第二章 第二話 二度目の邂逅
しばらく戦闘シーンはありません。あしからず、そして、すみません(^_^;)
夢斗は終業の鐘が鳴ると、直ぐさま校門を飛び出てバイトへと向かう。
自転車に乗ろうとしたとき、園美に声をかけられた。
「夢斗。バイト、頑張ってね」
「ああ。じゃあね」
夢斗はそう言って自転車をこぎ出した。
夢斗はバイト先に向かう間、色々と集めた情報について洗ってみた。
どうやらその死体は、夢斗のバイト先付近の路地裏で発見され、発見時には強烈な異臭を放ち、人間とはほど遠い外見だったという。死体は体の部位を切断されていたという。切断された部位も、死体付近に転がっていたらしい。
この時点で夢斗は薄々勘づいていた。
「早くしないと」
夢斗は静かに呟き、自転車を飛ばした。
イブは一日かけて昨夜の乗車駅にたどり着いた。
「ここね……」
イブは静かに路地裏へと向かう。
夕暮れ時の繁華街はやっとにぎわいだしたと言う感じで、人気もそれなりにあった。イブはそんな人並みを掻き分けるようにして先へと進む。
路地裏への入り口に着いたとき、そこには黄色いテープが張られており、周りには数人の警察官が警備に当たっていた。
イブは直感した。昨夜の出来事が明るみに出たと言うことを。
「まずいわ……」
イブはさっと身を翻す。
夢斗は息を切らしながら走る。
向かう先はバイト先もとい、あのときの路地裏。
「急がないきゃ」
今日のバイトは無しと言うことだった。何でも、経営が悪化したらしく、しばらく店を閉めるとのことだという。
「間違いない。絶対アレだ」
夢斗の疑念は確信へと変わっていた。
人混みを押しのけるようにして路地裏へ向かう。
「あっ!!」
夢斗が路地裏の入り口に着いたとき、そこには数名の警察官と黄色いテープが張られていた。
「チクショウ! もっと別の入り口は……」
夢斗は辺りを見回す。
「あれは……」
夢斗の眼にいつか見た人物の後ろ姿が映る。白い着物に肩くらいまでの黒髪。そして何より、着物に不似合いなギターケース。間違いなく、イブだった。
「イブ!!」
夢斗は声を張り上げる。
イブは振り返り、夢斗の姿を探すかのようにキョロキョロする。
「イブ、こっちだ」
夢斗はイブに駈け寄る。
「夢斗……」
イブは夢斗に気付いた。
「イブ、大変な事になったみたいだ」
夢斗は膝に手を当てて息を切らす。
「そうね。昨日私が片づけをせずに去ったせいだわ」
イブは至って冷静だった。
「どうするの?」
夢斗は顔を上げてイブに訊く。
「こんな大事になってしまっては、噂の収束には時間がかかりそうね」
イブはそう言って振り返る。
「おい、どこ行くんだよ?」
夢斗はイブを引き留める。
「何処って、あの路地裏よ。別の入り口を探すの」
イブはそう言ってから歩き出す。
「待てって。今行ったらケーサツに見付かる。イブの持ってる剣が見付かったら尚更厄介だ」
夢斗はイブの肩を掴む。
「だったら! どうしろというの!?」
イブは夢斗の手を振り払って言う。
「どうしろって、そりゃあ……」
夢斗は口籠もる。
「何もないのなら、ワタシを引き留めないで。ワタシはアナタと違ってやることがあるの!」
イブは行こうとした。その時だった、夢斗の脳内にアイデアが浮かんだ。
「待て! 今行ってもダメだ。俺に考えがある、俺に付いてきて」
イブはしょうがなく夢斗に従うことにした。