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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
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同盟

あまり評判の良くない、他者の視点です。

作者の腕が悪く、ご不快を与えることも多いようですが、このやり方を変えることは今のところ考えておりませんので、苦手な方は読み飛ばしてください。

SIDE:エリス=キャロルリード

「どういうつもり? 妹」

「あなたが兄さんを裏切ったら、兄さんが悲しむ。貴方が裏切らない保証はないし、ここで問い質しておこうと思って」

 兄さんが悲しむ、それは私にとって世界の損失だ。兄さんへの裏切りは世界への裏切りだ、反逆する可能性があるなら殺さないといけない。そうでなくても、殺してしまいたい。

「その理屈は貴方も一緒」

「そうね。でも私は私が裏切らない事を知っているもの」

「貴方は主様が気に入るくらいだから、頭は良い筈、でも言っていることが滅茶苦茶」

「当たり前よ。これは八つ当たりだもの。兄さんの傍に私以外の女は必要ないのよ。全部死ねばいいのよ」

 そう、これは八つ当たりだ。私だけの兄さんが私達の兄さんになってしまうのだから。

「主様好み」

「あなたに、兄さんの、何が判るの?」

 頭が沸騰する。突然出てきた女に判ったような顔をされた事を……ではない。私が何も兄さんの事を知らない、と言うことを突きつけられた気がして。

「判る。裏切りにあった主様に望まれた、絶対に裏切らない理想形が私。主様と30年近く傍にいた。裏切らない事が私の本質。そして私は主様を裏切るものを絶対に許さない。貴方も努努ゆめゆめ、忘れないで」

「なら貴方…………私に協力して」

 私に人を見る目、ましてや人形の言を判断するだけの頭なんて無い。私の世界は兄さんだけなのだから当然だ。しかし裏を返せば兄さんの事は判る、この人形の目に浮かんでいるのは兄さんへの狂信だ。甚だ不本意ながら、私に匹敵する狂信、いやこれ位で無ければ信頼は出来ない。

「?」

「私が兄さんと一生一緒に居れば兄さんは絶対に裏切られない。でもあの他人を一欠けらも信用しない猜疑心の固まりである兄さんは、そのうち孤独を恐れるあまり私を捨てようとする。きっとあなたもそうよ」

「正しい理解。主様は殆ど恐怖を感じない。だからまれに感じる恐怖に耐えられない。馬鹿らしいほど臆病で、その恐怖を待っていられずに自分からその状況を作り出そうとさえする」

「私が似たような話をした時に、頻り(しきり)と似たもの同士だと言っていた。自覚はあるようだけど、それにしたってその感情は自分で制御しきれるものではないしね」

「主様は気づいた時にはもういない」

「一人では逃げられるかもしれない」

 逃がすつもりは無い。でも兄さんはこの世のすべてが怖くて仕方が無い、きっといつの日か私の狂信に恐怖を抱いて逃げる日が来る。1人では捕捉は適わないだろう、臆病者は逃げ足が速いのだから。

「1人では逃げられる、2人なら、いや、もっともっともっと……3人、4人なら。主様を逃がさないでいられる」

「私は兄さんを独占したい。でも兄さんはそれに耐えられない。裏切る可能性が一片でもなければ、それも良いのかもしれない」

「あなたが同意するのは意外」

「私は兄さんと一緒に居たい。そのために手段は選ばない。100年や200年で理解できないなら、1000年でも2000年でも一緒に居て、裏切らないことを証明すれば良い」

 そうだ、それしかない。兄さんを失うくらいなら、ほかのすべてを破壊して、逃げ出す場所すら無くせば良いんだ。私だけが兄さんの居場所になれば良い。不本意ながらこいつも候補ではあるが。

「理解は可能、でも実現は難しい。私とあなた、関係は……同盟?」

「ええ、それで構わない」

 SIDEOUT


 SIDE:琥珀

 人形の体、また不思議な事を始めた物だ。

 私は琥珀、少なくとも今の名前はそう。今はアリスと名乗っている人が、営々と30年かけて育んだ妄想の産物。所謂空想上の友達(イマジナリーフレンド)

 当然、私の性格と嗜好はアリスのお好みになっている。ただいくら頭の中とはいえ30年も生きてきた事は私自身に意識を与えるに至った。前世では勿論そんな事は無かったが、こちらに来て神の手助けと形代を得たことで凝集され

た。

 アリスは大きな勘違いをしている。アリスは空想上の友達が好きで、それを自分の意思のまま具現化したと思っている様だが、そこには確かに私の意志も介入していたのだ。そして大きな勘違いとは其処ではなく、アリスが私を必要とする以上に、私がアリスを必要としていたことだ。

 いや、勘違いと言うか、想像の外だったろう。自分の頭の中の友達が、他の友達に取られた主人を寂しがっているなんて。

 空想上の友達の多くは忘れられる。私は幸運なのか忘れられる事はなかった。それでも大人になれば会話してもらえる機会は減る。なまじ忘れられ、消え去れなかった私はアリス以上の孤独に耐えねばならなかった。

 無論アリスを恨んだ事など一度も無い。そういう風に出来ているのだ、裏切らないように。

 人形の体を得たことで自我は急速に発展した。目の前に居るアリスの妹は中々にアリスの本質をつかんでいる。

 エゴイストな臆病者、と言うのがアリスの本質だ。口では強い事を言い、頭でも残虐を考え、実際に行える。必要があるなら、人間一人拷問して虐殺することなんて簡単に行うだろう。いや、それどころか何人でも必要とあれば殺すだろう。

 ただ、アリスは怖いのだ。やるならやれる、それとは別に全てにおいて恐怖心がついてくる。

 私は、そんなアリスが可愛くて仕方が無い。

 目の前の妹に言われるまでも無く、私はアリスを逃がさない。

 私が今まで存在したすべての時間を占めている、私の男を逃がさない。

 SIDEOUT


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