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異世界転生:ヤンデレに愛された転生記  作者: 彼岸花
第1章 平凡に転生
12/105

一線

 日刊ランキング7位になってました。ありがとうございます。駄文ですがお付き合い願います。

呼んでいて不快に思う方もいるかと思います。危うい方は読み飛ばしてください。

短いです。読み飛ばしても、おそらくストーリーに影響はしないはず……。

 妹君は俺の袖を掴み、俯いている。

「君、実に判りやすいな」

「何も聞かないの?」

「何か聞いて欲しいのかね?」

 本心では聞かれたくない、しかし聞かれなければ自分のことに興味などないのか、と思ってしまう。実に後ろ向きな思考だ、全く接点が無いのに変な所だけ似た兄妹だよ。

「さっき言ったことが全てだよ。君が何者であれ君は俺の妹で、大事な存在だ」

「私は人間じゃないのに」

 妹君は実に冷静な子だ。恐らくは何事にも動じない精神を持っている。

 そんな子が、ぐしゅぐしゅと泣き始める、実に雅な(そそる)光景だ。なんとも絶望的に終わっているが、妹君の、エリスの泣き顔が愛しくて堪らない。

「蛇君なんて爬虫類だよ。別に人間以外を友人にしてはいけない法はないよ。前世では話が出来なかったので、その発想は無かったが」

「兄さんを騙していたのに」

 涙声で聞き取り辛いはずなのに、実に耳心地の良い声で響く。

「お互い様だね。俺なんて君を虐げすらしていたよ」

 エリスは盛大に泣きながら大絶賛混乱中だ。

 自分でもなにが聞きたいのか、どう言って欲しいのか、どうしたいのか、何も判っていないんだろう。

 闇の精霊が超絶な演技力を保持し他者を騙すことに躊躇いの無い種族でも無い限り、俺の考えはそう遠くないはずだ。もちろん闇の精霊の事は何も知らないので、出来る警戒はしておくが。

「正直、この世界の知己は君と蛇君くらいだ。蛇君とはさっき会ったばかりだし、君に捨てられると俺としては途方にくれる」

 これは本心。寂しがり屋なもので。寂しがり屋の孤独好きは健在。

「兄さんを捨てるなんてありえない。その逆はあっても」

 エリスが寂しそうに言った。袖を持ったまま下を向いて。ポタポタと床に落ちる涙、なんとも破壊力の大きい一撃だ。

 こう言うしぐさは人間特有の物だと思うが、精霊にもそういった機微があるのか。それともそういった機微のために態々託卵とりかえるのか。

「それこそ逆はあってもだね。君も俺も正体を隠していたから、相殺にしてくれないかねえ」

「兄さんはこの世界の事を知らないから、そんな事が言えるのよ。あの爬虫類が言ってたことは本当、私は闇の精霊、死神なのよ」

「死神ねえ。割と長い間生きてきたけども(途中でリセットしたが)人間以上に悪い奴は見たことないがねえ」

 まあ、知的生命体が人間だけだったんだから、当然なんだけど。

「でも」

「判った、じゃあ対価を貰おうかね」

 このまま押し問答をしても切が無い。罪業妄想に近いから判りやすい罰を与えるとしよう。

「対価」

 顔を上げた。エリスは元々目が赤いので真っ赤になっても判らないが、涙の跡に鼻水に、普通に見たらボロボロの顔なのに、俺にはなんとも扇情的に見えた。

エリスが欲しい」

 1回こういう台詞言ってみたかったんだ。言ってみたら鳥肌が立ったから二度と言わないけど。

「に、兄さん!? どういうこと?」

「そのままの意味だよ。もし判らないなら説明するけど」

「い、いい! いい! 説明はしなくても良い、判る、判るから」

「君、ここまで慌てふためくのは珍しいねえ」

「女性を何だと思ってるのよ」

 俺も冷静な方だと思っていたが、駄目だ脳が溶ける。

「私は、父親(あの男)に……」

「気にしない、君がこれから俺と一緒にいてくれれば良い。何も気にしない」

「じゃあ…………あげる」

 脳を溶かす、ゾクゾクする声がした。

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