キミの瞳。2 - みあside -
「きり~つ。 礼。」
いつのまにか授業は終わっていた。
千晴は彼氏と弁当を食べるのでこの時間は桃花と2人きり。
「おっ弁当~おっ弁当~♪」
桃花あの人のこと知ってるかな?
「てかさ、この学校の金色の髪の怖い感じの人..」
「真田秋斗先輩?」
...やっぱ有名なのか。
「秋斗先輩がどうしたの?」
「いや、さっき目が合っただけだよ。」
「秋斗先輩イケメンなのに彼女作らないんだよ~カッコイイ!」
「へぇ~」
確かに整った顔してたな~。
んまぁ、私には関係ないけどね。
帰りのSTが終わり、桃花と千晴と帰ろうとしたら担任に呼び止められた。
「みあ~ちょっとおいで~?」
なんか悪いことした?!...あ、今朝のことか。
2人には「ごめん、先帰ってていいよ!」と言い残して担任のとこへ走った。
遅刻の理由とか、バイクの持ち主は誰か、とかいろいろ聞かれた。
でも全部話したら「次はもっと静かに来なさいよ~」とだけ言われて、
とくに叱られはしなかった。
その代わりに掃除やらなんやら雑用をかなりやらされた。
ふと時計を見ると7:43をさしていた。
「暗いし..。」
ケータイを見ると何件か着信があった。見なくてもわかる。
120%悠だ。
「帰ろ..。」
かばんを持って誰もいない廊下を歩いた。
少し暗いだけなのに昼間と全く違う場所のように思えた。
「せんせぇ~かえりまぁす。」
とだけ職員室に声をかけ昇降口に向かった。
暗い夜道は嫌いぢゃない。
昔っから暗いとこや狭いとこは好きだった。
だから昼間よりも好きなくらい。
「帰ったら悠に叱られるな...。」
悠は私の親代わり。のつもりで私をいつも守ってくれる。
もうそんな年ぢゃないんだけどね?(笑)
でもすごく感謝してる。
ママは私がまだ小3ぐらいで家を出ていった。
ママが出ていった原因はパパ。
仕事でなかなか家に帰って来ないのと、浮気をしていたから。
今は悠と私のために仕事を頑張ってるらしく、
なかなか家には帰ってこない。
仕事で帰ってこないなんて今さら信じられないんだけどね。
「はぁ~...。」
私の住んでる町に一つだけあるゲーセン。
昼間は安全なんだよ?
だけど夜にはヤンキーのたまり場になる。
今日だって...5,6人くらいのヤンキーがたまってる。
こう言う時はなるべく存在感消すのが1番!
早足で通り抜けようとした。 「ね~ね~。」
ビクッ!
お、おかしいな...?今日の運勢2位のはずなのに...。
「あ...はい?」
..ん?この人どっかで見たことがある気が...
「やっぱみあぢゃーん!」
「え?」
誰だっけ...?
「え?ってまさか忘れられてる?!同じクラスなのにな~」
同じクラス...?......!!
「あ!新崎一輝くん?」
「そ~だよ~!忘れんなよ~」
「ご、ごめんね?」
「ぜ~んぜん!てか今帰り?」
「え?あ、うん!」
早く帰らないと悠が...
「一輝~誰だよその子~」
ヤンキーの集団が冷やかしてくる。
その中に1人黙ってタバコ吸っている知ってる顔があった。
明るくて艶のある金色の髪。
整った鼻、口。
どこか忘れられない瞳。
...秋斗先輩だ。
「み~あ~?どした?」
あ、いけないいけない!
「ゴメンね?私門限あるから帰るね!」
気づいたら一輝くんにそう言って走り出してた。
門限なんてとっくにすぎてるのに...。
「ただい...」
「おかえり。」
げっ!悠...
「どこほっつき歩いてた?」
「ちがうからね?悠のせいで担任に雑用させられてたの。」
「人のせいにするなよ。」
「悠のポンコツバイクがうるさいから注意されたんです~」
「元はといえばお前の寝坊が悪い。」
う゛....。
「明日からは気をつけます...。」
「飯できてるから、着替えて降りて来いよ。」
「はーい。」
悠のごはんとか久しぶりだな。
いつもは私がごはんを作っている。
でもたまに私の帰りが遅いときとかは悠が作ってくれる。
あんまり上手とはいえないけど、私は昔っから悠の料理が好き。
作るのはいつもカレーだけどね(笑)
「今日もおいしい!」
悠は照れくさそうに私から目をそらした。
食べ終わって部屋に戻ってケータイを開くととメールが来てた。
『みあ~(^^)//』
一輝くんからだった。
あ、私アドレス教えてたんだ。
『どうしたの?』
『ちょっと会わない間に可愛くなったね♪』
こんなに分かりやすいお世辞なんてないと思う。
『そんなことないよ(泣)』
『てかさ、みあ彼氏いんの?』
彼氏って言葉を聞いてなぜか秋斗先輩を思い出した。
『いるわけないよ~(泣)』
『そうなんだ~!ぢゃあさ、俺と付き合わない?(笑)』
ん?ヤンキーってこう言う冗談よく言うのかな?
『冗談やめてよー!(笑)』
『冗談じゃないよ?俺、みあが好き。』
思考回路がグチャグチャだ...
なのにまた頭には秋斗先輩が浮かんだ。
『返事は今すぐじゃなくていいから。』
そうメールは続いてた。
私は気まずくってメールをかえせないまま次の日を迎えた...。