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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
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希少集団、町へ

「どのくらいで卵から孵るのかね」

「その知識は無い、そもそも孵るのかどうかも未知数」

 寝る前に枕元に卵を置きつつ尋ねる。万が一にも寝返りで、グシャってならないように距離は開けた。

 正直卵を孵した事なんて無い、何が生まれるのかも不明だが、いつ生まれるのかも不明だ。

 いや、そもそもが暖めたり転卵したりは良いのだろうか? 魔力を与えていれば良いって言っても中で黄身がよっちゃうんじゃないかな。

 まあ良いって言うなら良いんだろう。魔力を与えつつ孵化を待つことにする。

 

 次の日の狩りは無事終えた。あっという間に、と言いたいところだがこのところ獲物が少ないくて梃子摺った。里が飢饉ってことは森の植生もまた影響を受けているのだろう。何かしら対策を考えるべきかね。

 そして翌日、取りあえずは町に行こう。となりました。

「町に行く前の注意点。主に行動について」

「ほう、このどっからどう見ても田舎物のオーラを隠せと言うのならできかねるな」

「私の兄さんへの熱い想いを隠せと言うのも無理ね」

「いいから黙って聞け」

 すいませんでした。

「まず称号『空想魔術師』は超絶な稀少称号。主様の感覚で言うなら……日本で五人はいない」

 おお、そんなに稀少だったのか。珍しいんだろうな、位の感覚だったが。

「稀少な上に強力。主様はまだまだ未熟、鍛え上げるので強力になる」

 すごくこわい。

「まだある。稀少度で言えば『闇の精霊』も同じような物。天然の朱鷺の様なもの」

 それはもう絶滅動物じゃないか。

「『治癒の属性』を持った魔術もそれなりに稀少」

 ああ、補足説明。妹君は空想魔術師みたいな物なので治癒も当然使えます。

「戦闘用の魔道人形である私も恐ろしく稀少。古代技術によるもので再現できない。高性能に過ぎる」

 やっぱり、ロストテクノロジーなのか。カッコいいなあ、オーパーツを目撃するのはいいなあ。

「結論、三人とも異常なくらい稀少な集団。最も有り触れているのが『空想魔術師』の主様」

 ここまで言われればわかってきた。妹君も頭は良いんだ、きっと理解しているだろう。

「正体がばれれば鬱陶しい」

「そうなると、琥珀の入手経路とか捏造しといたほうが言いかねえ。そんなに珍しい物だと、えらいさんに見つかって無理やり奪われるとか最悪だし。そもそも琥珀の身分はどうなるんだろうか?」

「私の身分は奴隷と同じ」

 なるほど、奴隷なる身分もあるのか。やはり金は大事だ。お約束どうり妹君とかが奴隷になったりしたとき、即効で買い戻すくらいの額はあってしかるべきだろう。

「君、万が一奴隷商人にさらわれたりしたら、皆殺しにして構わないからね。そんで防御に集中して俺が行くのを待っててね」

 ついつい不安になってしまった。そんな小説腐るほど読んでるし、想像力だけは無駄にある。

「兄さん以外の人間に所有されるなんて嫌よ。言われるまでもなく皆殺しにする」

「琥珀もだ、万が一誰かの手に落ちたらすべてを殺してでも俺の元に返って来い」

「判った。必要なのは目立たない事、注意が必要」

 エリスは頷いているが、不安しか感じない。まあなんだかんだで初の遠出だ、これまでは村と周辺の森しか見たことが無い。ネットどころかテレビ、写真つきの本すらないこの世界なので、自分の住居周囲以外のことは全く判らないんだよね。

 遠出と言っても現住の村と町の間はそう遠くない。徒歩で6時間と言ったところかね、時速約3キロとして20キロは離れていないだろう。今は9時なので今から出れば夕方までには付くだろう。

 村から出ても景色が大きく変わるわけではない。そもそも村には柵なんて物はないので森でないところが村、のような感じだ。当然今歩いているところも森の中の小道である。商人とかが通っているからだろうが、道は踏み固められていて歩きやすい。左右が鬱蒼とした森でなければ街道と呼べるだろう。

 左右の森は木々が絡むように生えているが、熱帯雨林のように多種多様という訳でもなくそれなりに奥が見渡せる。道の上だけ森が途切れており正午になる頃には、森の影と太陽の光で道が浮き上がったようになった。

 正午を少し過ぎた頃森を抜けた。目の前には丘陵が広がっており芝生のような下草と街道の土色が見事な対比を見せていた。

 街道を進んで振り返ると出てきた森の中の道は見えなくなっていた。

「なんでまたこんな深い森の中に村なんて作ったやら」

「狩りの前線基地的なものの成れの果て」

 独り言に琥珀が律儀に返してくれる。

「兄さん、町はまだ?」

「さて、俺も行った事がないからね。つかれた?」

 妹君に問う。俺は疲れていない。それなりに狩とかで鍛えているからね。琥珀も人間じゃないし大丈夫だろう。

「疲れては居ないよ」

 妹君も人間でなかったか。

「あと半分」

 ただ歩くってのは暇だ。移動手段が何かないか考えよう。

 因みに今俺たちが居るレヴィ王国だが中規模の国家である。領土の中心に王都があり、そこから5本の街道が延びる。その途中途中に宿場町があり王都に近い物ほど大きく発展している。街道は中心から放射状に延び、各町は横の町ともつながっている。空から見たら蜘蛛の巣に見えるだろう。

 因みに外側に行くほど横の町と町との間が広がるので、その間にも町が作られている。我が村は王国の一番端っこだ。蜘蛛の巣からはみ出した村だ。

「兄さんの世界もこんな感じだったの?」

 妹君が歩き飽きたのかそんな事を聞いてくる。此方も暇つぶしは会話くらいしかない。

「どうだろうね。俺は自分の町から出ることは殆ど無かったけど、俺の国はもっと建物が密集してたかね。あんな広い森はもう少なかったよ」

「大きな国だったんだ」

「大きいと言えば大きかったろうけども、こちらとは文明の基盤がそもそも違うし、人口も違うだろうからね、一概に大きさを比べることに意味は無いよ」

「兄さんの話は良く判んないや」

 うむ、俺も良く判らん。自分が理解してないことを伝えようとするとこうなる。

「そうだ琥珀、こっちの世界の知識では車的なものある?」

「一般的なのは騎獣。少なくとも機械的なものは無い」

 俺も歩き飽きた。出来るなら自分の足以外で移動したい。前世では免許無かったんだけどね。

「馬とか?」

「馬もある。他にも亜竜や恐鳥」

「金が貯まったら欲しいね。まあ、冒険者とかやるにしてももっと戦闘能力をつけないといけんねえ」

 恐鳥とかカッコいいな。でも俺のイメージの恐鳥って昔絶滅した奴らなんだが、どうやって乗るのかね。馬車的なものを引かせるんだろうか。

 ダラダラと話していると町に着いた。小規模な町だが比較対象が寒村だからね、かなり大きな印象を受ける。そう高くない木の柵で外周を囲んでおり入り口には衛兵らしき人間が立っている。

 入り口からまっすぐ道が反対側の入り口まで伸びている。道幅は10メートル程度あろうか、恐らくは中心だろう広場があり交差する道がこれまたまっすぐに伸びている。町の配置と良い造りといい、幾何学的なものが好きな国なんだろうか。もちろん細々とした道もあり裏通りにも店は色々とあるようだ。

「カレル村のガキか?」

 衛兵に止められた。通行税でもあるんだろう。にしても枯れる村か。

「はい、そうです」

「通行税は一人レヴィ銅貨1枚だ」

「はい」

 素直に払う。貨幣価値がさっぱりわからん。どんだけ閉鎖的な村だったんだよ。まあ、買い物は妹君に任せていたからね、致し方ない。感覚的には100円か、安いんだろうな。まあ高くても官憲には逆らわんがね。

「さて、町に入場したはいいけれどまず何処に行くべきかね」

 入り口から少し奥に入り話し合う。琥珀は堂々としたもんだし、妹君は人見知りの傾向があるので大人しい。俺だけがキョロキョロとおのぼりさんだ。

「まずは登録、そのあとは武装する」

「武器? 魔法中心だから要らないんだけど」

「武器というよりは防具、普段着では危ない」

「了解、後は買い物かね。君、大丈夫かね?」

「うん。平気」

 妹君もパニック障害とかでは無さそうだね。こんだけ大勢の人間見るのは初めてだろうから、少々心配したが。

 しばらく歩くとカードの登録所を発見。というか冒険者ギルドだってさ。杖と剣が交差してその後ろに盾が描かれている、何ともベタな看板がそうらしい。

「アレがギルド?」

 琥珀に尋ねると頷いた。やはりベタな看板だ。


皆様からの感想を呼んで、作品の未熟さを痛感しております。

修正を試みましたが、大規模な修正は難しく、新規に書いたほうが早いと言う考えに至りました。今、プロットを作成中ですが、いずれそちらの投稿がメインになると思います。それまでは書き溜めた物を修正しつつ投稿します。

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