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ひとめぼれ  作者: ゆいか
12/14

キミの気配。 - みあside -



 「ひまだぁ.....」

 夏休み初日。

 千晴も桃花も今頃彼氏と.....

 「はぁー.....」

 何しようかな~。

 悠がいたらどっか連れて行ってもらうんだけどな~

 いろいろ買ってくれるし!

 でも今日はバイトだ....

 夏休みの初日から宿題なんてやる気が起きない。

 にしても暑いな....。

 アイス食べたーい!!

 「アイスッアイスッ♪」

 自分の部屋で鳴らないケータイとにらめっこしていた私は、

 “やりたいこと”が見つかっただけで嬉しかった。

 「...ゲッ!!」

 アイスが....ない。(泣)

 「よし!コンビニ行こ!!」


 テキトーな服に着替えて、財布とケータイだけ持って家をでた。

 財布って言うほどお金は入ってないけどね(泣笑)

 「また悠にお金もらわないとね~」

 暇すぎると人は普通に独り言を始めるらしい。

 うん、たぶん私だけだけどね?(笑)


 夏休みに外に出るとスッゴく暑く感じる。

 セミの鳴き声とか、太陽の照り具合とかよりも、

 夏休みってことが一番の原因だと思う。


 ミーンミーンミンッ ジジッ


 「あ~つ~い~」

 最寄のコンビニまで歩いて15分くらい。

 ちょっと遠いー。

 でも、帰っても暇な私はその道をゆっくり歩いた。


 ブーブーブー


 ずっと静止していたケータイが久しぶりに鳴った。

 「だ~れでしょね~」

 ちょっと頭壊れてたかな?(笑)

 ケータイを開くと『井下一輝くん』と書いてあった。

 どうしたのかな?

 『今週の土曜会えねえ?』

 前の約束か。

 なんか....複雑。

 でも今さら“やっぱ無理です。”

 なんていえない。

 『うん!大丈夫だよー』

 『よかった。じゃあ11時にあのゲーセン前ね?』

 ゲーセン....午前中ならヤンキーも少ないよね?

 『了解で~す♪』

 こんなメールしてたらコンビニに着いた。


 ピンポーン ピンポーン

 「いらっしゃいませー」


 中はだいぶ冷房が効いていて涼しかった。

 カキ氷、アイス、もなか.....

 ま、迷う!!

 でも結局、悠がよく買ってきてくれるみぞれのカキ氷にした。

 「ありがとうございましたー」

 早く帰ろう!溶けちゃうしね!

 外に向かって歩き出したときすごい音がした。


 ブォンブォン!!!


 見ると怖い顔したヤンキーが3人バイクから降りて、

 コンビニに入ってくるとこだった。

 やばい!!

 そう考えるより先に足が動いた。

 とっさに隠れてしまった。

 「隠れてどうすんだろ...私。」


 ピンポーン ピンポーン


 大きな声がきこえた。

 「てかお前さぁー、女紹介しろって」

 「いいけどー」

 「処女限定な。」

 な、なんちゅう話を大声でしてらっしゃるんだ?!

 よし、今だ!

 ヤンキー達は奥の方へ行った。

 私はそのすきに出口へ早足で進んだ。


 ドンッ


 「ってぇ」

 だ、誰かにぶつかっちゃった!

 「すすすす、すみません!!!」

 パっと顔をあげると、私は硬直した。


 秋斗先輩........?!


 秋斗先輩が迷惑そうに私を睨んでいた。

 「あわあわ、私、すッすみません!」

 走って逃げようとした。

 「ちょっと待てよ。」

 秋斗先輩は私の腕を強く引いた。

 いきなり後ろから引っ張られたのでよろけてこけそうになった。

 「お前、忘れてる。」

 拾ってくれるわけでもなく、ただ落ちている私のカキ氷の入った

 ビニール袋を指差していた。

 「わわ!す、すみません!!」

 もう何話してるのかもわかんなかった。

 「お前さ、」

 わぁ....もうだめだ....

 すっごく迷惑そうな顔してる....

 こんな初対面なんてないよ....


 「克希の妹の連れ?」


 ..............?


 「え...?あ、はい.....。」


 え?え?もしかして、

 秋斗先輩、私のこと知って.....た?

 「ふーん。名前は?」

 「み、みあです!」

 「へぇ。」

 え?会話しちゃった。

 私も秋斗先輩についてもっと知りたい!

 「あの......」

 「あきと~何買ってきゃいい~?」

 先に店に入っていたヤンキーが秋斗先輩を呼んだ。

 秋斗先輩のこと知れるチャンスだったのにな....

 帰ろ....

 「ってか、みあ??」

 聞き覚えのある声がした。

 振り向くと久しぶりに見る克希くんがいた。

 「克希くん?!」

 「え?秋斗と知り合いなの?」

 「え?あ、ちょっと今ぶつかっちゃって...(汗)」

 「へぇー。」

 そのうちに秋斗先輩は奥のヤンキーのとこへ

 行ってしまった。


 すると克希くんが近づいてきて意味深な笑みを浮かべながら、

 「なぁ、みあって秋斗のこと好きなんだろ?」

 と耳元でささやいた。

 「へぇ?!?!」

 つい大声を出してしまった。

 「なんで知ってんの?!」

 「千晴に聞いた~」

 ま、そうだよね?

 てかアドもらった時点で大体は分かってた。

 うん、しかたない。

 「絶対余計なことはしないでよね?!」

 克希くんは「へ?」と言ってまた意味深な笑みを浮かべた。

 「え?まさか.....?!」

 「ごめんごめん~でもさ、結局同じことじゃん?」

 全くちがう!!

 あ、だから秋斗先輩は私のこと知ってたんだ....

 「んで、いい機会だし、あいつにみあのアド教えとくわ。」

 なんのいい機会だよ?!(泣)

 「バカツキ!バカツキ!!」

 「悪かったって。ごめんごめん」

 全く真剣さが伝わってこない。

 「おい~克希ー。」

 「んじゃ!呼ばれたから。」


 千晴にしばいてもらお。

 恥ずかしくなった私は走って家に帰った。

 半分くらい溶けたカキ氷は、冷凍庫に入れた。


 秋斗先輩にこんな形で私の気持ちがばれるなんて思っていなかった。

 さっきぶつかったとき秋斗先輩はどんなことをかんがえてたんだろ....


 私の頭はアイスどころじゃなくなってしまった。

 そして一輝くんのことを思い出した。

 秋斗先輩に気持ちを伝えといて(伝えられて)、

 一輝くんと2人っきりで会うって.....

 ダメだよな......

 でも今さら断れないし.....


 夏休み初日。

 これから起こることを想像してるだけで

 もうすでに、私はいっぱいいっぱいになりました。(笑)

 







 

 


 

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