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第四章 第五話 イブの懸念

戦闘シーンです。前回は皆様の期待を裏切ってしまい、本当にすみませんでした<m(__)m>

 二人がある程度歩を進めたところで、イブの表情が変わった。

「どうかした?」

「来たわ」

 イブはそう言って、手近なビルの非常階段を登る。

「待って」

 夢斗はイブの後を追う。

「今日の敵はどれほど?」

「それが、よく分からないの。何か、ワタシの感覚を狂わせる何かがいるみたい……」

 言い終えると二人は屋上に着いた。立て続けに屋上伝いに移動する。

「そいつは……、強いの?」

「解らない。ワタシの取り越し苦労だと良いけど……」

「……。解った。とにかく上手くやろう」

 夢斗はそう言って、ギターケースからイブの刀を手渡す。

「ありがとう。行くわよ」

 イブはそう言って足を止め、向かいのビルの一点を睨む。そこには、鬼三頭と犬二頭がいた。

「鳥は……、いないな」

 夢斗は剣を鞘から抜き、竜の彫刻と目を合わせて、自分に渇を入れる。

「そうね」

 イブは剣を抜き、左手で凛と構えた。

 両者の間に緊張が流れる。

 先に動いたのは向こう側だった。

 犬達が一斉に駆け出し、大きく開口して牙をさらけ出す。

「イブ。オレは右だ!」

 夢斗はそう言って飛び出した。

「ワタシは左ね」

 イブも夢斗と同じタイミングで飛び出す。

 夢斗は飛びかかってきた犬を、一刀のもとに切り伏せる。また、イブは犬の攻撃をさっとかわし、首を一発で切断する。

 二人が殆ど同時に犬を屠ると、その光景を見ていた鬼が三頭一気に攻め込む。

「来るぞ!」

「ええ!」

 端の二頭は虚空に向けて跳躍し、真ん中の一頭は直線の軌道を描き迫ってきた。

「オレが行く!!」

 夢斗がそう言った瞬間、一頭目が着地した。

「来い!」

 着地の衝撃で砂埃が舞う中、敵は夢斗を爪で狙う。

 爪は空を裂くが、夢斗は横に跳んでかわした。かわしざまに太腿に剣を突き刺し、敵の動きを封じようとする。

「ガァァァっ!!」

 敵が叫ぶ。夢斗は容赦なく次の一撃を脇腹に放つ。

「まだだ!」

 返り血を避け、敵の正面に周り、敵を縦一文字いちもんじに斬る。返り血に染まりながらも、今度はバットをフルスイングするような形で横に斬りつけた。

 敵は声を出すことも困難なほどの苦痛を喰らい、口を大きく開けたまま前屈みになる。

「止めだ!!」

 敵が前屈みになり、急所である心臓が近付いたところで、迷うことなく左胸に剣を突き刺す。

 夢斗は顔面から血を浴び、上半身は赤く染まる。

「くう……」

 下を向いて血を浴びる量を少なくしようとしたが、そうする前にかなりの量を浴びていた。夢斗が後ずさると、しばらくしてから敵は倒れた。

「イブ。終わった?」

 夢斗がそう訊いたとき、イブは二頭目を葬った。

「終わったわ。やっぱり、左手だけだとやりづらいわ。昨日、夢斗が来てくれなかったら、ワタシは確実に死んでいたわ」

「ゴメン」

「もう済んだ事よ。謝らないで」

 イブはそう言って微笑む。

「はは、イブの笑顔、これで何回目だろう。じゃあ、オレは体洗って来るよ」

 夢斗はそう言って上に着ていた服を脱ぐと、そのまま一目散に水場を探して走り出した。

 イブは、そんな夢斗を見届けた後、また微笑んで呪文を唱えた。


「あ〜あ。もう全員殺されちまった」

 それは向かいのビルの屋上でため息をつき、手すりに肘をついて頬杖をついた。

「さてさて、それではオレの出番かな……」

 それは面倒くさそうに言うと、腰にぶら下げた得物に手をかけた。

 尻尾の様に垂れ下がった得物は、三つの棍を鎖で繋いだ、いわゆる三節棍と呼ばれる武器だった。

 それは得物を手にして振り回してみる。棍は生き物の様に宙を舞い、それは棍を自在に操る。

 ある程度やったところで、それは棍を振り回すのを止めた。

「よし、行くか」

 それはそう言うと、両手を手すりにかけ反動を付けてから一気に跳んだ。


「もう終わりね……」

 イブが手を下ろした瞬間、彼女は言い知れない存在に気付く。

 考える間もなく、イブの感覚が刀を手にしていた。直後、刀を握る手に鈍い衝撃が走る。

「アナタは……!?」

「久しぶりだなあ、お姫様」

次回では「それ」について掘り下げていこうとおもいます。

では、また。

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