第八話
朝……
「………ん。」
いつも通り目が覚めたが…なんとなく体が痛く、景色が妙に見慣れない。
「スースー」
フッと聞きなれない…しかし聞いた事のある寝息が聞こえてきた。
……あぁ、そうだ、今は一人じゃないんだ…
今、俺が本来寝ているはずのふとんではまだ幼い子供が寝ている。
成り行きで俺の家にいる。昨日出会ったばかりだが…
「さて、飯を作るか…。」
いつもの朝食より、少しこったものを二人分作り、テーブルに並べた。
「おい、起きろ。」
気持ちよさそうに寝ているギルを揺さぶる。
「ん〜」
しかし…唸るだけで起きる気配がない…。
「まったく…ほら、起きろ!!」
ため息をつき、次は布団をとった。
「ん〜…」
次は寒いのか唸りながら体を丸めた。
「ギル!起きろ!!」
さすがにこれ以上ゆっくりすると朝食が冷める…。
「う…。」
やっとギルは微かに目を開け、辺りを見渡しだした。
「!!…うぁぁ!!」
「!!」
そして、俺を見るなり襲いかかってきた。
「あぁ!!」
昨日みた時には無かったはずなのに、ギルの手には鋭い爪があり、それが頬をかする。
「ギル!!落ち着け!!!」
俺が叫んでもギルはお構い無しに襲いかかってくる。
「う……ぁ。」
しかし、急にギルは電源の切れた機械のように動きを止めて倒れた。
そして俺の家はただ血の匂いと静寂が流れ出した……。
〜つづく〜