表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
14/105

各人色々

日刊ランキング4位を頂戴しました。感謝の気持ち的投稿です、短いですが。

感想にて誤字脱字、わかりづらい表現等のご指摘を頂いております、ありがとうございました。少しずつ修正したいと思います。

SIDE:エリス=キャロルリード

 くくくく、くくく、うっくううくううくうくくくっくくっく

 ああ、なんて、幸せ。私はなんて幸せなのだろう。

 兄さんに正体がばれた。ここまでかと思った。私が人間じゃないことは判っていた。いつの間にやら理解して、兄さんに会って理解は深まった。それに伴って私の思考はクリアになった。

 クリアになった思考は色々と見せてくれる。私が考えるのは兄さんと私の事、つまり人間と精霊の事だ。私は闇の精霊らしい、世界に嫌われているらしい。

 伝聞調だが判る。私は嫌われている。嫌われているから誰も優しくなかったんだと。

 兄さんも最初はそうだった。いや、兄さんは途中から別の人だったんだ。転生、前世憑きと言われる現象は知識として知っている。だけど兄さんは少し変だ。前世憑きは二つの思考を持ってしまうらしく、往々にして発狂する。兄さんにそんな兆候は無い。思考も、外からでは判らないけど恐らく兄さんだけだ。

 そして何より、前世憑きであっても闇の精霊は嫌われる。世界に嫌われているのだ、体が世界の物なんだから呪いからは逃げられない。

 でも兄さんは私の正体を聞いてもケラケラケタケタと笑うだけだった。最近私にも移った、唇を歪める様な嗤いで。

 種族なんて知らないと言う、家族なんて興味ないと笑う、命なんて軽いと嘯く(うそぶく)。そして私を大切だと抱きしめてくれる。

 兄さんは知っているだろうか、父親を焼いてくれたあの日から、兄さんは私のすべてだと言うことを。

 兄さんが居ればすべてを敵にしても大丈夫だと言うことを。

 兄さんに名前を呼ばれることが、どれほどの狂喜に包むのかを。

 そして今日、正体を知っても変わらず抱きしめられ、そして……した事でどうしようもない感情が生まれてしまった。兄さんと離れたくない、駄目だ。抗えない。

 覚悟はあったはずだ。兄さんと離れるなら死のうとする程度の覚悟は、でも駄目だ。そんな覚悟はもう粉々だ。死んで何も判らなくなるなら、まだ良い。でも精霊は死ねるのだろうか、死んでどうなるのだろうか、兄さんの居ない世界を意識だけで蕩うなんて。

 だめだ、だめだ、そして、もし、兄さんが死んでしまえば、エイエンニニイサンニアエナイ。

 駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ……。

 私には耐えられない、ごめんなさい。兄さん。

 SIDEOUT


 SIDE:眷属の蛇

 不思議な人間におうた。いや、別世界からの転生者だとか。なんとも不思議な世界らしい。

 我の追っていた魔熊キメラを殺し、我に(へりくだ)る人間族。滑稽だ、我は虚勢を張ってみても所詮は下級蛇の出来損ない。あの熊を殺せるなら我も殺せよう。

 不思議な人間は我の言葉で態度を変えた。劇的、と言える変化じゃが我の様な観察に特化したもので無ければわからんじゃろう。なるほど確かに異世界の人族なんだろう、何とも不思議な男よ。

 されど我と友誼を結んでくれた。眷族としての立場はあれど、一人で生きてきた身にはありがたいことよ。我の性格ゆえに、もうすぐ一人では狂っていた所、さすがに虫と草、果ては空気にまで話しかけるのも限界だったからの。

 不可思議な男には不可思議な妹がついておった。

 待ち合わせたのに一行に現れない阿呆めを迎えに行った先、出てきたのは世界の敵。

 死神だのと呼ばれ忌み嫌われるのはこじつけに過ぎん、我には呪いの影響が薄いが、人族では一溜りも無く嫌悪感で満ち満ちる筈なのじゃが。

 昨日今日の付き合いではあるが、初めての友である。わが身の力を顧みると万が一にも勝てまいが、それでも危険性を知らせることは出来よう。

 そんな我の覚悟を嘲笑い(あざわらい)、わが友アリスは闇の精霊を抱きしめる。何時もの事だと、習慣だと、こうしなければならないと。

 友足る我が見てもどうかと思う、唇の端を歪める嫌な笑い方で嗤う。全ての事はどうでも良いと嗤う。

 常識など知らず、他人への情など無く、命に価値など認めず、ただ親しい者のみが重要だと言ってのける。

 なんだか疲れてしまって、帰ることにする。また会える事になったのだ、長居することも無い。口ではあれこれといったが、我では精霊には勝てないだろうし。

 馬鹿なやつじゃが、我は楽しい。

 SIDEOUT

 

短いもので申し訳ないです。幕間的な話としていただければ。後で付け足す可能性もあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ