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第三章 第一話 決意の強さ

犬好きの方、すみません。この話は読むのを遠慮された方が良いかもしれません。

 夢斗は剣を構える。その先にはイブの姿があった。

 ここは夢斗のマンション近くの廃工場。ガラスの割れた窓からは、夕日が差し込む。

「てやああ!」

 夢斗は剣を構えてイブに斬りかかる。すると、イブはそれをさっとかわし、夢斗の首筋に強烈な峰打ちを叩き込む。

「痛っ!!」

 夢斗は体勢を崩し、前方に数メートルスライディングする。

「そんなんじゃダメよ。それじゃあ間違いなく殺されるわ」

 イブは夢斗の姉の服を着ており、割とカジュアルな感じだったが、それでも動きのキレは劣っていなかった。ちなみに、肩の傷があるので、右腕は封印している。

 左手で刀を構えたイブは、切っ先を夢斗に向ける。

「まだ終わりじゃないわ。さあ、来なさい」

「クソッ」

 夢斗はすすを払って立ち上がると、再び剣を構えてイブと対峙する。

「行くぞぉー!」

 夢斗はそう言って、イブに斬りかかった。

 鈍い音が響く。今度は鋭い膝蹴り。

「隙だらけ」

「チクショウ。ぐふっ」

 夢斗はうつぶせになり、嗚咽を漏らした。

 

 その日の夜。赤い月の下、二人は例の繁華街に来ていた。イブが言うには、そこに敵が現れるという。

 夢斗のバイト先が一応の拠点である。何故一応なのかというと、いつ差し押さえを喰らうか解らないからである。

「夢斗。来たわ」

 イブはそう言って席を立つと、ギターケースから刀を取り出す。

「よし、行こう」

 夢斗はイブに従い、自分の使うべき剣を取る。

 階段を登る途中、夢斗は敵の勢力をイブに尋ねる。

「敵の数は?」

 夢斗は言いながら剣を鞘から抜き、その鏡の如く洗練された刀身を見詰める。刀身には自分の顔が映る。

「犬二匹に鬼一頭。夢斗は犬をお願い」

 『犬』とは四足歩行の獣。『鬼』は三メートルの首長である。二つとも『夢斗に解りやすいように』というイブの配慮であり、鬼はともかく、犬は間違いなく犬とは外見がかけ離れている。

 イブは刀を抜く。血を洗い落とした刀は、夢斗の剣と同じく鏡の様に輝く。

 屋上に着くと、そこには既に敵がいた。二人の到着を待ちわびるかのように闘志を剥き出す。

「グルルルルルル」

 牙を剥く犬。

「……」

 無言のまま首を揺らす鬼。

 両者睨み合い、互いに距離を詰める。

 そのおり、犬が夢斗に飛びかかる。

 二頭揃って夢斗に牙を剥き、咆哮しながら接近する。

「とうっ!」

 夢斗は一頭目の攻撃をかわすと、隙だらけの胴体に狙いを定める。

「えいっ!」

 夢斗の一撃は犬の腹を大きく切り裂いた。

「よし! ぬおうっ!」

 ファーストヒットを浴びせるもつかの間、間を置かず二頭目が飛びかかる。

 夢斗は際どい所で犬の爪から逃れると、二頭目を次の標的にする。

「ええいっ!」 

 再び飛びかかって来た犬の攻撃をギリギリでかわし、かわし様に一撃を加える。素早く攻撃するというスキルは、イブに体で覚えさせられた。

 軽い手応え。しかし、確実に入った。鮮血が舞い、屋上の床に放射状に撒かれる。

「まだまだ!」

 夢斗は受け身を取りつつ姿勢を正すと、着地したての二頭目に追撃を加える。

 切っ先にエネルギーがこめられ、同時に幾つもの組織を破壊しながら貫いていく。夢斗の剣は二頭目の頭を横から貫いた。犬は夢斗の剣に力無くぶら下がる。

「次!」 

 夢斗はそう言って、一頭目を探す。止めを刺し損ねていたからである。

「いた!」

 一頭目は腹部と同時に後ろ脚も膝から斬られていた。それにより、一頭目は上手く動けず、床を這うようにしか動けない。

 夢斗は哀れな姿の敵に止めを刺そうか戸惑ったが、意を決して剣を突き立てた。

 剣は敵の頭部に刺さった。小さな噴水の様に血が吹き出る。

 夢斗は剣を引き抜くと、止めを刺したことを確認し、鬼と戦うイブの方を見た。

「あれ、もう、終わってる?」

 夢斗の見た先には、体を数ブロックに切断された鬼と、こちらをじっと見るイブがいた。

 直後、イブが拍手をする。

「よくできました。前よりは格段に動きが良くなってるわ。あとは、止めを戸惑わない事ね」

 イブはそう言うと、死体に手をかざす。

 淡々と呪文を唱えると、死体は溶けるように消える。

 全て消えた所で、夢斗はイブに訊いた。

「なあ、最初からその呪文を唱えれば良いんじゃない?」

 夢斗が言い終わるのと、イブが目を開けるのとは殆ど同時だった。

「そうも行かないわ。この呪文は片づけの対象が生きていないことが条件なの」

「そうなんだ。あっ、そういや、初めてあった時にかけた呪文は何なの?」

「あれは記憶忘却の呪文よ。かける側がかけられる側に知られては困る記憶を完全に無くす事ができるの。でも、かけられた側がかけた側に二四時間以内に再会してしまうと、その呪文の効果は無くなり、二度とそれをかけることは出来なくなるわ」

「は〜、なるほど……」

 夢斗は納得したようだった。

「今日はコレで終わりね。さ、帰りましょう」

「そうだね。今日は疲れた……」

 二人は家路についた。

この話で皆様の謎か一つ解けたと思います(?)でも、なんだか説明ばかりでしたね、すみませんでしたm(_ _)m次回も宜しくお願いします。

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