第六話
早い夕食
なんとなくだが…部屋に生活感が戻ってきたような気がする…。
箸は、使えないだろうな…
何を食うだろうか…
それ以前に食材はあっただろうか…?
なんて考えながらちゃくちゃくと準備を進めていき…。
結局、冷凍ごはんを温めて、ちょっとだけあった油揚げとネギで味噌汁を作り、あとは玉子焼きを作った。
「わぁ〜♪」
思いの外おとなしく待っていたギルは料理を見ただけで歓喜の声を上げた。
あの無邪気な笑顔を浮かべて。
「箸は使えるか?」
「はし〜?」
どうやら箸の使い方以前に箸を知らないみたいだ…。
「これだよ。これをこう持って……。」
食事を始める前にとりあえずギルに箸の使い方を教えてやった。
「…こう?」
「そうそう…。うまいうまい。」
ちょっと教えただけでギルはとりあえず箸を使えるようになり。
無意識に頭を撫でてやっていた。
「えへへ…。」
照れ臭そうに笑いギルは箸を動かしたのを見て。
なんで頭を撫でてやったんだろ…。
なんて思った…。
本当に無意識だった…。
何故やったのだろうか…。
「早く食べよ〜。」
ギルの声で我にかえった。
どうやら最近考え込む癖があるみたいだ。
「あぁ…じゃぁ食べようか。」
なんで頭を撫でてやったんだろ…
またその考えが頭に浮かんできた。
それと同時に何かよくわからない気持ちを抱いた。
「あ、これおいし〜ぃ♪」
食をすすめていくなか、ギルが玉子焼きを一つ食べた時に声をあげた。
「そんなに美味いか?」
「うん!」
そうとう気に入ったのだろう。
それからギルは残りの玉子焼きを全部食べた。
誰かと食事をしたのも久しぶりだった…。
何か心の奥で暖かい何かが湧き出ていた…
〜つづく〜