こういった遺跡探検、見たいな事は専門外も専門外。自分が今何を探していて、その為には何処を調べればいいのか。そんな事は全く判らない。
ともかく魔力の網を張りあちこちを練り歩く。
この遺跡(仮)が琥珀がいたような遺跡なら、判る人間には判る造りをしているはずだ。琥珀の遺跡では使われている文字が読めればすぐに入れた。
ここもそうだとは限らないが、もしそうだとするならば、隠さねば成らない事があった。ただしそれは必要な物なので必要な人にはすぐ判るようにしなければならなかった。
そんな理由があったはずだ。
しばらくそうやってうろうろしていた。するとエリスが何か見つけたと言う。
「前に兄さんが読んだ字と同じような形をしてるの」
との事でそこに言ってみる。
その場所は通路の突き当たりの壁で、若干奥に伸びており、その関係で明かりが届かないのかまるっきり何も見えない。エリスは闇の精霊なので見つけられたのだろう。
「ここかね? 何も見えん、明かりはあるかね?」
「はい、どうぞ」
俺の問いに、エリスは嬉しそうに答えると腕を軽く振った。すると今まで真っ黒い壁としか見えなかった場所から闇が消えていくのだ。
「有難う、君。便利なものだねえ」
全く持って闇に関しては、我が妹は最高である。
エリスが見つけたと言う、文字らしき物を見る。果たしてそれは文字であった。
『順路』
簡潔でそれでいて必要十分のすばらしい意味を持った文字である。その下には恐らくそういう目で見なければ見落とすであろう、矢印らしき図形が描かれている。
まさしく、順路なのであろう。
「やはりここは何らかの遺跡のようだねえ。琥珀の強化に使えるかは判らんがね、奥へ行ってみようじゃないか」
そもそも、遺跡を探そうと言う目的は琥珀の強化がメインだった。遺跡と言っても様々な年代や目的があり、それこそ雲を掴むような話だとは思うが……。
順路にそって進んでいく。よくよく見ると矢印が続いているようだ。これも見ようと思ってみなければ判るまい。
洞窟は予想以上に広い。右へ左へ時には上へ下へ。しかも騙し絵のごとく路が隠されている所もあり、暗い洞窟内では相当注意しないと見落としてしまう。
「まあ俺達はエリスが居るから何の不自由も無いな」
先ほどから俺の左腕をとってご満悦の妹の頭を撫でる。さらさらすべすべの髪が手に心地よい。
「…………」
何か大げさに返されると思っていたが、エリスは俺の腕をギュッと抱きしめただけだった。
「兄さんに、髪撫でられるの、好き」
と思ったら、ボソリと呟かれたこの台詞。
「ああ、君。なんて可愛いんだ」
思わずエリスを正面に回し抱きしめてしまう。ああ、この可愛い妹。幸せ。
「アリス。今すぐ止めるか、私も抱きしめるか、どっちが良い?」
おっと、今度は琥珀から声がかかった。幸せ幸せ。
無論すぐに琥珀を抱きしめる。
「……はあ」
抱きしめた琥珀から満足気なため息が漏れ、さらにさらに俺を嬉しくさせる。
結局それから5分ほど、エリスと琥珀を構い倒し、俺の精神を充足させる事になった。どうにもここ最近のあれやこれやで疲れていたようだ。
一通りじゃれたあとさらに奥に進む。そして目当てのものを見つける。
以前と同じ自動ドアだ。やはり同系統の遺跡なのだろう。
そうと知らなければ絶対に判らないであろう自動ドアのボタンを押し、軽い音を立てて扉が開く。
「ほお、アリス様お見事でございますな。感動に打ち震えるばかりです」
ノワールがポツリともらす。こいつは大分執事感が出ているが、骸骨がやっているので、賢者風でかっこいい。
軽い音を立てて空いた先は小さな部屋だった。リノリウムの床は前世の病院を思い出す。と言うか雰囲気が手術室の入室部屋に似てる。
となると、見つけた。ドアの反対側にはもう一つのドア。つまりここは消毒などをすることで中へ入る準備をする部屋だ。
中がクリーンルームなのか、汚染を外に漏らさないようにしているのかは不明だが。
ともかくここの設備が死んでいる以上、ただ進むしかないと言うことだ。
もう一つのドアも開ける。その先は廊下になっており奥へとつながっていた。ただの長い廊下だが、注意して周囲を見ると監視カメラらしき物や何らかの砲の様な物までみえる。
これらは迎撃装置なのだろうか。障壁は常に張りっぱなしなので、生半な攻撃では抜けないだろうが、廊下は長く過剰に警戒されている気になってくる。
この先に居る・もしくは在る物が非常に高価か重要なもので守るためなのか。それともここまでしなければ守りにもならない何かの侵略を受けていたのか。非常に気になる所ではある。
そんな事をつらつらと考えながらさらに奥を目指した。
突き当りの部屋に入る。それまでのリノリウムの床ではなく、色あせたカーペットが引いており、テレビらしきもの、ソファー、テーブルなど生活感のある部屋だった。リビングといっていいだろう。
そしてリビングから複数の部屋へドアが続いている。
次の扉を開けたときだった。そこはモニタールームのような雰囲気でディスプレイがたくさんあった。その前に安楽椅子に腰掛ける、いや腰掛けていたおそらくは男性と思われる骸骨。そしてその両脇に控えるメイドさん。
混沌とした部屋であった。
「あの、失礼を……」
俺が代表してメイドさんに声をかける。メイドさんは生気もあり生きているのは確実だからだ。
「………………え、あ」
「…………うう、あ」
「失礼いたしましたお客様」
「ようこそいらっしゃいましたお客様。228億3042万7700秒ぶりのお客様」
2人は最初呆けたようにしていたが、再起動したように話しかけた。そのことからも彼女らは人間ではないと言うことが判る。
それにしても228億秒ざっとで800年くらいか。遺跡としては意外と新しい。それなのにここまで文化的背景が違うものかね?
「お客様。我らが主からの言伝を承っております」
「我らが主はこの後に来るお客様に伝えるよう申しておりました」
「「これをどうぞ」」
メイドさんから手渡されたものは恐らくは何かの記録媒体だった。
「此方になります」
「此方をご覧ください」
メイドさんが記録媒体を再生? しているのだろうか、電源等すべてが立ち上がる。
記録媒体から情報を読み取り(と思われる)、勝手に再生を始めた。
映っていたのは白衣を着た30台くらいの男だった。
感想返しが贈れて申し訳ありません。
感想は大変ありがたく読ませていただいております。有難うございます。
今後ともよろしくお願い致します。




