キミの香り。 - 秋斗side -
「んで??一輝大丈夫なのかよ?!」
今日は朝から騒がしい。
一輝が事故ったらしい。
星矢に呼び出された。
「まだよくわかんないんすけど、命に別状はないらしいっス!」
朝からこいつらもよく働くな。
「そ、そっか。ありがとな。」
「いいっすよ!」
後輩に一通り情報をもらった星矢がため息を吐きながら戻ってきた。
「命に別状はないらしいけど....大丈夫かな。」
「どんだけお前は心配してんだよ。ちょっとは落ち着けって。」
「あ、ああ。」
「お前が落ち着いたら見舞いでも行こう。」
正直、今一輝に会いたいとは思えなかった。
でも、こんな状況でも、みあって女のことを知れるかもって期待があった。
「とりあえず腹へったんだけど~」
恭介がいきなりでかい声をだした。
「俺も~...」
星矢も元気のない声で言った。
「飯食いにいこ~」
俺たちは近くのファミレスに向かった。
「やっべー何食おう!!」
恭介が目をキラキラさせてる。
ガキか?こいつは。
それぞれがテキトーに注文を終えると、
「このあと、一輝の連れも呼んで見舞いに行かね?」
めんどくせぇ。
でも、こんなとこで断って言い訳すんのもめんどくせぇ。
だから「ん。」とだけ答えた。
「腹いっぱい~!」
星矢もだいぶ落ち着いて、元のこいつに戻ってきた。
「行くか?」
「おう!」
勝手に盛り上がってる2人を横目にただ歩いた。
「星矢くん!おそいっすよ~」
「悪りぃ悪りぃ~」
後輩は先に病院に着いていた。
「303ってとこらしいすよ?病室。」
「お~ありがとな?調べといてくれて。」
「全然いいっスよ~!!」
「303...303...」
「なぁ~やっぱナースっていいな?」
恭介はそんな目でしか女を見ない。
まぁどうでもいいんだけどな。
「あ、あった!」
ノックもしないで星矢は勢いよくドアを開けた。
「か~ずきっ」
そこには想像もしなかった光景があった。
みあって女と一輝が2人っきりでいた。
「あれ~?彼女さん来てた感じか~?」
「お邪魔しちゃったな!(笑)」
恭介と星矢が冷やかしている。
「やめてください!そんなんじゃないっすから。」
一輝の目はがちだった。
だから余計腹がたった。
「わりぃわりぃ(笑)」
恭介たちは謝ってるけど俺はドアの隣でその光景を見ていた。
みあはずっとうつむいていた。でも、
「か、帰るね。」
と言い、こっちに向かって来た。
一瞬こっちを見た気がしたが、気のせいか。
みあは俺の隣をすっとすり抜けた。
ふわっと優しい香りがした。
みあが出て行きドアが閉まったあと、無意識に振り返ってしまった。
もっと見ていたかった。
でも、あいつにとって俺は他人だ。
なんとも思ってないんだろう。
俺はあいつがすきだ。
好きなんだ。
欲しい。
俺はみあが欲しい。
そう思った。