キミの想い。 - みあside -
自分の中で答えが出た。
でもどうやって伝える?
電話....?
うまく話せないよ....。
メール....?
そんなの一輝くんに失礼すぎる。
直接......?
絶対無理だな。
一輝くんは私にスキだって言ってくれた。
本気だって真剣に言ってくれた。
私をこんなに想ってくれた人初めてだ。
これからこんなに私を想ってくれる人には出会えないかもしれない。
そしたら、私はずっと一人なのかな...?
でも、こんなに想ってくれているからこそ、
中途半端な気持ちで答えられない。
今の私なら、人を好きになる怖さも全部わかる。
ちゃんと答えなきゃ。
「よし。」
直接言おう。
そう決めたとき、今まで動かなかった体は、
勝手に動いていった。
『明日の朝、話があるんだ。』
一輝くんは今どんな気持ちでこのメールを見てるんだろ。
少し胸が痛む気がした。
でも私は決めた気持ちに後悔はないと思った。
少し後で、
『おう。』
と一輝くんからメールが帰ってきた。
一輝くんが私に対する想い。
私が秋斗先輩に対する想い。
違う人を想ってるのに、気持ちは同じ。
そう考えるとまた複雑な痛みが襲ってくる。
いろいろ考えてたら、結局寝れなかった。
寝れなかったのに、眠くはなかった。
起きて、着替えて、ご飯作って、顔洗って、
歯磨きして、髪セットして。
いつもと同じことしてるはずなのに、
いつもより早く終わった。
「いってきま~す。」
まだ寝てる悠に一応声をかけて家を出た。
昨日と家出た時間一緒ぐらいなのに、
昨日よりも静かで、空気が重く感じた。
でも自分の答えが決まっていたからか、
体はすごく軽く感じた。
ガラガラッ
一輝くんはまだ来てないか。
野球部の声も吹奏楽部の楽器の音も、
今日は耳をすり抜けていく。
私はずっと変わっていく外の景色を見ていた。
ガラガラッ
「あれ?!みあ早いんだね。」
一輝くんじゃ...ない。
「あ、うん。おはよう。」
時計を見るともうみんなが登校してくる時間だった。
一輝くん忘れちゃったのかな...?
時間は過ぎて行き、教室には人どんどん増えてきた。
担任も来て朝のSTが始まってしまった。
「きりーつ、礼。」
忘れられてる。
悲しいな、なんか。
いつも通り終わる。そう思ってた。
「今日はきちんと話さないといけないことがあります。」
担任の一言で教室がザワッと騒がしくなった。
「え~井下くんが今朝事故に合って、病院に運ばれたそうです。」
........え......?
担任は続けて話していた。
「命に別状はないようですが、みなさんも今後気をつけてください。」
でも私にはその言葉は届かなかった。
私のせいだ。
朝に話があるなんて言ったから。
私のせいで一輝くんが.....
涙が出そうだった。
私の頭にはとんでもないことをしてしまったと言う罪悪感でいっぱいだった。
私は担任に一輝くんの運ばれた病院を聞いた。
最初は渋っていたが、必死に頼む私を見て、
「病院に行っても症状によって会えないかもしれないし、
無理に押しかけるようなことしちゃだめだからね?」
と言って教えてくれた。
どうしよう。
どうしよう。
もし一輝くんが大怪我だったら....?
もし........一輝くんが死んじゃってたら......?
そんな不安ばかりが頭をよぎる。
足が言うことをきかない。
震えて、何回もこけた。
でも痛みを全く感じなかった。
病院に着いて、近くにいた看護婦さんやお医者さんに
井下一輝の名前をたくさん聞いた。
「あ..あった....。」
ドアは閉まってた。
部屋の前には井下一輝とちゃんと名前があった。
手が震えた。
でもその手を握り締めて、
2回ノックした。
返事は.....なかった。