第五話
「……だれ?」
だれ…といきなり問われた。
…素直に名のるべきか、こちらの質問をぶつけるげきか。
そんな事を考えながら、子供をみた。
幼さが残るというかまだ幼い顔付きで、まぁ5、6才ってところか。
さっきは髪がかかっていたから気づかなかったが、額に紋章だろうか…何かマークがあった。よく見ると手袋らしきものにも、そして肩にも。
「……だれ?」
子供の声でハッと我にかえった。
子供が綺麗な目で、不信そうに睨んでる。
「俺は、村雲 亮。お前は?」
可能な限り優しい口調で名のり。名を聞いた。
「…ギル。僕はギルっいうの」
怪しい奴じゃないと判断したんだろ。
不信そうな目は無邪気な目になった。
「ギル?」
「うん、ギル。」
「ギルか…。ギルは何処から来たんだ?」
「………。」
「………。」
二人の間に沈黙が流れた…。
「…んない。」
「……ん?」
「わかんない。」
「わからない?」
「気づいたらここにいて、眠くなったから寝てた。」
……眠くなったから寝てたって子供かこいつは?
……否、子供か。
……っと思ったらグゥ〜っと小さな音が聞こえてきた。
「…お腹がすいてるのか?」
「うん…」
「…何か食うか?」
「うん!!」
飯をすすめただけでギルは、本当に嬉しそうに無邪気な笑顔を浮かべた。
それはもう俺が何年も前に忘れたものだった……。
〜つづく〜