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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
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弱い物イジメの予感

あけましておめでとうございます。本年もよろしく願います。

○○を応援・支持するHPで紹介していただきました。ありがとうございます。

「さて、帰りましょうかね」

「無理は駄目」

 立ち上がった俺を琥珀が不安げに見つめる。妹君が寝た後、卵に魔力を使ってのた打ち回る、という何時もの訓練に付き合っていたためか少し疲れた風だ。顔色が悪い、見慣れている妹君と慣れていない琥珀の差なんだろうが、顔色まで表現するとはギミックに凝った人形だね。

「そうだね。でもまあ、明日には狩りに行かないといけないだろうし、早めに帰りたいんだよ」

 来た時と同じようにテクテクと道なりに歩く。実にいい天気だ。街道の周囲は平原と丘で、短い下草の生えた草原だ。 妹君は杖を突いて歩き、琥珀は服装以外は変化が無い。因みに元から来ていたゴスロリ風ドレスは大事にしまってある、俺のお気に入りだから。

 そして当然荷物持ちは俺だ。万が一この状況が常態化するなら、即効で収納魔術と馬車の購入を検討しないといけない。疲れる。

「荷物を持つこと吝かではないがね、日用品というものは意外に嵩張る。実に重い、何方どなたか手伝って頂きたい」

「判った」

「うん、兄さん」

「あ、嘘です。俺が持ちます」

 まさか素直に肯定されると思っていなかった。逆にそうなると気後れして持ってもらうなんて、そんな、女の子に荷物もたすなんて、な状況になってしまう。なんというチキン。

 さて、後は俺の武器か。とにかく頑丈で鋭い金属性の棒がほしい。長さはいらない、そんな物扱える技量は無いからね。どこかに無いかな、最悪使えない前提で槍でも致し方ないか。

 森が見えた。相変わらず深い森だ。狩をするようになって大分潜っているが、奥には行かないし、どの位深いのかもわからない。山まで含めると尋常ではないだろう。

「お、いたの」

 森に入ってすぐの事。木の上からそんな声がして一匹の蛇が枝から頭をたらしていた。声を上げなかった俺は意外と凄いんじゃないだろうか。

「君、実に心臓に悪いから長々しい体でのたくってないでくれ給えよ」

「あいも変わらず失礼な男よな。せっかく主の危機的状況を伝えてやろうと、態々待っておったと言うに」

 蛇君はそういうと枝から降りた。まあ落ちたと言っても過言ではないね。

 落ちたかと思うとすでに人型になって立っていた。全く、爬虫類とは思えないほどの美少女だ。いや美幼女だ。

 髪の色が緑色なのは鱗の変化なんだろう。切れ長の眼に感情は読み取れない、まあ爬虫類だからね。にしても綺麗だ。緑の髪と白い肌、クールな赤眼に小さな体躯。そしてそのすべてと反する健康的な八重歯。というか牙だろう。

「ねえ君、君は毒持ってるのかね?」

 牙を見たのでなんとなく聞いてみた。

「主よ、仮にも少女に向かって何を聞いておるのじゃ。……まあ良い、我は毒などないぞ」

 これは予想通りだ。毒という物は実は維持と管理に物凄いコストを要するらしい。そのため毒をもっていると体の大きさに制限が出るのだ。まあそれは前世の知識、魔術なんて物があるこの世界でどの程度有効な物やら。

「蛇、それよりも兄さんの危機って何よ」

「全力で排除する」

 なんというか、俺の質問に答えたのにこの扱いは蛇君に悪い。

「ふむ、あいも変わらず兄さん兄さんと有る程度育った兄弟は離れて暮らす物よ」

「私は一生兄さんと生きるのよ。兄さんにはあと10000年位は生きていて貰うしね」

 正直精霊の一生の感覚に付き合える気はしないが、色々と面倒そうなので触れないで置こう。

「すまんね蛇君。家の二人は躾がなってなくてね、とはいえ俺も危機とやらが気になるんだが」

 背後の2人が不機嫌になっているだろうが、気にしないことにしよう。

「ふむ、実はのこの森に今ゴブリン共が大量に巣食っておる」

「ゴブリン?」

「下等な妖精族の一種、より魔物に近い。体長1~1.5M程度、腕力は人間と同じか僅かに上、30~50程度の群れで行動し人間の集落や弱い魔物を襲撃する。魔術を使える物も僅かながら居り、人間から奪った武具で武装している。一般人にとっては手強い相手、群れ相手なら逃げたほうが無難」

 俺の疑問を察した琥珀が直ぐに説明を入れてくれた。目線で礼を言ったが琥珀は理解してくれたようだ。

「さよう、通常は多くても100を超えることのない群れだが、今森に居るのは少なくとも300程度の群れだ。恐らくはこの所の作物の不作で人間や魔物からの実入りが減って寄り集まった、そんな所かの」

「300か」

「うむ、主の村を襲うぞ。町で生活するか、我のところに来ても良いが」

「さて、どうするかね。別に村の連中が皆殺しになってもいいが、後味が悪い気がするね」

「後味が悪いとか、後の人生に悔いを残すとか、そんな便所の鼠の糞にも劣る考えは危険」

「君のほうが危険なこと言ってるから! めっ!」

 琥珀の暴言は置いておいて。

「兵力差を考えて、どんなモンだろうね琥珀」

「戦いは常に物量。まあ……それも有る程度装備が拮抗していての話」

「ふむ?」

 蛇君が首をかしげた。クソ可愛いな。

「極端な話、単純な突撃歩兵相手なら……そう防御陣地に主様がいれば師団級でも止めることは出来る」

「師団、とは大きく出たの。2000からの武装集団を止められると?」

 話がかみ合わないな。2000って言ったら精々が大隊、あるいは補充欠の連隊程度だ。この世界の軍事規模は良く判らないんだよね。

「蛇君、師団で2000ってのはどういうことかね?」

「主の国では違うのかの、まあ国によって違いはあるが、多くても3000じゃの」

「琥珀の計算している師団規模は?」

「1万から2万」

 まあそんな物かな。前言を翻すが前世でだって軍事規模なんて興味はなかった、軍記物や戦争小説などの知識でしかないんで正確かどうかは全く判らない。

「馬鹿な、小国の全兵力ですら及ばん。それを止められると?」

「あくまで相手が単純に突撃してくるなら、そしてこちらに主様がいるなら。ただし魔力切れは計算していない、単純に足止めが出来るだけ」

 俺1人ではなあ、何らかの防衛拠点を構築しても、おそらく足止めは不可能だろう。せめて俺が5人いて、交代に掃射出来れば足止め位なら可能だろうが。

「兄さんの魔術、そういうものなの?」

「ん? あの魔術は元々俺の世界の武器をイメージしているからね。本物には及ばずとも騎士鎧位なら貫通して見せるよ」

 プレートメイルなんて恐らくは楽勝だ。俺の魔術は機関銃に迫る威力がある。M2をイメージしているわけだが、そう考えるとあの熊さんは酷く恐ろしい相手だったんだな。

「ところでの、戦力の話しなぞ始めるとは、相手取るつもりか? 仮に相手に出来たとしても主らに何の得がある?」

 蛇君は少し声を潜めてそういった。

「得ね、又君を手伝うから何か適当に見繕ってくれたらいいよ」

「ぬ?」

「前の熊さん一匹に動いたとなると、300の大所帯を許容するほど、森の主様は寛容では無さそうだからね」

 あの熊だって魔獣とはいえ一匹の被害だ、それを寛容出来ないとなると300の人間大は無理だろう。食い荒らす速度も量も1:300では比べ物になるまい。

「聡いの主は。よかろう此度の駆除を手伝ってもらう変わりに何がしかの礼をしよう」

「兄さん、態々危険を犯す必要は無いと思うんだけど」

 妹君は不満そうだ。蛇君とは第一印象が最悪だったからね、致し方ないところではあるか。

「これはリスクマネジメントかね。どの程度まで太刀打ちできるのかを知っておきたい、琥珀の言によるとそう心配はいらなそうだし、ゴブリンを基準にしてみるのもいいよ。とりあえず家に行こう、打ち合わせ……否、ブリーフィングだ!」

「わかった」

「うむ、そうしよう」

 カッとカッコつけたのに琥珀と蛇君は淡々と言ってしまった。

「私は何があっても兄さんの味方だよ」

 妹君が背中から抱すくめてくれた。そんなに外しただろうか。

感想でこっちを完結させよ、とメッセージを頂きました。

新作は書きますが、此方も継続して投稿します。プロットが破綻してしまったので2章以降は更新が遅くなりますが、もう暫く書き溜めがあるので応援願います。

今年の目標は、感想に全て返信する、です。感想をいただければ幸いです

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