第四話
この子供が…実験体…。
そんな自分の言葉にハッとする。こんな子供が実験体なわけがない…。
まず新聞では逃げ出した実験体を匹と、獣の数えかたをしていた。
それなのに…こんな子供が実験体なはずがない。
自分が一瞬浮かべた考えを捨てるため一度頭を振るい、もう一度子供を見た。
相変わらず穏やかな寝息をたてて無防備に子供は寝ている。
…俺もこんな寝顔で寝てるのだろうか。
そんなしょうもない考えを捨てるため頭を振るう。
しかし、その時…またさっき一瞬浮かべた考えがまた浮かんできた。
実験体…。
もうそう思ったらそうとしか思えなかった…。
この子供は実験体の一匹。多分、川に逃げ込んだ方の…。
とりあえず起こして話を聞こう。
言葉が通じるかわからないが…。
「おぃ、起きろ。」
軽く体を揺さぶる。
自分の手に触れている感触は多分、人と何ら変わりない。
本当に実験体…?
その前になんの実験体?
よくよく考えたらそんなことも知らずに実験体と決めつけていた。
……が起こすのは止めなかった。
「ん〜」
起きる気配はない…。
「起きろ。」
さっきよりも強く体を揺さぶる。
「ん〜ん」
やっと微かに目を開けた。
「ん〜」
「わぁ!」
寝惚けてるのか、子供は急に抱きついてきた。
「離れろ。」
「ん〜」
「……。」
「…うにゃ?」
「……起きたか。」
「……だれ?」
「……。」
どうやら退屈な日々に終止符がうたれたみたいだ…。
〜つづく〜