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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
3部[タイトル未定]
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再会

やはり這いずる人、それも感染力を持ったものを放置は出来ず、ギルド長は苦悶の表情で討伐を依頼された。

 町中に広がる這いずる人だが、今は夜だ。

「さて、エリス、どう?」

「んふふふふ……。大丈夫、この程度なら問題ないよ」

「さっきみたいに飲むんじゃなくて、外傷で殺せるかね? エリスの事はあまり公にはしたくないし、必要以上に俺が目立ってしまったからね」

「うん、大丈夫。日の出前なら、どんな方法でも殺せるよ」

 流石にチームで何人も異常者がいたら目立ちすぎる。すでに俺が目立った事なので、このまま俺を隠れ蓑にしてごまかそうと思う。

 

 エリスにあっという間に飲まれてしまうと不自然だし、何より死体が残らない。苦労して殺したという体裁が必要だ。

「アリス様、よろしいでしょうか。できれば研究のために一体確保して頂きたいのですが」

 ノワールが指をピンと立てた。骨だといちいちカッコいいな。

「研究、ね。これも死霊魔術ネクロマンシーの範疇なのかね?」

「は、まさしく。少々毛色は違いますが、だからこその研究かと」

「構わんだろう。エリス、頼む」

「了解、いいよ」


 ギルド長たちの撤退が始まる。すでにエリスによって敵対勢力は綺麗になっているのだが、形式上護衛の風を装って殿を勤める。

 ギルド長たちが誘導し、町人が馬車や徒歩で脱出していく。元々避難していた人もいて、町の人口は減っていた。そして今回、町の人口はさらに減った。撤退は予想よりも早く済むだろう。




「避難に備えていたのが幸いでしたかな。かなりスムーズですな」

「そうですね。時にノワール殿……」

「おお、グラン様。主家に連なるあなた様が私などにそのような言葉は無用です」

「む、そうか。そうだな。この序列はアリス様の意向。では、ノワール。先ほど言っていた研究とは、どのような?」

「はい、私はネクロマンサーでありまして。感染力を強化した這いずる人(アンデッド)に興味を惹かれました。死霊を感染させるつもりは在りませんが、どのような切欠から新たな発見があるか判りませぬゆえ」

「なるほど。熱心な事だな」

「すべてはアリス様がたのためです」


「んん、私が言えた事でもないが、血族となって日が浅いお前が、なぜそこまで心酔するのだろうか。無論アリス様方が偉大なのは間違いないが」

「確かに、他種族からは奇異に見られるやも知れません。しかし、しかし、しかし。こと夜族から見れば私はもう英雄にも等しいのですよ」

「ほほう」


「夜族とは、夜に跋扈し、夜に嗤い、夜に生きる、そんな種族です。ええ、ええ判らないでしょう。我等は夜に寄り添う種族、夜に傅き、夜に抱かれ、夜に生かされる種族です。闇の眷属です。そして、闇の精霊様とはまさしく、我等の神に等しい」


「そして、ああ、そして。アリス様は神をこの地に留め置いた御方。100年待っても1000年待っても現れぬ、闇の精霊を虜にせし超常の御方。神に引き合わせて頂いた御遣いにして、(精霊様)(あるじ)たる御方。どうして、どうして心酔せずにおられましょうや。まさしく方々に仕えるを持って私はまさに夜族の英雄にも等しいのです」


「成る程。良くは判らぬが、お前が裏切る心配の無い事はわかった。それで十分だ」

「はい、それだけ判って頂ければ十分にございます。ところで、グラン様は何故に?」

「妹を助けられた。全てはそれだけだ」

「ほ、それは何とも」




 町の入り口、というか今は出口かね。まあ、ともかくそこをグランとノワールに警護させている。もちろん形だけのものだ。町にはもう誰もいないのだから。

 何かを喋っているらしく、時折ノワールの口がカタカタ動く。近くの篝火に照らされて夜の骨はすごく迫力がある。


「さて、もうよかろうかね」

 空が白み始めた。最後の馬車を見送った所である。

 小さな町で、大半の住人が居なかったとはいえ、経った数時間で退去を済ませたのはギルドの面子が有能だった事の証だろう。

 余談だがこの町に領主は居ない。代官が居るらしいが、最初の襲撃時にギルド長に全権を委任して逃げていた。


(ギルド長も大変だろうねえ。面倒な責任を押し付けられたものだ)

 なにしろ町1つ陥落したに等しいのだ。責任は負わされるだろう。


「お疲れ様兄さん。眠い? 私が寝かしつけてあげようか?」

 最近エリスが俺をゆっくりと眠らせる。その間に自分をきつく抱かせるのだ。それを彼女は寝かしつける、と称して気に入っているらしい。眠りを操れる、エリスならではのイニシアチブである。


「いや、このまま森に入るよ」

「森に? 馬車追ってかなくて良いの?」

「ギルド長とも話したんだがね、すぐにこちらに向かってた冒険者が合流するだろうし、騎士団も来る。護衛の必要はないし、色々と面倒な話をされそうだから、俺たちは逃げる事にする、というわけさ」

 面倒な事というのは、当然責任問題だったり、俺の能力だったりする訳だが、能力の方はギルド長たちの胸先三寸だからね。あまり期待は出来ない。



「まあ、それに。大丈夫だとは思うが、蛇君が心配だ」

 森に住む主、大きな梟の眷属で、俺の友達の蛇君。

 主の住む大木は相当深いところにあるし、結界もはれるし、そもそも魔獣どもは町を目指している様だったので大丈夫だろうと判断した。

 逃亡するにしても、一度挨拶に行ったほうがいいと思う。



 歩きにくい森の中をぞろぞろと歩く。此処を出たときに比べると、どうにも大所帯になったな。

 まあ、皆森の中の行動には慣れているようだ。ノワールだけは不明だが、彼は地面からちょっとだけ浮かんでふよふよと飛んでいる。

「ほほう、何とも便利だね」

「は、我は元々が霊体だったゆえに固有の能力として身についております。あまり高度と速度が出ませんで、せいぜいがこうして足場の悪い所の移動くらいなものです」

「固有の能力か、じゃあ真似できないね。にしても、君、人間ではなかったのかね?」

「おお、これは失礼を。大本は人間でありました。死んだ後に霊となり、肉体を得て、その肉が腐り落ち、今のなりに」

「紆余曲折あったらしいね」



 適当に雑談をしつつ、結構深いところまで足を踏み入れた。休憩を挟みつつとはいえ、夜明け前後に出発してもう夕方だ。町から森も結構遠かったが、数ヶ月前よりも疲れず早く踏破出来た。

 強者を倒すと、何か(・・)を吸収して身体能力を向上させる、というのは以前に話したが、それに加えて称号による補正も大きいのだろう。


 そう言った訳で意外と早く、主のいる大木に近づく。意外だったのは大量に居る筈の魔獣達の気配がないこと。網にかからないのだ。

 かなりの数を殺したし、逃げた、とも考えられる。しかし、這いずる人の事もあるし嫌な予感が拭えない。ぬかったなあ、こんな薄気味悪い事態になるなら、もっとはやく蛇君のところに行くべきだった。



 昔のように蛇君が木から落ちてきた。ただし人型で、槍をもってだが……悪い予感は大体当たる。フラグとも言う。

 

 

 蛇君は何も言わず槍を繰り出した。

「蛇君! 君、正気かね?」

 変わらず無言で槍を振る蛇君。障壁でとめるが、流石に一撃が重い。まあ止められるだけましか。

「アリス様!」

「駄目だグラン! 蛇君は捕まえた! エリス、何か判るか?」

 網から魔力を使って捕縛する。割と得意で、この距離で単体であればいかに蛇君でも早々抜けられない。


 蛇君を知っていれば操られている事は明白なので、エリスに診断を依頼する。精神の専門家みたいなものだし。

「……兄さん、操られてるけど、解けない。無理にとけば、こいつ壊れちゃう。……壊しちゃう?」

「いや、いやいや! それは駄目だ。でも、君でも解けないくらいの物なのかね?」

「うーん、精神を弄るのは治すのより簡単なの。だから、このくらいの事は私でも出来るけど、治すのは難しい」

「成る程、確かに道理だね。何事も壊すより治すほうが難しいものさ」

 カッコつけていってみたが困った。


 この操る、洗脳ではないし、なんと言えばいいのか。兎も角操られるという事態は想定していた。

 あの大量の魔獣・魔物は明らかに統率されていた。魔族などは可能だそうだが、もしそれ以外がそういうことをしようと思えば、操っていると考えるのが自然だろう。

 誤算といえば、エリスに解除できないかったと言う事だね。これも予想してしかるべきだったが、ぬかった。

「さて、蛇君をどうするべきか」



「俺の使役獣ファミリア拘束するなんて、お前もプレイヤーか?」



 突然俺の目の前に切られたような溝が走った。攻撃? ファミリア!? プレイヤー!?!?

蛇君のごたごたが片付いたらまとめて投稿しますので、次回投稿は遅くなります。末永くお付き合いねがいます


皆様のご意見を頂きたい事があり、活動報告に乗せております。気が向いたらご協力頂ければ幸いです

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