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ひとめぼれ  作者: ゆいか
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キミとの距離。 - みあside -


   秋斗先輩にとって私はただの他人。

   そう考えるのが辛いくらい、

   私は秋斗先輩にはまっていた。



 一輝くんが事故に合ってから1週間がたった。

 大きな怪我もなくてほんとよかった。

 あれから一輝くんとは少しメールをするようになった。

 今はほぼ毎日学校に来てる。

 バイトは休んでるらしい。

 クビにならないのかな(笑)


 明日からは夏休み!

 学校中休み前の独特な雰囲気に包まれていた。

 「千晴はどうせ明日から智樹くん家泊まりなんでしょ?」

 和田智樹くんは21歳の千晴の彼氏。

 大人で頼れるお兄さんって感じの人。

 「ん~たぶんね」

 「いいな~彼氏持ち。ね?桃花」

 「え?私彼氏で来たよ?言ってなかったっけ?(笑)」

 「「聞いてないです。」」

 私と千晴が声を合わせた。

 「あれ?そうだっけ(笑)」

 「で?誰なの?」

 「たぶん2人とも知らないよ?」

 「「そんなことどーでもいいです。」」

 桃花が私たちの知らない人と付き合うなんてありえませんから。

 「K学園の柴田涼って人。知らないでしょ?」

 「「知らない訳ないでしょ!!」」

 柴田涼って言ったら有名なヤンキー。

 そうなんです。

 桃花はヤンキーとしか付き合わない、と言うか、

 ヤンキーが桃花に寄ってくるから普通の人と付き合えない。(笑)

 「なんでまた柴田涼と知り合ったの?」

 「なんか、この前中学の友達と遊んでたら声かけられて、

  でアド交換して、メールしてたら告されて....」

 私ならありえない話だ。

 声かけられる時点でありえない。

 それがヤンキーならなおさらありえない。

 ありえちゃう桃花がすごいんだ。

 「や、優しいの...?」

 「それがさー!!」

 あんな超有名なヤンキーが優しい訳ないよね?!

 束縛とかDVとかそんなことばっかしてそうだもんな...

 「かなりかわいいんだよ?優しいし!」

 嘘やん嘘やん!!!

 「そ、そうなの?!」

 「うん。見かけは怖いけど、かなり優男!(笑)」

 「へ、へぇ~」

 意外すぎて言葉になりませ~ん!

 でも、桃花も彼氏できたんだ。

 楽しそうだからいいか!


 .....あ、夏休み1人ぼっちだ。


 ふ、ふふふふ。

 いーよ?別に1人花火も1人海も1人祭りも!

 でも、そんなの寂し過ぎるじゃん!!

 「ねぇ2人とも....夏休みさ、彼氏に全部捧げるとか言わないでね?」

 高校に入ってずっと3人で過ごしてきた私にとって、

 遊べる友達はこの2人しかいなかった。

 「全部彼氏とか、ほんとないから。」

 「そうだよ!みあが1人遊びしそうになったら遊んであげる」

 うん、ポジティブに受け止めるね!(笑)

 「てかさ、みあは秋斗先輩となんか進展あった?」

 「なんもない。悲しいくらい。」

 なんもできることないんだもん。

 「なんかしなきゃ状況変わんないよ?」

 桃花、そんなことはわかってるんだよ....

 「なにからすればいいかわかんないし、始め方わかんないよ!」

 全部投げ出したような言い方をしてしまった。

 「みあさ、めんどくさい。」


 グサッ!


 ちょっとはオブラートに包むってことを知って欲しいよ....

 でも確かにただもじもじしている私はめんどくさいと思う。

 「ほい。」

 千晴に紙切れを渡された。

 「秋斗くんのアド。」

 「?!?!」

 なななななななななんでぇ?!

 「なんで秋斗先輩のアド知ってるの?!」

 「あ~うちのバカツキの連れだからね~」

 克希くんは、同じ高校の千晴のお兄ちゃん。

 かっこいいんだけど、やっぱりヤンキー。

 柴田涼よりもノーマルに近いヤンキーだけどね(笑)

 てか今どき紙切れにアドレスって!ってツッコミたかったけど、

 「そんなんなら教えてあげんよ?」とか言われそうだったから言わなかった。

 「うちのバカツキもたまには役に立つでしょ?」

 千晴がこんなにお兄ちゃんのことをバカツキって呼ぶのには訳がある。


 千晴の兄弟は男3人、女1人で、男兄弟の一番下だった克希くんは

 兄弟の末っ子で、しかも妹の千晴がかわいくてしょうがなく、

 入学したばっかりの時は毎日のように教室に来てたぐらい千晴のことが

 だ~~~い好き。


 「え?で、でも勝手にメールしたら迷惑だ...」

 「つべこべゆーな。」

 そう言って千晴は私のケータイを開いてアド帳に登録してくれた。

 「はい。」

 「あ、ありがと」

 桃花は楽しそうにこっちを見ていた。

 でも知らない人からメールきたら本当に迷惑だよね?

 とりあえずあんまり気にしないでおこう。

 でも少しだけ秋斗先輩に近づけた気がして嬉しかった。


 「それでは、休み明けに人数が減ってるようなことがないように、

  安全に、規則正しい生活をしてくださいね。」

 先生のこの言葉で夏休みが始まった。

 セミの鳴き声が聞こえ始めた7月の終わり。

 夏休みへの期待だけが大きく膨らんでいった。





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