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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
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弱い者蹂躙

 ……疲れた。30分程度走っただろうか。森の中で速度は稼げないので大した距離ではないだろう。走り難さに比例して疲労度は急上昇だ。もう本気で帰りたい。

 だが、索敵に感あり。数は200!? 中隊程度だが裏切り者を抱えている可能性があるし、これは厳しい。それにしても遅滞防御部隊が一個小隊だけとは、此方の戦力を過小評価しているのか。これで裏切り者が蛇君の線は消えたと思う。

 

 どうすべきか。蛇君達の位置が掴めないと迂闊に掃射出来ないしな。個々の能力が高くてもたった三人では300を殺すのにどれだけ掛かるか、俺の体力まで勘案すると突っ込めないね。

「蛇君を探す。合流後群れを掃討し状況を確認する。琥珀探せるかね」

「特定は無理。この集団と異質の魔力を感知、恐らくは三人のどれか」

 琥珀の索敵は魔力感知による。ゴブリンの群れから特定のゴブリンを探すのは困難だが、全く異質の蛇君の魔力程度なら感知できるそうだ。

「位置は? えっと方角判んないんで右か左か正面か?」

「左、距離にして約1.5Km。固まっている」

 よし、左に固まっているのなら少なくとも目の前の敵は遠慮なくいける。

 今回の敵性勢力は俺と相性が最高だ。銃弾で死傷する敵なら俺は無敵だからね。

 何しろ機関銃で武装してるんだから。集団戦は数も重要だが、装備が最重要だと思うね、個人的には。

「『機銃掃射』」

 魔法陣を三つ展開。広範囲に銃弾をばら撒く。

 ゴブリンといえども同情に値するね。突然後ろから奇襲を仕掛けられた上に重機関銃の掃射に晒されるんだから。

「ギャアアギャア(後方より奇襲だ、盾兵を押し出せ)」

 木製の大盾なんて無いも同じだ。悪いね。何せもとのイメージが軍用ライフルの弾幕だからね。あの盾が鋼鉄製であったとしても問題にならない。まあ、元の威力からすると大分劣ってはいるが。

 炎を凝縮した空想である機関銃は、この世界の装甲程度なら軽く貫ける。まあ魔術で強化されていたりすればその限りでもないがね。まだ見たことは無いが、自分の魔術を鑑みるに間違いないだろう。

 哀れなゴブリン達はあるいは頭が吹き飛んで、あるいは胸が無くなって、あるいは出血多量で苦しみながら死んでいった。

 

 

 人型の魔物を大量殺戮しているというのに、全く罪悪感は無い。異常な事態だ。今はこの精神の安定を喜んで享受するが、俺は元々小心者だったはずだ。異世界に来て何かが狂っているのかもしれない。

 まあ、どうでも良い事だが。デメリットがあるようには思えないし、いまさら罪悪感に苛まれるほど出来た人間ではない。そうとも、妹君に手を出したんだから。

 200体の殲滅に約10分、と思っていたんだが残ってやがるよ。一個小隊を割る程度の数だが、精鋭部隊っぽくてカッコいい。

「ほう、耐えた部隊がいるようだね」

 自分の錬度くらいは把握しているし、最低起動に必要な分しか魔力を掛けられなかったから不思議は無いが、弾幕の中で立っているのは吃驚するね。

「ゴブリンの中でも強い個体はいる。恐らくは魔術による強化も受けている、ゴブリンメイジ」

「どう見てもただのゴブリンに見えるがね」

 つまりエリートなゴブリンとそれを支える魔術師部隊のおかげで、この弾雨の中で立っているというわけだ。

 彼らは弾幕に耐えるのがやっとで前進も後退も出来ないらしい。だったら申し訳ないがどいて貰おうかね。

 魔法陣と魔術の同時展開。これも俺の魔術の利点だ。魔術は集中力とイメージ、特に人間以外が使う魔術はその傾向が高い。

 パンッ!

 彼らの背後で破裂音を立てる。これだけで良い。集中力なんて簡単に乱せる。背後からの音に反応するのは半ば本能的なものだ。力量差が明確な相手の攻撃を防御しているならともかく、やっと支えている程度ではその一瞬の乱れが命取りだ。

 子鬼共はほぼバラバラになった。残ったのは7程度。これもまた推測だが、アレがエリートなゴブリンだろう。

「魔力温存して。私が行く」

「私と琥珀が3、兄さんは1」

 掃射の途切れを確認した二人が走りざまに声をかけていく。

 ……俺1か。

 


 琥珀のほうは派手だな。自己申告どうり膂力がすさまじく、武器の重さもあいまって相手のガードなんて無いかのように潰している。琥珀なら片手でも振るえそうだが、二刀流とかカッコいいなあ。

 一匹を潰し終わった琥珀に対して左右からの挟撃が入る。上と下からの斬撃、切り下ろしと切り上げ、俺なら真っ二つになるそれの左下からの斬撃を足で止める。というよりもけりで潰し、右からの物は片手だけの力で切り払った。切り払った流れのまま上段から左下で蹴り潰されたエリートへ剣を振り下ろす。

 グチャ、と剣で切り付けたとは思えない音がしてエリートは潰れた。琥珀は自分の剣を離すと後ろで与太ついていた相手の咽元を掴んで足を払い地面に押しつぶした。咽に手を当てた大外刈り風の投げだった。

 咽を押さえられつつ後頭部から地面に激突し、大きくビクッとした後動かなくなった。膂力もそうだが早さがとんでもない、相手の一動作に比べて3倍くらい早かったね。

 


 妹君のほうも一応片付いているようだ。琥珀にばっかり注目してみてなかった。後で感想を求められたらどうしよう。

 取りあえず刀は抜いてなかった様だし、すごい魔術だったといっておこう。

 さて、最後は俺か。目の前からは最後に残ったゴブリンが手に持った剣を振り上げて襲ってきた。コエー、殺気むき出しの刃なんて恐怖以外の何物でもない。

 怖いだけで別に脅威ではないけどな。

 


 剣を障壁で防いで足元から魔力の刃で串刺しにする。体中満遍なく刺せば流石に死ぬだろう。

 基本的に俺は無敵だ。俺の攻撃か通る相手なら、という注釈がつくが。つまり格下か同格相手には滅法強い。

 攻撃が通らなければ非常に弱い。まあ当然といえば当然なんだろうが、そんなときの対処を考えないとな。

「敵反応なし。さっきの反応を追う」

「蛇君が心配だね。急ごう」

「兄さんて、心配だ心配だって言うけど全然そうは見えないよね」

「ポーカーフェイスは医療者の必須スキルだからね。目の前で腕が落ちようが眼が腐ろうが笑える自信がある」

「ぽーかーふぇいすってなに?」

「内面と表情が一致しないってこと、辛いのに笑ったり悲しくないのに泣いたり……そんな事はいいから行くよ」

 妹君はブツブツと何か言ってた。

(兄さんの表情はそのまま信じてはいけない。兄さんは嘘つき)

 聞かなかったことにしようかね。

「会敵。数およそ30小隊規模、殆どがさっきと同程度のゴブリン、一匹がゴブリンキングで指揮官。この集団の向こうに蛇の気配」

 ゴブリンキングね。確か集団となったゴブリンの群れで最も強いゴブリン、という定義だった筈。つまり種族名ではなく役職名か。どの程度の強さかといわれれば、キングは個人差が激しいので不明、としか言えんね。

「蛇君が向こうにいるんじゃ流れ弾が怖くて銃は使えないね。俺の銃は射程が長いし」

 『機銃掃射』で使っている弾丸もどきは炎を硬化させている物だが、魔術なので射程が長い。正確には判らんが

1Km以上は確実にある。空気抵抗とか摩擦とかは無視しているんだろう、物理のテスト問題のようだ。

「回り込んで蛇君と合流しよう。その後は状況に応じて考える、撤退もありね」

「了解。先行する」

 流石に戦闘兵器、こう言うときは頼りになりまくる。俺ももっと索敵と戦術を強化しないといけんね。まあ戦略を鍛えるのも必要だが。

 文の間を開ける、と言うことを実験的にはじめました。批評を頂けると幸いです。

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